【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

第73話 農場と酪農

　「おーい、セムネイルー！　亜人の娘達が呼んでるよー」

　グラに呼ばれ、農場エリアと酪農エリアの前に戻ったセムネイルは、再起動した鬼人族のオルガとエルフ族のプレーリー達に説明する。

　その間グラ達にはタナカの店に出掛ける準備をする様に伝えた。　ローズ達が帰って来たら直ぐに出発出来るだろう。

　「説明は以上だ。　あ、オルガにコレを渡しておく。　家畜に買った動物のリストだ。　柵の中には鶏30羽、山羊10頭、牛10頭、豚みたいな魔物20頭が別々に入れてある。　足りるか？」

　鬼人のオルガは渡されたリストを見ながら、牧草を食べる動物達を見て唖然とする。　

　「セムネイル様、その……とても言いづらいのですが。　お願いした畜産とは肉や毛皮等を採る為に育てる事を言います。　なので、正しくは畜産エリアなので、酪農エリアだと……乳牛を採る為に牛を育てる事を差すのですが……」

　オルガの指摘にセムネイルは頬を少し赤らめる。

　「すまん……よく聞いておけば良かったな。　酪農家に行ったら色んな家畜が居たから当たってると思ったんだが……」

　豆なセムネイルは各エリアの入口に看板まで立てており、看板にはしっかりと酪農エリアと書かれていた。

　「い、いえ！　差し出がましい事を言い申し訳ございません！　どのみち、私達でも酪農は出来ますのでこのままで大丈夫です。　それより、よくこんなに多くの家畜を購入出来ましたね……」

　「ん？　あぁ、酪農家に行った時にな山のように金銀財宝を積んで売れるだけ売ってくれと頼んだんだ。　そうしたら……こうなった」

　「ふふ、畏まりました。　私達だけだと、少し手に余るので同胞を見つけたらお願いしますね」

　「分かってる。　あと、餌も出しとくから良いようにしてくれ」

　セムネイルはオルガ達の前に購入した餌を4次元から大量に出す。

　「ありがとうございます……本当に凄いですね。　まるで、家畜と狩りを司る鬼神様の様です」

　「くっくっくっ、さっきもルグやベアにも似たような事を言われたな。　まぁ、よろしく頼む」

　「はい！　皆、餌を運びましょう！」

　オルガは鬼人の娘達を連れて酪農エリア兼畜産エリアへ向かった。

　「すまんプレーリー、待たせたな」

　「いえ、問題ございませんわ。　それよりも、神の如きお方でも間違いをするのだと安心しておりましたわ」

　プレーリーのフォローにセムネイルは苦笑いで答える。

　「俺は神等では無い。　長い封印から解き放たれただけの魔族だよ。　それで……あ、コレだな。　読んでくれ、売ってもらえるだけ買った野菜の種やら果物の種やらのリストだ」

　プレーリーは素早くリストを捲り目を通す。

　「完璧でございますわ、セムネイル様。　直ぐに同胞達を連れ、種を畑に蒔ける様に準備致しますわ」

　「よろしく頼む。　そうだ、皆の食べ物関連だが収穫出来るまで時間が必要だろ？　一応、買い取った食料を山程4次元に入れてるんだが……何処に出したら便利だ？」

　セムネイルは亜人の娘達の中で一番聡明そうなエルフのプレーリーにまとめ役を任せようと考えていた。

　「そうですわね……寝るのは変わらずに平屋の大部屋を使わせて頂けるのですか？」

　「無論だ。　人数が増えたら、別に家を建てるつもりではいるぞ」

　「ありがとうございますわ。　それでしたら、平屋に出しておいて頂けましたら良いように致しますわ」

　「ふっ、やはりプレーリーが一番頼りになりそうだな。　負担かもしれんが、もし良ければまとめ役をして欲しい」

　セムネイルの言葉にプレーリーは嬉しそうに笑う。

　「光栄ですわ、セムネイル様。　必ずや、ご期待に添えてみせますわ！」

　「助かる。　頼んだ、俺達はちょっと街に出てくるから門は絶対に潜らないようにな」

　セムネイルはプレーリーの頭を撫でてから、グラ達の下へと向かった。

　プレーリーは頭を下げながら、横目で鬼人のオルガが嫉妬の目で見ているのを勝ち誇った笑顔で見返していた。

　セムネイルの知らない所で、新たな妻の座を狙う女達の戦いが始まる。