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第71話 魔王大盤振る舞い
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「ジェム、代金は幾ら払えばいい」
セムネイルは魔剣デザイアを腰に差し、狼狽えるジェムに問い掛ける。
「お、お前……いや、貴女様は魔剣の魔王なんですかい!? それも、俺の打った剣を魔剣にしてくれた。 この恩、生涯忘れねぇです!」
しかし、ジェムは魔剣の魔王グラに感謝し全く話を聞いてない。
「あはは、別に良いよ。 私も、久し振りに良い腕前の鍛冶師に会えたからさ」
「ありがてぇ、ありがてぇ!」
拝む勢いのジェムにグラはドン引きだ。
「くっくっくっ、やれやれだな。 トム、代金を店の中に置いておく。 後でジェムに渡してくれ」
「おう! 俺もすげぇもん見せてもらったぜ。 俺も……兄貴みたいな才能が有ればな……」
嫉妬の視線を兄のジェムに向けているトムにセリスが問い掛ける。
「そういえば、トムさん。 このお店もそうですが、トムさんのお店も商品は何も無かったですがどうされたんですか? もしや、避難する人達が買ったり略奪を?」
セリスの質問に正気を取り戻したトムは苦笑いで答えた。
「あ~……あはは、まぁな。 全部避難しようとする奴等にやっちまったのさ。 少しでも……無事で逃げて欲しくてな」
「まさか、俺から買い取った物を全てタダでやったのか?」
「そうだ。 俺も逃げたかったけどよ、兄貴を置いて行く訳には行かねぇからな……」
そう言ってジェムを見ながら笑うトムを見て、セムネイルとセリスは笑った。
「くっくっくっ、トム。 店の商品を全て無くして、今後どうするんだ? 店は廃業か?」
「へっ! 兄ちゃん、俺を甘く見ないでくれ! 其処らのダンジョンにでも潜って金を稼いだら、また防具屋をやってやるよ! 素材があれば、俺でも良い防具が作れるんだからな!」
朗らかに笑うトムは良い顔をしていた。
「そうか……。 なら、良い。 じゃあ、またな。 おいグラ! 行くぞー!」
「はーい! じゃあね、ジェム。 今後も鍛冶頑張ってね。 良い魔剣になるのが打てたらまた見せてね」
「おう! 必ずや打って見せますぞ!」
「あはは、ありがとうよ兄ちゃん達!」
グラはジェムから逃げ出し、セリス達と共に鍛冶場を後にする。
そして、セムネイルはもぬけの殻となっている店の中をダンジョンで手に入れた金銀財宝で埋め尽くす。
天井に開けた4次元の穴から雨の様に金銀財宝が降る光景は、何も知らない人間が見たら自身の正気を疑う事だろう。
「うひゃー、凄いねセムネイル。 魔剣のお礼?」
「ん? そうだな。 それに、これだけ有ればトムも店をまたやれるだろ? 俺の自己満足の為に、プライド等捨てさせてやる。 ふはははは!」
ジェムの店の中は、ちょっとした城が買える金銀財宝で溢れる。
「よし、グラ、セリス。 スーパーに向かうぞ~」
「ふふ、自己満足ね~。 セリスちゃん、どう思う?」
「そうですね。 貴方様の思うままにされるのが一番かと思いますわ」
3人は今度こそ目的地であるスーパーへと向かった。
◆◇◆
「おいおい……嘘だろ」
ようやく到着した巨大なスーパーは、全ての窓ガラスが割られ入口も大破していた。
中を覗くが、トムとジェムの店同様に全てもぬけの殻だ。
セムネイル達が店の中に入ると、奥から1人の男が向かってきた。
「いらっしゃいやせ~。 とは言っても、もう商品は何もあらしませんがね。 おや?? お客様は、以前に我がスーパーで大量に買って下さったお客様じゃないです?」
現れたのは黒髪の中年男性だ。
「我がって事は、このスーパーの主か?」
「主だなんて滅相もない。 私はこのスーパーキヨスギの店長をしているキヨスケでございやす。 まぁ……していたが正しいのですがね~」
笑顔でキヨスケは答えるが、何処か寂しそうな顔をしていた。 セムネイルは周囲を確認してから、キヨスケに聞く。
「避難する奴等に略奪されたのか?」
「違いますよ~? スーパーキヨスケがもぬけの殻になったのは、昨日の災厄が終わってからですね~」
「意味が分からん。 終わった後に、何故こうなった」
「私のもう帰れない故郷ではですね~。 災害が起こり、沢山の人達が辛く悲しい思いをしていると誰かが手を差し伸べる優しい国民が多い国だったんですね」
「ほぉ、それは素晴らしい事だな」
「えぇ、そんな人間に私はなりたかった。 それだけなんですね~」
セムネイルはキヨスケの言葉で察した。 どうやら、先程のトム達と同じ様にこの異世界人らしきキヨスケという人間はお人好しなのだろう。
太古の神魔大戦では早死にするタイプの人間である。
「なれたなら良かったな。 それで……このリストにある物を欲しいんだが、用意出来るか?」
「拝見させて頂きやすね~。 あ~……申し訳ございやせんお客様。 此方の商品を用意するのは、我がスーパーキヨスケでは不可能ですね。仕入れれないので。 個別で契約していた農家や酪農家を紹介しますのでそちらへ行ってみて下さいませ~」
キヨスケはリストにスラスラと場所を記載し、セムネイルに返した。
「む……助かった。 ありがとう、店長」
「いえいえ、ご利用ありがとうございました。 お気をつけてお帰り下さいやせ~!」
綺麗なお辞儀をするキヨスケに手を振り、セムネイル達は店の中を歩いて外へと向かう。 しかし、ふとセムネイルは立ち止まった。
「ん? セムネイル??」
「貴方様、どうされたのですか?」
「いや……さっきのセリスが言ってた事を思い出してな」
セムネイルは優しい瞳をし、セリスの頭を撫でた。
「ちょっとやりたい事をやってくる」
セムネイルは踵を返し、キヨスケに伝えた。
「すまん、紹介の礼をしていなかった。 此処に置いとくから、受け取ってくれ」
又もや4次元の穴を天井に開き、巨大なスーパーを金銀財宝が埋め尽くした。
キヨスケは口を大きく開き、驚愕の余り硬直していた。
「じゃあな。 俺はこのスーパーとやらが気に入ってるんだ……また利用させてもらうからな」
去るセムネイルにキヨスケは何時までも深く頭を下げていた。
セムネイルは魔剣デザイアを腰に差し、狼狽えるジェムに問い掛ける。
「お、お前……いや、貴女様は魔剣の魔王なんですかい!? それも、俺の打った剣を魔剣にしてくれた。 この恩、生涯忘れねぇです!」
しかし、ジェムは魔剣の魔王グラに感謝し全く話を聞いてない。
「あはは、別に良いよ。 私も、久し振りに良い腕前の鍛冶師に会えたからさ」
「ありがてぇ、ありがてぇ!」
拝む勢いのジェムにグラはドン引きだ。
「くっくっくっ、やれやれだな。 トム、代金を店の中に置いておく。 後でジェムに渡してくれ」
「おう! 俺もすげぇもん見せてもらったぜ。 俺も……兄貴みたいな才能が有ればな……」
嫉妬の視線を兄のジェムに向けているトムにセリスが問い掛ける。
「そういえば、トムさん。 このお店もそうですが、トムさんのお店も商品は何も無かったですがどうされたんですか? もしや、避難する人達が買ったり略奪を?」
セリスの質問に正気を取り戻したトムは苦笑いで答えた。
「あ~……あはは、まぁな。 全部避難しようとする奴等にやっちまったのさ。 少しでも……無事で逃げて欲しくてな」
「まさか、俺から買い取った物を全てタダでやったのか?」
「そうだ。 俺も逃げたかったけどよ、兄貴を置いて行く訳には行かねぇからな……」
そう言ってジェムを見ながら笑うトムを見て、セムネイルとセリスは笑った。
「くっくっくっ、トム。 店の商品を全て無くして、今後どうするんだ? 店は廃業か?」
「へっ! 兄ちゃん、俺を甘く見ないでくれ! 其処らのダンジョンにでも潜って金を稼いだら、また防具屋をやってやるよ! 素材があれば、俺でも良い防具が作れるんだからな!」
朗らかに笑うトムは良い顔をしていた。
「そうか……。 なら、良い。 じゃあ、またな。 おいグラ! 行くぞー!」
「はーい! じゃあね、ジェム。 今後も鍛冶頑張ってね。 良い魔剣になるのが打てたらまた見せてね」
「おう! 必ずや打って見せますぞ!」
「あはは、ありがとうよ兄ちゃん達!」
グラはジェムから逃げ出し、セリス達と共に鍛冶場を後にする。
そして、セムネイルはもぬけの殻となっている店の中をダンジョンで手に入れた金銀財宝で埋め尽くす。
天井に開けた4次元の穴から雨の様に金銀財宝が降る光景は、何も知らない人間が見たら自身の正気を疑う事だろう。
「うひゃー、凄いねセムネイル。 魔剣のお礼?」
「ん? そうだな。 それに、これだけ有ればトムも店をまたやれるだろ? 俺の自己満足の為に、プライド等捨てさせてやる。 ふはははは!」
ジェムの店の中は、ちょっとした城が買える金銀財宝で溢れる。
「よし、グラ、セリス。 スーパーに向かうぞ~」
「ふふ、自己満足ね~。 セリスちゃん、どう思う?」
「そうですね。 貴方様の思うままにされるのが一番かと思いますわ」
3人は今度こそ目的地であるスーパーへと向かった。
◆◇◆
「おいおい……嘘だろ」
ようやく到着した巨大なスーパーは、全ての窓ガラスが割られ入口も大破していた。
中を覗くが、トムとジェムの店同様に全てもぬけの殻だ。
セムネイル達が店の中に入ると、奥から1人の男が向かってきた。
「いらっしゃいやせ~。 とは言っても、もう商品は何もあらしませんがね。 おや?? お客様は、以前に我がスーパーで大量に買って下さったお客様じゃないです?」
現れたのは黒髪の中年男性だ。
「我がって事は、このスーパーの主か?」
「主だなんて滅相もない。 私はこのスーパーキヨスギの店長をしているキヨスケでございやす。 まぁ……していたが正しいのですがね~」
笑顔でキヨスケは答えるが、何処か寂しそうな顔をしていた。 セムネイルは周囲を確認してから、キヨスケに聞く。
「避難する奴等に略奪されたのか?」
「違いますよ~? スーパーキヨスケがもぬけの殻になったのは、昨日の災厄が終わってからですね~」
「意味が分からん。 終わった後に、何故こうなった」
「私のもう帰れない故郷ではですね~。 災害が起こり、沢山の人達が辛く悲しい思いをしていると誰かが手を差し伸べる優しい国民が多い国だったんですね」
「ほぉ、それは素晴らしい事だな」
「えぇ、そんな人間に私はなりたかった。 それだけなんですね~」
セムネイルはキヨスケの言葉で察した。 どうやら、先程のトム達と同じ様にこの異世界人らしきキヨスケという人間はお人好しなのだろう。
太古の神魔大戦では早死にするタイプの人間である。
「なれたなら良かったな。 それで……このリストにある物を欲しいんだが、用意出来るか?」
「拝見させて頂きやすね~。 あ~……申し訳ございやせんお客様。 此方の商品を用意するのは、我がスーパーキヨスケでは不可能ですね。仕入れれないので。 個別で契約していた農家や酪農家を紹介しますのでそちらへ行ってみて下さいませ~」
キヨスケはリストにスラスラと場所を記載し、セムネイルに返した。
「む……助かった。 ありがとう、店長」
「いえいえ、ご利用ありがとうございました。 お気をつけてお帰り下さいやせ~!」
綺麗なお辞儀をするキヨスケに手を振り、セムネイル達は店の中を歩いて外へと向かう。 しかし、ふとセムネイルは立ち止まった。
「ん? セムネイル??」
「貴方様、どうされたのですか?」
「いや……さっきのセリスが言ってた事を思い出してな」
セムネイルは優しい瞳をし、セリスの頭を撫でた。
「ちょっとやりたい事をやってくる」
セムネイルは踵を返し、キヨスケに伝えた。
「すまん、紹介の礼をしていなかった。 此処に置いとくから、受け取ってくれ」
又もや4次元の穴を天井に開き、巨大なスーパーを金銀財宝が埋め尽くした。
キヨスケは口を大きく開き、驚愕の余り硬直していた。
「じゃあな。 俺はこのスーパーとやらが気に入ってるんだ……また利用させてもらうからな」
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