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第68話 買い物に行く前の面倒事
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セムネイルとセリスが平屋を出るとグラが待っていた。
「むー、セムネイル! 私を置いて居なくなるなよ」
「おはよう、グラ。 すまんな、許してくれ」
むくれるグラの頭を撫でながら謝るが、グラの不機嫌は直ぐに治りそうも無かった。
「グラさん、おはようございます。 昨日話してた亜人の皆さんと今後の事を決めて来ただけですよ」
「おはよう、セリスちゃん。 そっか~……それで? あの娘達はどうするの?」
「全員、俺の4次元で面倒を見ることにした。 これから買い出しだ」
グラはセムネイルの片腕に嬉しそうに絡まるセリスを見て、少し俯く。
「そっか……うん、分かったよ。 家で待ってるね」
同じ乙女のセリスはグラの心中を一瞬で把握し、二人っきりのデートを即断で諦めた。
「グラさんも一緒に行きませんか? ほら、街もゆっくり見て回ってないですし……ね?」
セムネイルがこっそりセリスの顔を見ると、笑顔で頷いたので二人っきりのデートだった事は黙っている事にした。
「セリスちゃん……。 セムネイル……いいのか?」
嬉しそうに聞くグラとセリスの頭を撫でたセムネイルは笑う。
「くっくっくっ、俺の妻達は皆良い女だな。 俺には勿体ないぐらいだ。 勿論だグラ、3人で買い物に行こう。 ダブルデートだな!」
「やった! えへへ……ありがとうセリスちゃん」
グラは喜びのあまり、セリスに抱きつく。
「気にしないで下さいませ。 私達は妻姉妹じゃないですか」
「うむ、仲が良いのが一番だからな。 よし、行くか。 あ、それとグラ」
「んー? どうしたのさ」
「その髪型、似合ってるぞ」
グラは下ろしていた黒髪を後ろで束ねポニーテールにしていたのだが、まさか褒められるとは思わず嬉しそうに微笑んだ。
「ほんと? えへへ……そっか」
「貴方様、グラさん可愛すぎません?」
「だろ? 俺も思ってた所だ」
すっかり機嫌を直したグラを連れて、セムネイル達は門を潜った。
◆◇◆
「あら、おはようさん。 先にローズちゃん達が出掛けたよ。 他の皆はまだ寝てるのかい?」
宿屋の地下から上へ行くと、サシャが朝から忙しそうに仕事をしていた。
「いや、今は走り回ったり大部屋で楽しそうに話してたな」
「……へ?」
何のことか分からないサシャは呆けた顔をしていたが、理由を知っているセリスは笑う。
「なんでもない、少し買い物に出る。 地下の部屋には入らないでくれ」
「勿論だよ! いってらっしゃ~い! ごめんね、街の英雄さん方を持たせちゃって……どうしたんだい?」
セムネイル達が宿屋を出ようと出口に向かっていると、受付に居た男達が道を防ぐ。
「……何だお前等? 何か用か」
立ち塞がったのは、ボロボロの重装備を着た男とボロボロのローブを着た老人だった。 受付には弓を背中に装備した少女とボロボロの暗殺者風の男も居るが、様子見なのか近くには来なかった。
「なぁ……アンタ、昨日城門で俺達を助けてくれた人だよな」
「いや? 悪いが知らんな」
セムネイルは面倒臭い気配を察知し、しらを切る。
「いやいや、絶対にそうだって! なぁリック!」
「確かです。 貴方と同じ黒髪と赤い目の色をしているそちらのお嬢さんも助けて下さいましたな」
Sランク冒険者竜の尻尾リーダーのブッチとリックは、城門でセムネイルとグラに助けられた事をしっかり覚えていた。
「あ! セムネイル、この2人って昨日街に入る前に雑魚達と遊んでた奴等じゃん! 何、もう忘れたの?」
更に、全く旦那の意図を理解しないグラが知っていると発言してしまう。
「ほら、やっぱり! あん時は本当にありがとうな! 俺はSランク冒険者竜の尻尾っていうパーティーのブッチってもんだ。 あの後も、おかげで無事に仲間と合流出来たんだよ!」
「まぁ、ルーザーは無事ではありませんでしたが。 しかし、治癒の女神ウルナ様の奇跡で助かったのです」
「そうか、良かったな。 じゃあな」
既に全力で面倒臭くなったセムネイルは頷き、早々に会話を終わらそうとする。
「ん? 何言ってんだあの爺ちゃん。 あの回復魔法はセムネイルが自分の女にした治癒の女神ウルナを喚んで使ったんだぞ?」
「「……え?」」 「「……今、何て?」」 「……自分の女にした?」
しかし、残念ながら又もや全てグラが喋ってしまう。
竜の尻尾のメンバーは固まり、受付に居たサシャも固まってしまった。
「グラさん……」
セリスも止めようとしたが、時すでに遅しだ。
「グラ、頼む。 口を塞いでてくれ」
頭を抑えるセムネイルに注意されたが、グラは全く理解していない。
「え? 何々、どしたの? あっ、まさか……セムネイルの口で塞いでやろうかって? もぉ~……馬鹿♡ んんっ?!♡」
お仕置きにならないが、セムネイルは注意する思いも込めてグラに強引に口づけを交わしグラは身体を痙攣させた。
「むー、セムネイル! 私を置いて居なくなるなよ」
「おはよう、グラ。 すまんな、許してくれ」
むくれるグラの頭を撫でながら謝るが、グラの不機嫌は直ぐに治りそうも無かった。
「グラさん、おはようございます。 昨日話してた亜人の皆さんと今後の事を決めて来ただけですよ」
「おはよう、セリスちゃん。 そっか~……それで? あの娘達はどうするの?」
「全員、俺の4次元で面倒を見ることにした。 これから買い出しだ」
グラはセムネイルの片腕に嬉しそうに絡まるセリスを見て、少し俯く。
「そっか……うん、分かったよ。 家で待ってるね」
同じ乙女のセリスはグラの心中を一瞬で把握し、二人っきりのデートを即断で諦めた。
「グラさんも一緒に行きませんか? ほら、街もゆっくり見て回ってないですし……ね?」
セムネイルがこっそりセリスの顔を見ると、笑顔で頷いたので二人っきりのデートだった事は黙っている事にした。
「セリスちゃん……。 セムネイル……いいのか?」
嬉しそうに聞くグラとセリスの頭を撫でたセムネイルは笑う。
「くっくっくっ、俺の妻達は皆良い女だな。 俺には勿体ないぐらいだ。 勿論だグラ、3人で買い物に行こう。 ダブルデートだな!」
「やった! えへへ……ありがとうセリスちゃん」
グラは喜びのあまり、セリスに抱きつく。
「気にしないで下さいませ。 私達は妻姉妹じゃないですか」
「うむ、仲が良いのが一番だからな。 よし、行くか。 あ、それとグラ」
「んー? どうしたのさ」
「その髪型、似合ってるぞ」
グラは下ろしていた黒髪を後ろで束ねポニーテールにしていたのだが、まさか褒められるとは思わず嬉しそうに微笑んだ。
「ほんと? えへへ……そっか」
「貴方様、グラさん可愛すぎません?」
「だろ? 俺も思ってた所だ」
すっかり機嫌を直したグラを連れて、セムネイル達は門を潜った。
◆◇◆
「あら、おはようさん。 先にローズちゃん達が出掛けたよ。 他の皆はまだ寝てるのかい?」
宿屋の地下から上へ行くと、サシャが朝から忙しそうに仕事をしていた。
「いや、今は走り回ったり大部屋で楽しそうに話してたな」
「……へ?」
何のことか分からないサシャは呆けた顔をしていたが、理由を知っているセリスは笑う。
「なんでもない、少し買い物に出る。 地下の部屋には入らないでくれ」
「勿論だよ! いってらっしゃ~い! ごめんね、街の英雄さん方を持たせちゃって……どうしたんだい?」
セムネイル達が宿屋を出ようと出口に向かっていると、受付に居た男達が道を防ぐ。
「……何だお前等? 何か用か」
立ち塞がったのは、ボロボロの重装備を着た男とボロボロのローブを着た老人だった。 受付には弓を背中に装備した少女とボロボロの暗殺者風の男も居るが、様子見なのか近くには来なかった。
「なぁ……アンタ、昨日城門で俺達を助けてくれた人だよな」
「いや? 悪いが知らんな」
セムネイルは面倒臭い気配を察知し、しらを切る。
「いやいや、絶対にそうだって! なぁリック!」
「確かです。 貴方と同じ黒髪と赤い目の色をしているそちらのお嬢さんも助けて下さいましたな」
Sランク冒険者竜の尻尾リーダーのブッチとリックは、城門でセムネイルとグラに助けられた事をしっかり覚えていた。
「あ! セムネイル、この2人って昨日街に入る前に雑魚達と遊んでた奴等じゃん! 何、もう忘れたの?」
更に、全く旦那の意図を理解しないグラが知っていると発言してしまう。
「ほら、やっぱり! あん時は本当にありがとうな! 俺はSランク冒険者竜の尻尾っていうパーティーのブッチってもんだ。 あの後も、おかげで無事に仲間と合流出来たんだよ!」
「まぁ、ルーザーは無事ではありませんでしたが。 しかし、治癒の女神ウルナ様の奇跡で助かったのです」
「そうか、良かったな。 じゃあな」
既に全力で面倒臭くなったセムネイルは頷き、早々に会話を終わらそうとする。
「ん? 何言ってんだあの爺ちゃん。 あの回復魔法はセムネイルが自分の女にした治癒の女神ウルナを喚んで使ったんだぞ?」
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頭を抑えるセムネイルに注意されたが、グラは全く理解していない。
「え? 何々、どしたの? あっ、まさか……セムネイルの口で塞いでやろうかって? もぉ~……馬鹿♡ んんっ?!♡」
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