72 / 252
第71話 魔王大盤振る舞い
しおりを挟むそして、ついにその時はやってきた
ケイ様は陛下の側に立ち、僕達は専用に用意された席についた
案内された席は、ホール全体が見える、舞台の特等席のような場所
何も知らされずに集められた貴族たちも、それぞれ席につき始めた
僕達がいるこの席は高いところにあって、下にいるこれから裁かれる貴族たちがあまりにもちっぽけに見える
もちろん、その中にはプラント公爵もいる
あんなに恐れてた相手なのに、こんなに小さく見えるなんて
それだけでも圧倒的優位に立つような感覚がある
でも、今はそれは錯覚では無い
「これより、貴族裁判を執り行う!」
陛下の一声で裁判は開始した
何も知らなかった貴族たちはざわつき始めたが、高所から観察すると、これから裁かれる者とそうでない者の違いがよく分かる
「何かしただろうか」と焦る貴族
「知られたのではないか」と焦る貴族
顔色は全く違った
でも、公爵は焦りも恐怖も無く堂々と座っている
知られるはずないから焦る必要が無い、と思っているのだろう
……証拠は慎重なアズが集めた物だ、大丈夫
次々と裁かれる貴族達
そのどれもが爵位の剥奪や財産の没収などを言い渡されている
そしてついに来たプラント公爵
見たところ、残ってる反王室派は公爵のみ
反王室派の最後の裁判だ
「第一王子殺害未遂、他国との違法薬物の貿易、奴隷や兵器の取引等が挙げられます!」
「お待ちください、国王陛下!私はそれら全てに覚えが一切ございません!何か、情報の間違いではありませんか?」
こいつ……白々しい!
この期に及んで涼しい顔で嘘を吐いて、本当に人間か!?
今すぐ殴り込みたい衝動を抑えて、もう少し様子を見てみる
「ふむ……確かにそうかも知れぬ。ならばこの場でもう一度、証拠となる記録魔法を再生して見ようでは無いか。のぉ?プラント元・公爵よ」
「は……記録魔法?」
そうして再生された魔法は、それはそれはひどい物だった
密輸現場の、取引相手との会話
まともな精神で聴いてられるようなものでは無かった
公爵は戦争を起こそうとしていたんだ
なるほど……僕に渡してきた猛毒も戦争の兵器の試作品だったってこと
本当に救いようが無い
映像の他にも書面や証人など、公爵は絶対に逃げられなくなった
涼しい顔に焦りが見え、惨めったらしく言い訳を並べる姿は何よりも滑稽で、爵位を剥奪されたその男は醜態を晒しながら地下牢へと連れて行かれた
あとで面会の予定だけど、急に死んだ筈の双子が圧倒的な立場で現れたらどう反応するだろうか
楽しみっちゃ楽しみだけど、顔も見たく無いって気持ちもある
そんな風に考えていると、陛下がまた動き出した
さて、神子の役目はこれからだ……
ケイ様は陛下の側に立ち、僕達は専用に用意された席についた
案内された席は、ホール全体が見える、舞台の特等席のような場所
何も知らされずに集められた貴族たちも、それぞれ席につき始めた
僕達がいるこの席は高いところにあって、下にいるこれから裁かれる貴族たちがあまりにもちっぽけに見える
もちろん、その中にはプラント公爵もいる
あんなに恐れてた相手なのに、こんなに小さく見えるなんて
それだけでも圧倒的優位に立つような感覚がある
でも、今はそれは錯覚では無い
「これより、貴族裁判を執り行う!」
陛下の一声で裁判は開始した
何も知らなかった貴族たちはざわつき始めたが、高所から観察すると、これから裁かれる者とそうでない者の違いがよく分かる
「何かしただろうか」と焦る貴族
「知られたのではないか」と焦る貴族
顔色は全く違った
でも、公爵は焦りも恐怖も無く堂々と座っている
知られるはずないから焦る必要が無い、と思っているのだろう
……証拠は慎重なアズが集めた物だ、大丈夫
次々と裁かれる貴族達
そのどれもが爵位の剥奪や財産の没収などを言い渡されている
そしてついに来たプラント公爵
見たところ、残ってる反王室派は公爵のみ
反王室派の最後の裁判だ
「第一王子殺害未遂、他国との違法薬物の貿易、奴隷や兵器の取引等が挙げられます!」
「お待ちください、国王陛下!私はそれら全てに覚えが一切ございません!何か、情報の間違いではありませんか?」
こいつ……白々しい!
この期に及んで涼しい顔で嘘を吐いて、本当に人間か!?
今すぐ殴り込みたい衝動を抑えて、もう少し様子を見てみる
「ふむ……確かにそうかも知れぬ。ならばこの場でもう一度、証拠となる記録魔法を再生して見ようでは無いか。のぉ?プラント元・公爵よ」
「は……記録魔法?」
そうして再生された魔法は、それはそれはひどい物だった
密輸現場の、取引相手との会話
まともな精神で聴いてられるようなものでは無かった
公爵は戦争を起こそうとしていたんだ
なるほど……僕に渡してきた猛毒も戦争の兵器の試作品だったってこと
本当に救いようが無い
映像の他にも書面や証人など、公爵は絶対に逃げられなくなった
涼しい顔に焦りが見え、惨めったらしく言い訳を並べる姿は何よりも滑稽で、爵位を剥奪されたその男は醜態を晒しながら地下牢へと連れて行かれた
あとで面会の予定だけど、急に死んだ筈の双子が圧倒的な立場で現れたらどう反応するだろうか
楽しみっちゃ楽しみだけど、顔も見たく無いって気持ちもある
そんな風に考えていると、陛下がまた動き出した
さて、神子の役目はこれからだ……
11
お気に入りに追加
358
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる