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第60話 嫉妬と我が家へ

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 「ローズ、セリス! リンとノラは居たぞ」

 セムネイルはリンとノラを連れ、4次元の扉前に戻る。

 「あ、ノラちゃん! リンちゃん!」

 「ローズ! この馬鹿!」

 「ノラさん、言い過ぎです。 ローズ姉さん……心配したんですから。 でも、ふふ……セムネイル様が絶対に大丈夫って言ったら全然不安にならなくなったんです」

 「俺もだぞ! セムネイルなら絶対に助けれるって思ったからな! 言われた通り、街の皆を助けたぞ! 偉いか?!」

 「ごめんね、2人共。 ありがとう……街の皆を助けてくれて。 凄く偉いよ」

 ローズは2人を抱きしめる。

 「ふふ、心配性な妻達ばかりですが……貴方様が一番心配してたのは秘密ですわね?」

 「くっくっくっ、秘密で頼むセリス。 後は、アヤメとカリンコリンだな。 早く、探さないとな。 それに……む」

 「あら? ふふ、どうぞ貴方様。 新しい姉妹を早くお迎えに行ってあげて下さい」

 セリスに笑われながら、セムネイルは冒険者達が集まっている所に急ぐ。

 ◆◇◆

 「な、なぁ! 俺達の仲間になってくれよ!」 「馬鹿だね! グラさんは、私達のパーティーに入るのよ!」 「恋人……居る?」 「助けてくれてありがとうな! グラの姉貴に俺一生付いて行くぜ!」 「す、好きだ! 俺と付き合ってくれないか?」

 冒険者達を助けた魔剣の魔王グラは、大勢の冒険者達に詰め寄られていた。 パーティーの勧誘から、助けられたお礼に、極めつけには告白までされている。

 「え、あ、その、待って、私は……きゃっ!」

 あたふたしているグラを後ろからセムネイルは抱きしめ、冒険者達を睨みつける。

 「おい、お前等。 コイツは俺のだ、二度と近寄るな!!」

 「あ、あんたは……!」 「「「「「ひぃー! 殺さないでー!」」」」」

 殺気を叩きつけられた冒険者達は悲鳴を上げながら一目散に逃げ出し、あっという間にセムネイルとグラだけになった。

 「な、何だよセムネイル……嫉妬か?」

 「ふん……悪いか?」

 セムネイルに意地悪を言ったつもりが、まさかの返答にグラは耳まで顔を赤く染めた。

 「ふ、ふーん……そっか。 私がどれだけ長い時間、アンタを想ってたと思ってるんだよ。 他の男になんか行くもんか……馬鹿」

 グラが俯きながら言うと、臀部に硬い何かがゴリゴリと当たり始めた。

 「ちょっ♡ 馬鹿、セムネイル……どこでおっ勃ててんのよ! それに、私の身体は……」

 「うるさい。 グラ、早く家に帰って抱かせろ……ほら、お前のだって大きく」

 セムネイルの手がスルスルとグラが着てるローブの中に入り、敏感な所を弄り始めた。

 「ばっ♡ ダメだって、セムネイル。 んっ♡ どこ擦って……♡ んっんっんっ♡」

 首筋に口づけをし、そのままグラの大きくなった物を嬲ろうとした所で遠くの道から誰かが走ってきた。

 「破廉恥ーーー!! 淫ら! 破廉恥淫らーー! 街の道で堂々と何をナニして何をしてるんですかー!」

 意味不明な事を顔を真っ赤にしなが叫んでいるのは、女勇者タリアだ。

 「ん……? 俺の女を愛して何が悪いんだ?」

 「えっ?! じゃあ……いい訳あるかー! 家でして下さいよ! 家で!」

 「そうだよセムネイル、家で……な?」

 「ふむ、仕方ないな。 だが、避難させた住民達が全員出てくるまで帰れないんだ。 もう少し待てるな? グラ」

 「……うん。 馬鹿、キスもダメっ♡ ん♡」

 2人を止めに来た筈が、凄まじくいやらしい口づけが始まりタリアの目は釘付けになる。

 「おいおい、タリアには刺激が強すぎるんじゃねぇのか?」

 タリアの後ろからアヤメ達も到着し、タリアの様子に苦笑いだ。

 「「うん、処女だから」」

 「貴女達もだったじゃん! 何急にマウント取ってんのよ! もう! 街を助けようと頑張ったのに! 何なんですか、あのめちゃくちゃな魔法は! 強すぎるよーーー! うわーーーん!」

 感情がオーバーヒートしたタリアは突然泣き始めてしまう。

 「なぁ……アヤメ。 タリア……大丈夫なのか?」

 流石に心配になったセムネイルは、グラとのイチャ付きを中断しアヤメに聞く。

 「うん……色々有るんだよ。 もし、許してくれるなら平屋で休ませても良いかな……?」

 「俺の妻達の仲間だ、良いに決まってるだろ? よし、タリアは俺が運んでやる。 グラ、後でな?」  

 アヤメは顔を赤くし、好きな男に愛される幸せに呆けていたグラも頷いた。

 「えへへ……流石私の旦那様だ」

 「ん……。 でも、その娘は私が運ぶから。 セムネイルは先に歩いて」

 何故かセムネイルでは無く、グラが泣きじゃくるタリアを背負う。

 「……お、おう。 よし、セリス達の所に戻って今度こそ家に帰るぞ~」

 「んー」 「はーい!」 「「帰りましょう、我が家へ」」

 「うわぁーーん! 私なんか、私なんかー!」

 こうしてセムネイル達は全員と合流し、ようやくひと息ついた。
 まだ、街の被害の確認や魔物達の死骸回収等やる事は山積みだろうが、衛兵長とギルマスに全てぶん投げたセムネイルは全く気にせずにサシャの宿屋に向かうのであった。
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