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第69話 治癒の女神は葡萄好き
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「んぐっ……ぷはぁっ♡ もぉ、セムネイル……ダメだよ」
唇を離し、舌を抜かれたグラは全身を震わせる。
「いいかグラ。 もし、次に余計な事を言ったらキスは無しだからな?」
「……うん、分かったよ♡」
熱い口づけを交わしたグラは頬を赤くしながら大人しく頷いた。
その行為をセリスは物欲しそうに黙って見ている。
「セリス、後で必ずしてやる。 今は待ってくれるか?」
それに気付いたセムネイルがセリスに頼むと、セリスは嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ、勿論です貴方様。 妻姉妹の次女としての余裕がありますから♡」
セムネイルは理解のあるセリスの頭を優しく撫でてから、ブッチ達の方を向く。
「面倒臭いから先に言っておく。 礼は不要だ。 結果的にお前達を助けたかもしれないが、街の魔物を殲滅したのも全て俺の妻を助ける為だ。 サシャは別として、他の冒険者達や街の人間を助けるのが目的では無かった。 いいか?」
完全に制止していたブッチ達はセムネイルの言葉でようやく動き出す。
「そ、そうか……分かった。 それより、治癒の女神様云々は……どういう事か教えてくれるか? 実は……」
ブッチの後ろでは、何故かキレるリックとメルディの姿があった。
「ウルナ様を自分の女にしたとか。 不敬にも程がある」
「そうですね、メルディ様の言う通り。 治癒の女神ウルナ様の信者としては聞き捨てなりませんぞ」
「っていう事情があってな……すまん」
受付のサシャも心穏やな顔では無い訝しげな表情で成り行きを見守ってる。
謝るブッチに対し、セムネイルはため息を吐き契約魔法を発動させた。
「はぁ……契約せし癒しの女神よ、神々を裏切り俺を味方した慈悲深き女神よ。 説明が面倒臭くて喚ぶのを許してくれ、治癒の女神ウルナよ 」
セムネイルの背後に半透明の治癒の女神ウルナが現れ、己の信者であるメルディとリックに微笑む。
「な……あり得な……い」 「まさか……本当に、ウルナ様なのですか?」
メルディとリックは呆然自失とし、サシャも受付から出てウルナの前で祈る。 ブッチとルーザーも目を見開き硬直した。
「治癒の女神ウルナ様! 昨日は奇跡で助けてくださり本当にありがとうございました!」
サシャが祈りながらウルナに感謝するが、当のウルナは首を傾げて手を横に振る。 その後、セムネイルを指差して微笑んだ。
「え……? 昨日のは本当に……お兄さんが?」
信仰する女神ウルナに真実を伝えられたのだ、流石のサシャも受け入れたのかセムネイルに敬愛の瞳を向ける。
「よせ、サシャ。 そんな目で見るな……抱きたくなるだろ。 あ、そうだ。 ウルナ、ちゃんとサシャに礼を言えよ? ほれ、今もあんなに葡萄を供えてくれてるんだ」
「え、お兄さん何を……」
ウルナはセムネイルが指を示した方を見て、声無き声で大喜びする。 飛んで跳ねる姿は大好物を前にした少女の様だ。
そしてセムネイルに言われた通りサシャに深くお礼のお辞儀をし、セムネイルに触れれない口づけをした後にウルナは消えていった。
「やれやれ、相変わらず葡萄が大好きだな。 さて、もう良いよな? あ! そういえば、ダンジョンに行く前に話があるとか言ってたよな? 今日の夜は先約があるから、明日でも良いか?」
顔を真っ赤にしたサシャは無言でコクコクと頷く。
「おう、分かった。 じゃあ、買い物したらまた帰ってくるから。 またな」
「それではサシャさん、失礼しますね」
「ねぇ、セリスちゃん。 あのサシャもセムネイルの奥さんになるの? んぐっ?!」
セリスはグラの口を塞ぎながらセムネイルの後を追う。
竜の尻尾達は呆然としたままセムネイル達を見送ったのであった。
◆◇◆
宿屋を出たセムネイル達は市場エリアに向かって歩き出したが、人気の無い所で止まった。
まだ昨日の災厄の後であり、人々は元の生活を取り戻していない為か人通りは少なく閉まっている店が殆どだった。
「ん? ねぇ、セムネイル。 どうしたの?」
「此処なら良いな。 セリス、来い」
セムネイルに手招きされ、セリスは直ぐに胸に飛び込んだ。
「嬉しいです、貴方様♡ んっ♡」
「必ずしてやると言っただろ?」
それから暫く、セムネイルとセリスは人気の無い所で熱い口づけを交わした。
「むー……私さっきしてもらったから、我慢できるもん」
この後に、拗ねたグラに追加で痙攣するまでキスをしたのは言うまでも無いだろう。
唇を離し、舌を抜かれたグラは全身を震わせる。
「いいかグラ。 もし、次に余計な事を言ったらキスは無しだからな?」
「……うん、分かったよ♡」
熱い口づけを交わしたグラは頬を赤くしながら大人しく頷いた。
その行為をセリスは物欲しそうに黙って見ている。
「セリス、後で必ずしてやる。 今は待ってくれるか?」
それに気付いたセムネイルがセリスに頼むと、セリスは嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ、勿論です貴方様。 妻姉妹の次女としての余裕がありますから♡」
セムネイルは理解のあるセリスの頭を優しく撫でてから、ブッチ達の方を向く。
「面倒臭いから先に言っておく。 礼は不要だ。 結果的にお前達を助けたかもしれないが、街の魔物を殲滅したのも全て俺の妻を助ける為だ。 サシャは別として、他の冒険者達や街の人間を助けるのが目的では無かった。 いいか?」
完全に制止していたブッチ達はセムネイルの言葉でようやく動き出す。
「そ、そうか……分かった。 それより、治癒の女神様云々は……どういう事か教えてくれるか? 実は……」
ブッチの後ろでは、何故かキレるリックとメルディの姿があった。
「ウルナ様を自分の女にしたとか。 不敬にも程がある」
「そうですね、メルディ様の言う通り。 治癒の女神ウルナ様の信者としては聞き捨てなりませんぞ」
「っていう事情があってな……すまん」
受付のサシャも心穏やな顔では無い訝しげな表情で成り行きを見守ってる。
謝るブッチに対し、セムネイルはため息を吐き契約魔法を発動させた。
「はぁ……契約せし癒しの女神よ、神々を裏切り俺を味方した慈悲深き女神よ。 説明が面倒臭くて喚ぶのを許してくれ、治癒の女神ウルナよ 」
セムネイルの背後に半透明の治癒の女神ウルナが現れ、己の信者であるメルディとリックに微笑む。
「な……あり得な……い」 「まさか……本当に、ウルナ様なのですか?」
メルディとリックは呆然自失とし、サシャも受付から出てウルナの前で祈る。 ブッチとルーザーも目を見開き硬直した。
「治癒の女神ウルナ様! 昨日は奇跡で助けてくださり本当にありがとうございました!」
サシャが祈りながらウルナに感謝するが、当のウルナは首を傾げて手を横に振る。 その後、セムネイルを指差して微笑んだ。
「え……? 昨日のは本当に……お兄さんが?」
信仰する女神ウルナに真実を伝えられたのだ、流石のサシャも受け入れたのかセムネイルに敬愛の瞳を向ける。
「よせ、サシャ。 そんな目で見るな……抱きたくなるだろ。 あ、そうだ。 ウルナ、ちゃんとサシャに礼を言えよ? ほれ、今もあんなに葡萄を供えてくれてるんだ」
「え、お兄さん何を……」
ウルナはセムネイルが指を示した方を見て、声無き声で大喜びする。 飛んで跳ねる姿は大好物を前にした少女の様だ。
そしてセムネイルに言われた通りサシャに深くお礼のお辞儀をし、セムネイルに触れれない口づけをした後にウルナは消えていった。
「やれやれ、相変わらず葡萄が大好きだな。 さて、もう良いよな? あ! そういえば、ダンジョンに行く前に話があるとか言ってたよな? 今日の夜は先約があるから、明日でも良いか?」
顔を真っ赤にしたサシャは無言でコクコクと頷く。
「おう、分かった。 じゃあ、買い物したらまた帰ってくるから。 またな」
「それではサシャさん、失礼しますね」
「ねぇ、セリスちゃん。 あのサシャもセムネイルの奥さんになるの? んぐっ?!」
セリスはグラの口を塞ぎながらセムネイルの後を追う。
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