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第51話 街の危機
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「ご馳走様でした~! 美味しかったですね、タリアさん」
「ぷはー! 美味しかった~! 本当に料理が上手なんだな~良いな~、私料理はダメなんだよな~」
サンドイッチを食べ終えたローズと女勇者タリアは、椅子に座ったままのんびりとセムネイルが帰ってくるのを待っていた。
「あ……そのさ、待っている間にアヤメやカリンとコリンとその……話しって出来ないかな……?」
「ごめんなさいタリアさん。 セムネイル様に許可も貰えてないですし、扉を開くのに必要なこの指輪は誰にも渡したくないのです。 そもそもアヤメさん達今裸エプロンだったので……無理かと」
ローズが左手の薬指に付けた指輪を触りながら断る。
タリアはそれを見ながら不躾な質問をしてしまったと後悔した。
「そっか、そうだよね。 ごめんね、変な事聞い……裸エプロンーーーー?! アヤメとカリンとコリンが!?」
「あ、いえ、セリスちゃんやリンちゃん、ノラちゃんも裸エプロンで楽しそうにサンドイッチ作ってましたよ?」
「へぇ、楽しそうね。 じゃなぁーーーい! 破廉恥! 淫ら! 破廉恥淫ら!」
椅子の上で顔を真っ赤にしながら暴れるタリアを、ローズは少し可愛いなと思いながら見ていた。
コンコンコン!
すると、部屋を強くノックする音が聞こえる。
「ちょいと! 居るかい!? 大変なんだ!」
声の主はセムネイルが気に入っている宿屋の女主人サシャだった。
「ローズさん、何かただならない雰囲気だね。 その扉ってしまえる?」
「勿論です。 行きましょう!」
2人は急いで扉へと向かった。
「良かった! 大変な事が起きたってさっき兵士達がやって来てね! 大迷宮のダンジョンから魔物が溢れて出て来たって! しかも、普通の魔物じゃない。 上位の魔物ばかりが這い出てきて、街に向かって来てるってさ! 早く逃げな!」
「な!? まさか、ブラックゴブリンやミノタウロス達か!?」
「確か、そんな名前だったよ。 不味いのかい?」
「街の衛兵じゃ、数分と保たない! ローズさん、私行くよ! 辞めたいけど、私はまだ勇者だ! 人々を救う為に私は居る!」
タリアは大剣を背負い、直ぐ様部屋を出て行く。
「分かりました! セムネイル様に伝言を頼んだら、私は知っている店の人に避難する様に伝えてきます! あ、サシャさんも避難しますよね?!」
「あはは、何だか頼もしい人だったね。 私かい? ん~……そうだね。 だから、気にせずに早く逃げな!」
「分かりました! 準備したら直ぐに出ますね。 知らせ、感謝します!」
サシャに礼を伝え、ローズは扉を潜りセリス達に現状を伝えに行った。
◆◇◆
一方その頃、ブルムフの城門では慌ただしく兵達が防衛の準備をしていた。
「弓兵は城壁の上へ! 歩兵は城門の前を守るぞ! 案ずるな!! 我等には、王都より来てくださったS級冒険者パーティ竜の尻尾の皆さんが居られる! 必ず勝てるぞ!」
城門を守る衛兵長が震える兵達に叫ぶ。
「いやぁ、あんまり無理な事言わんでくだせいよ。 避難する時間を稼げたら御の字でさ。 なぁ、リーダー」
その光景を暗殺者風情の男が文句を言いながら見ていた。
「やれやれ……王様から直々の竜狩りと聞いて来たのにこりゃ何の冗談だよ。 ルーザー、此処から狙えるか?」
リーダーと呼ばれた重装備の男が頭を掻きながら答える。
「リーダーも無理言わねぇでくだせいよ。 何百と要るブラックゴブリンやミノタウロスを数体減らした所でどうすんでさ」
暗殺者風情の男、ルーザーは腰に差した2本の剣を撫でながら苦笑いする。
「そうだよなぁ。 リック、お前の魔法ならどれぐらい倒せる?」
「……死ぬまでに30体いけたら褒めて欲しいぐらいですな」
ローブを纏った老魔法使い、リックは髭を撫でながら答える。
「か~! こりゃ覚悟決めるしかねぇか。 あ! メルディー! 此処の冒険者ギルドのマスターって誰だっけ?」
リーダーが城壁の上に話し掛けると、弓を背中に掛けた少女メルディが飛び降りて来る。
「はぁ……ブッチ、もう忘れたの? さっきも言った。 ブルムフの冒険者ギルドマスターはゼゴン。 元Aランク冒険者だよ」
「お~、そんな名前だったな。 まぁ、元Aランクなら居た方がマシだな。 今何処にいるか分かるか?」
メルディが耳をすませ、リーダーであるブッチに答える。
「他の冒険者達を集めて向かって来てる。 でも、その前にアイツ等が先に着くね」
目前の森は揺れ、魔物達が攻め寄せているのが見てとれた。
「仕方ねぇ、この場に居る以上は覚悟を決めろお前達! 竜の尻尾が伊達にSランクパーティじゃねぇって示すぞ! おらぁぁぁぁぁ!」
ブッチは背中の大剣を掲げ、仲間を鼓舞する。
「ちくしょぉぉぉぉ! 俺は絶対に生き延びて、可愛い亜人ちゃんの居る売春宿に行くんだぁぁぁぁ!」
ルーザーも2本の魔剣を掲げ、最低な事を叫ぶ。
「ルーザー……最低。 でも、人々を守る為。 命を掛けるに値する!」
メルディも背中の弓を構える。
「ほっほっほ……メルディ、最悪……貴女だけでも逃げるのですよ? さぁ、やりましょうか!」
リックは手に持つ杖に魔力を込み、全身を光らせ始めた。
前衛にSランクパーティが、その後ろを500人の歩兵が盾と槍を待ち構えている。
城壁の上には400人の弓兵が弓を構え、獲物を待っていた。
他にも兵士達は大勢居るが、城門は此処だけでは無いし住民の避難にも人手が必要だ。
領主が王都からの援軍を連れて向かって来ているそうだが、それも間に合うか分からない。
それでも、抗わないと待つのは死のみだ。
何故なら、向かって来ているのはブラックゴブリンキング100匹、ブラックゴブリン150匹、ミノタウロス100匹という絶望そのものだからだ。
しかし、神魔大戦を戦い抜いていたセムネイルやグラがこの光景を見たらこう言うだろう。
あれ? 今日は雑魚ばっかりなんだな……珍しいと。
「ぷはー! 美味しかった~! 本当に料理が上手なんだな~良いな~、私料理はダメなんだよな~」
サンドイッチを食べ終えたローズと女勇者タリアは、椅子に座ったままのんびりとセムネイルが帰ってくるのを待っていた。
「あ……そのさ、待っている間にアヤメやカリンとコリンとその……話しって出来ないかな……?」
「ごめんなさいタリアさん。 セムネイル様に許可も貰えてないですし、扉を開くのに必要なこの指輪は誰にも渡したくないのです。 そもそもアヤメさん達今裸エプロンだったので……無理かと」
ローズが左手の薬指に付けた指輪を触りながら断る。
タリアはそれを見ながら不躾な質問をしてしまったと後悔した。
「そっか、そうだよね。 ごめんね、変な事聞い……裸エプロンーーーー?! アヤメとカリンとコリンが!?」
「あ、いえ、セリスちゃんやリンちゃん、ノラちゃんも裸エプロンで楽しそうにサンドイッチ作ってましたよ?」
「へぇ、楽しそうね。 じゃなぁーーーい! 破廉恥! 淫ら! 破廉恥淫ら!」
椅子の上で顔を真っ赤にしながら暴れるタリアを、ローズは少し可愛いなと思いながら見ていた。
コンコンコン!
すると、部屋を強くノックする音が聞こえる。
「ちょいと! 居るかい!? 大変なんだ!」
声の主はセムネイルが気に入っている宿屋の女主人サシャだった。
「ローズさん、何かただならない雰囲気だね。 その扉ってしまえる?」
「勿論です。 行きましょう!」
2人は急いで扉へと向かった。
「良かった! 大変な事が起きたってさっき兵士達がやって来てね! 大迷宮のダンジョンから魔物が溢れて出て来たって! しかも、普通の魔物じゃない。 上位の魔物ばかりが這い出てきて、街に向かって来てるってさ! 早く逃げな!」
「な!? まさか、ブラックゴブリンやミノタウロス達か!?」
「確か、そんな名前だったよ。 不味いのかい?」
「街の衛兵じゃ、数分と保たない! ローズさん、私行くよ! 辞めたいけど、私はまだ勇者だ! 人々を救う為に私は居る!」
タリアは大剣を背負い、直ぐ様部屋を出て行く。
「分かりました! セムネイル様に伝言を頼んだら、私は知っている店の人に避難する様に伝えてきます! あ、サシャさんも避難しますよね?!」
「あはは、何だか頼もしい人だったね。 私かい? ん~……そうだね。 だから、気にせずに早く逃げな!」
「分かりました! 準備したら直ぐに出ますね。 知らせ、感謝します!」
サシャに礼を伝え、ローズは扉を潜りセリス達に現状を伝えに行った。
◆◇◆
一方その頃、ブルムフの城門では慌ただしく兵達が防衛の準備をしていた。
「弓兵は城壁の上へ! 歩兵は城門の前を守るぞ! 案ずるな!! 我等には、王都より来てくださったS級冒険者パーティ竜の尻尾の皆さんが居られる! 必ず勝てるぞ!」
城門を守る衛兵長が震える兵達に叫ぶ。
「いやぁ、あんまり無理な事言わんでくだせいよ。 避難する時間を稼げたら御の字でさ。 なぁ、リーダー」
その光景を暗殺者風情の男が文句を言いながら見ていた。
「やれやれ……王様から直々の竜狩りと聞いて来たのにこりゃ何の冗談だよ。 ルーザー、此処から狙えるか?」
リーダーと呼ばれた重装備の男が頭を掻きながら答える。
「リーダーも無理言わねぇでくだせいよ。 何百と要るブラックゴブリンやミノタウロスを数体減らした所でどうすんでさ」
暗殺者風情の男、ルーザーは腰に差した2本の剣を撫でながら苦笑いする。
「そうだよなぁ。 リック、お前の魔法ならどれぐらい倒せる?」
「……死ぬまでに30体いけたら褒めて欲しいぐらいですな」
ローブを纏った老魔法使い、リックは髭を撫でながら答える。
「か~! こりゃ覚悟決めるしかねぇか。 あ! メルディー! 此処の冒険者ギルドのマスターって誰だっけ?」
リーダーが城壁の上に話し掛けると、弓を背中に掛けた少女メルディが飛び降りて来る。
「はぁ……ブッチ、もう忘れたの? さっきも言った。 ブルムフの冒険者ギルドマスターはゼゴン。 元Aランク冒険者だよ」
「お~、そんな名前だったな。 まぁ、元Aランクなら居た方がマシだな。 今何処にいるか分かるか?」
メルディが耳をすませ、リーダーであるブッチに答える。
「他の冒険者達を集めて向かって来てる。 でも、その前にアイツ等が先に着くね」
目前の森は揺れ、魔物達が攻め寄せているのが見てとれた。
「仕方ねぇ、この場に居る以上は覚悟を決めろお前達! 竜の尻尾が伊達にSランクパーティじゃねぇって示すぞ! おらぁぁぁぁぁ!」
ブッチは背中の大剣を掲げ、仲間を鼓舞する。
「ちくしょぉぉぉぉ! 俺は絶対に生き延びて、可愛い亜人ちゃんの居る売春宿に行くんだぁぁぁぁ!」
ルーザーも2本の魔剣を掲げ、最低な事を叫ぶ。
「ルーザー……最低。 でも、人々を守る為。 命を掛けるに値する!」
メルディも背中の弓を構える。
「ほっほっほ……メルディ、最悪……貴女だけでも逃げるのですよ? さぁ、やりましょうか!」
リックは手に持つ杖に魔力を込み、全身を光らせ始めた。
前衛にSランクパーティが、その後ろを500人の歩兵が盾と槍を待ち構えている。
城壁の上には400人の弓兵が弓を構え、獲物を待っていた。
他にも兵士達は大勢居るが、城門は此処だけでは無いし住民の避難にも人手が必要だ。
領主が王都からの援軍を連れて向かって来ているそうだが、それも間に合うか分からない。
それでも、抗わないと待つのは死のみだ。
何故なら、向かって来ているのはブラックゴブリンキング100匹、ブラックゴブリン150匹、ミノタウロス100匹という絶望そのものだからだ。
しかし、神魔大戦を戦い抜いていたセムネイルやグラがこの光景を見たらこう言うだろう。
あれ? 今日は雑魚ばっかりなんだな……珍しいと。
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