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第57話 街を救う
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「ふはははは! 流石、俺の妻だ。 ローズ、よく無事だった……会いたかったぞ」
ローズと戦っていたミノタウロスの頭を握り潰し、ローズを抱きしめる。
「セムネイル様……私も会いたかったです。 すみません……セリスちゃんや、皆に留まるように言われたのに」
「構わん。 世話になったタナカを助けたかったのであろう? なら、俺が言う言葉は一つだ。 良くやった」
セムネイルは怒る事無くローズの頭を優しく撫でる。
無事ならそれでいい。
セムネイルからの愛を感じたローズは、幸せそうにセムネイルを抱きしめた。
「いや、其処のお二人さん! 俺も助けてもらえねぇかな! 一応、ローズ助けに来てんだけど俺!」
2人の逢瀬を邪魔する者にセムネイルは嫌な顔をするが、ギルドマスターゼゴンが約束を守ろうとした事を知り仕方なく助ける。
「やれやれ、こんな雑魚ぐらいさっさと倒せよ蛸」
セムネイルがブラックゴブリンキング達を瞬殺し。
泣きそうな顔で複数のブラックゴブリンキングに襲われていたゼゴンは、尻もちを付いた。
「た、助かったー! いや、本当にローズ何があったんだ? 斬られたのにピンピンしてたよな?」
「あはは、私もさっぱりでして……」
「今は考えるな。 おいタナカ! もういいぞ!」
店の影からタナカが走ってくる。
「ローズちゃん! ごめんよ、私を助けに来たばっかりに」
タナカは親子を救いに出たローズを心配し、その場から逃げ様としなかった。
「タナカさん、何故逃げなかったのですか! セムネイル様、タナカさんを早く安全な所に」
ローズはタナカを連れて安全な場所に移動しようとしたが、セムネイルはそれを止めた。
「いや、必要無い」
「おぉ? 必要無いって……まさか見殺しにするんですかい?」
ギルドマスターゼゴンが失礼な事を言うが、セムネイルは気にも止めない。
「直ぐに殲滅するから待ってろ。 蛸、ローズとタナカを店で守ってろ。 俺は、ちょっと上空に行って来る」
「セムネイル様! 街を……どうかお願いします! 嫌な思い出も沢山ありますが……大切な街なんです!」
「ふっ、俺の妻が大事に想う街なら救わないとな。 待ってろ!」
セムネイルは空中に飛び上がり、街を見渡す上空へと浮き上がった。
「我と契約せし重力喚びの魔女サリアよ、魔物達のみを撃ち抜く宇宙を流るる流星群を呼び寄せろ! その姿を現し、重力魔法の真髄を人間達に見せてやれ! 流星の雨!!」
セムネイルの背後に半透明の魔女サリアが現れ、手に持つ杖を空に掲げる。
すると空が黒くなり、蒼い無数の光りが街へと降り注いだ。
◆◇◆
「くそ! ルーザー、しっかりしろ!! リック、ルーザーを連れて広場に戻るぞ!」
「ブッチ、まだブラックゴブリンキング達が来ています! まだ息があるなら連れて避難を! 私が囮になります!」
「馬鹿野郎! それじゃあ、お前が死んじまうだろうが! メルディはどうするんだよ! お前はアイツを死ぬまで守ると誓ったんだろ!?」
「ほっほっほ……メルディ様に申し訳無いとお伝え下さい。 早く行って!」
ブッチがルーザーを担ぎ、リックがその身を囮にしようとしたその時。 突如空から飛来した蒼い流星群が魔物達の頭を撃ち抜いた。
ブッチ達を囲んだブラックゴブリンキング達は爆ぜた頭部から噴水の如き血を吹き出しながら地面に倒れる。
「……は?」
「い、今のは……魔法!?」
ブッチは何が起きたか分からず途方にくれたが、魔法使いのリックだけは凄まじい魔法が使われたのだと気付いた。
◆◇◆
「アヤメ! カリンにコリンも! どうして此処に!?」
城門の前に残っていたブラックゴブリンキングを殲滅したタリアとメルディは反対の城門に向かう途中、アヤメ達と合流した。
「どうしてもクソもないよ! 怪我してるじゃんか! カリン、ヒールを。 ん? そっちのは……誰だい?」
カリンが全身を傷だらけのタリアにヒールを行う。
「タリア、動かないで。 癒しの精霊、癒やしの女神の眷属よ、我が友を癒やし傷を消し去り給え、ヒール」
「ありがとうカリン。 また会えて本当に嬉しい」
カリンとコリンがタリアの治療をしている間、アヤメはメルディと話す。
「私はメルディ。 Sランク冒険者竜の尻尾パーティーの一員よ。 其処の勇者さんが魔物に突っ込んだから、援護してた」
「そうなのか! ありがとう! 私達はSランク冒険者神の使徒だ。 リーダーのタリアを助けてくれてありがとう」
「別に。 それより、もう1つの城門に仲間が居る筈なの。 ごめんね、私は行くから」
「そうか……私達は広場に別の仲間達を置いて来たからそっちに居る。 もし、治療が必要なら来てくれ!」
メルディは手を振りながら、遠くに見える黒煙に向かって走り出した。
「アヤメも会いたかったよ。 それで……3人の旦那様は? 此処に居るって事はダンジョンを攻略したって事よね?」
「あぁ、今は長女の姐さんを助けに行ってる。 私達は広場に行かな……あ! アレだよ、私達の旦那様は!」
アヤメが空を指差し、タリアも上空を見上げた。
すると、セムネイルが空に舞い上がり何かを唱えているのが見えた。
「え……? 何をしてるの……?」
次の瞬間、セムネイルの背後に半透明な女性が現れ空が真っ黒に染まった。
そして、蒼い流星群が街に降り注いだのだ。
「「タリア、もう安心。 セムネイル様は神。 あの魔法で恐らく全ての魔物を殲滅した」」
「あぁ、そうだろうな。 へへっ、流石私の旦那様だ!」
3人は当たり前の様にこの光景を受け入れているが、タリアだけは呆然としあり得ない光景を見つめていた。
「あれが……欲望と狭間の魔王セムネイル。 何て……綺麗で圧倒的な力」
ローズと戦っていたミノタウロスの頭を握り潰し、ローズを抱きしめる。
「セムネイル様……私も会いたかったです。 すみません……セリスちゃんや、皆に留まるように言われたのに」
「構わん。 世話になったタナカを助けたかったのであろう? なら、俺が言う言葉は一つだ。 良くやった」
セムネイルは怒る事無くローズの頭を優しく撫でる。
無事ならそれでいい。
セムネイルからの愛を感じたローズは、幸せそうにセムネイルを抱きしめた。
「いや、其処のお二人さん! 俺も助けてもらえねぇかな! 一応、ローズ助けに来てんだけど俺!」
2人の逢瀬を邪魔する者にセムネイルは嫌な顔をするが、ギルドマスターゼゴンが約束を守ろうとした事を知り仕方なく助ける。
「やれやれ、こんな雑魚ぐらいさっさと倒せよ蛸」
セムネイルがブラックゴブリンキング達を瞬殺し。
泣きそうな顔で複数のブラックゴブリンキングに襲われていたゼゴンは、尻もちを付いた。
「た、助かったー! いや、本当にローズ何があったんだ? 斬られたのにピンピンしてたよな?」
「あはは、私もさっぱりでして……」
「今は考えるな。 おいタナカ! もういいぞ!」
店の影からタナカが走ってくる。
「ローズちゃん! ごめんよ、私を助けに来たばっかりに」
タナカは親子を救いに出たローズを心配し、その場から逃げ様としなかった。
「タナカさん、何故逃げなかったのですか! セムネイル様、タナカさんを早く安全な所に」
ローズはタナカを連れて安全な場所に移動しようとしたが、セムネイルはそれを止めた。
「いや、必要無い」
「おぉ? 必要無いって……まさか見殺しにするんですかい?」
ギルドマスターゼゴンが失礼な事を言うが、セムネイルは気にも止めない。
「直ぐに殲滅するから待ってろ。 蛸、ローズとタナカを店で守ってろ。 俺は、ちょっと上空に行って来る」
「セムネイル様! 街を……どうかお願いします! 嫌な思い出も沢山ありますが……大切な街なんです!」
「ふっ、俺の妻が大事に想う街なら救わないとな。 待ってろ!」
セムネイルは空中に飛び上がり、街を見渡す上空へと浮き上がった。
「我と契約せし重力喚びの魔女サリアよ、魔物達のみを撃ち抜く宇宙を流るる流星群を呼び寄せろ! その姿を現し、重力魔法の真髄を人間達に見せてやれ! 流星の雨!!」
セムネイルの背後に半透明の魔女サリアが現れ、手に持つ杖を空に掲げる。
すると空が黒くなり、蒼い無数の光りが街へと降り注いだ。
◆◇◆
「くそ! ルーザー、しっかりしろ!! リック、ルーザーを連れて広場に戻るぞ!」
「ブッチ、まだブラックゴブリンキング達が来ています! まだ息があるなら連れて避難を! 私が囮になります!」
「馬鹿野郎! それじゃあ、お前が死んじまうだろうが! メルディはどうするんだよ! お前はアイツを死ぬまで守ると誓ったんだろ!?」
「ほっほっほ……メルディ様に申し訳無いとお伝え下さい。 早く行って!」
ブッチがルーザーを担ぎ、リックがその身を囮にしようとしたその時。 突如空から飛来した蒼い流星群が魔物達の頭を撃ち抜いた。
ブッチ達を囲んだブラックゴブリンキング達は爆ぜた頭部から噴水の如き血を吹き出しながら地面に倒れる。
「……は?」
「い、今のは……魔法!?」
ブッチは何が起きたか分からず途方にくれたが、魔法使いのリックだけは凄まじい魔法が使われたのだと気付いた。
◆◇◆
「アヤメ! カリンにコリンも! どうして此処に!?」
城門の前に残っていたブラックゴブリンキングを殲滅したタリアとメルディは反対の城門に向かう途中、アヤメ達と合流した。
「どうしてもクソもないよ! 怪我してるじゃんか! カリン、ヒールを。 ん? そっちのは……誰だい?」
カリンが全身を傷だらけのタリアにヒールを行う。
「タリア、動かないで。 癒しの精霊、癒やしの女神の眷属よ、我が友を癒やし傷を消し去り給え、ヒール」
「ありがとうカリン。 また会えて本当に嬉しい」
カリンとコリンがタリアの治療をしている間、アヤメはメルディと話す。
「私はメルディ。 Sランク冒険者竜の尻尾パーティーの一員よ。 其処の勇者さんが魔物に突っ込んだから、援護してた」
「そうなのか! ありがとう! 私達はSランク冒険者神の使徒だ。 リーダーのタリアを助けてくれてありがとう」
「別に。 それより、もう1つの城門に仲間が居る筈なの。 ごめんね、私は行くから」
「そうか……私達は広場に別の仲間達を置いて来たからそっちに居る。 もし、治療が必要なら来てくれ!」
メルディは手を振りながら、遠くに見える黒煙に向かって走り出した。
「アヤメも会いたかったよ。 それで……3人の旦那様は? 此処に居るって事はダンジョンを攻略したって事よね?」
「あぁ、今は長女の姐さんを助けに行ってる。 私達は広場に行かな……あ! アレだよ、私達の旦那様は!」
アヤメが空を指差し、タリアも上空を見上げた。
すると、セムネイルが空に舞い上がり何かを唱えているのが見えた。
「え……? 何をしてるの……?」
次の瞬間、セムネイルの背後に半透明な女性が現れ空が真っ黒に染まった。
そして、蒼い流星群が街に降り注いだのだ。
「「タリア、もう安心。 セムネイル様は神。 あの魔法で恐らく全ての魔物を殲滅した」」
「あぁ、そうだろうな。 へへっ、流石私の旦那様だ!」
3人は当たり前の様にこの光景を受け入れているが、タリアだけは呆然としあり得ない光景を見つめていた。
「あれが……欲望と狭間の魔王セムネイル。 何て……綺麗で圧倒的な力」
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