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第49話 心臓の価値
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「だから……お願いセムネイル」
「分かった。 俺に任せろ」
魔剣の魔王グラの話しを聞き終えたセムネイルは契約魔法を唱え始める。
「契約せし癒しの女神よ、神々を裏切り俺を味方した慈悲深き女神よ。俺の前にいる者を癒し元の姿に戻せ、ここにお前の奇跡を見せろ! 治癒女神の慈悲」
セムネイルの後ろに半透明の癒やしの女神ウルナが現れ、魔神の身体に植え付けられた魔王グラを見て悲しそうに首を横に振った。
「あはは……ウルナ久し振りね。 良いの、そんな顔をしないで……ほら、癒やしの女神でも無理何だよセムネイル」
「んぐぐ! んぐぐぐぐぐぐぐ!」
グラを救う事が出来ない事実を直視しているセムネイルを見た魔神は喋れない状態で笑い出す。
ざまあみろと。
「よし、想定内だな。 グラ、俺を信じろ。 俺を愛し、民を助ける為に戦ってくれた良い女を俺は絶対に死なせない」
セムネイルはグラに近寄る。
鼓動が聞こえる程に。
「セムネイル……? 何を……まさか! セムネイルダメ! やめて! 絶対にダメだよ!!」
何かに気付いたグラが叫ぶが、セムネイルは微笑む。
「ウルナ。 後は頼むぞ」
セムネイルは右手を自身の左胸に突き刺した。
「セムネイル! セムネイル!! やめて! お願い!」
肉を裂き、肋骨を叩き折り、心臓を掴んだ。
その光景を癒やしの女神ウルナは真っ青な顔で見つめ、グラは泣き叫ぶ。
「もう良い!! ウルナ、お願いセムネイルを治して! お願い、早くっ!!」
「ぐっがぁぁぁぁぁぁぁぁ!! グラ……お前を助けれるなら……俺の心臓ぐらい安い物だ」
引き抜いた心臓を、セムネイルはそのまま握り潰した。
心臓から溢れた血がグラを濡らし、魔神の身体から解放される。
「セムネイル!! あぁぁぁぁぁぁ!! ウルナ、ウルナお願い早く、早く!!」
グラは直ぐ様倒れるセムネイルを抱き止め、ウルナに治癒を懇願した。
◆◇◆
魔剣の魔神が断末魔の形相で死んでいる横で目覚めたセムネイルは立ち上がる。
「……む? あぁ、そうだ。 よっこらしょっと、ウルナ助かった」
起き上がったセムネイルは、頬をパンパンに膨らませたウルナに礼を言う。
「ん? どうした。 いや、お前なら俺の心臓の蘇生ぐらい楽勝だろ」
しかし、激怒のウルナはセムネイルの隣に居るグラにパンチをする様にジェスチャーする。
「分かったよ、ウルナ。 セムネイル! 覚悟しろー!」
「グラ! 良かった、無事に解放……どうした? 何故だ! ぬぉぉぉぉぉっ?!」
グラに殴られたセムネイルは壁に吹き飛び、ウルナはグラと笑いあった後に消えた。
「いてて……おい、グラ。 助けられた礼がコレか?」
「この……馬鹿! いくら、ウルナの治癒で助かるっていっても心臓を抜き取るとか激痛で死ぬかもしれなかったんだよ!? 何考えてんのよ! 馬鹿馬鹿馬鹿!」
「ふはははは! 元気そうで何よりだ。 ……来い、グラ」
セムネイルが手を広げ待つと、グラは顔を赤らめ一瞬戸惑い躊躇った。
「う……ダメだよ。 セムネイル……忘れたの? ほら、私はもう……身体を変えられたの。 男の身体に……だから」
グラは自らの身体を憎々しげに抱きしめる。
顔はそのままで、華奢で中性的ではあるが男の身体に変えられている。 そして、下半身には男たる象徴が確かに備わっていた。
「だから……殺してってお願いしたのに!」
グラの頬を涙が止め処なく流れる。
もう、愛して欲しいと願う相手に愛されない現実を直視するぐらいならグラは死にたかった。
「やれやれ、お前は昔からそうだ。 何もかも自分の中で完結する」
セムネイルは苦しむグラの元に行き、強く抱きしめる。
「セムネイル……?」
「グラ……お前は良い女だ。 昔と何も変わらない。 もう一度、口説かせてくれ。 グラ、俺の妻になってくれ」
「………!?」
グラは顔を真っ赤にし、俯く。
「……馬鹿。 どうするのよ、こんな身体の奴を妻にして」
「ん? 当然、抱くに決まってるだろ」
「はぁ? 何言って……え? セムネイル……何かすんごく硬いのが当たるんだけど」
「ふはははは! すまん、グラが可愛すぎで勃起した!」
「さ、ささささ、最低! ……馬鹿」
セムネイルとグラは熱く抱擁し、口づけを長く長く交わした。
数千年という長い時間を埋める様に。
「分かった。 俺に任せろ」
魔剣の魔王グラの話しを聞き終えたセムネイルは契約魔法を唱え始める。
「契約せし癒しの女神よ、神々を裏切り俺を味方した慈悲深き女神よ。俺の前にいる者を癒し元の姿に戻せ、ここにお前の奇跡を見せろ! 治癒女神の慈悲」
セムネイルの後ろに半透明の癒やしの女神ウルナが現れ、魔神の身体に植え付けられた魔王グラを見て悲しそうに首を横に振った。
「あはは……ウルナ久し振りね。 良いの、そんな顔をしないで……ほら、癒やしの女神でも無理何だよセムネイル」
「んぐぐ! んぐぐぐぐぐぐぐ!」
グラを救う事が出来ない事実を直視しているセムネイルを見た魔神は喋れない状態で笑い出す。
ざまあみろと。
「よし、想定内だな。 グラ、俺を信じろ。 俺を愛し、民を助ける為に戦ってくれた良い女を俺は絶対に死なせない」
セムネイルはグラに近寄る。
鼓動が聞こえる程に。
「セムネイル……? 何を……まさか! セムネイルダメ! やめて! 絶対にダメだよ!!」
何かに気付いたグラが叫ぶが、セムネイルは微笑む。
「ウルナ。 後は頼むぞ」
セムネイルは右手を自身の左胸に突き刺した。
「セムネイル! セムネイル!! やめて! お願い!」
肉を裂き、肋骨を叩き折り、心臓を掴んだ。
その光景を癒やしの女神ウルナは真っ青な顔で見つめ、グラは泣き叫ぶ。
「もう良い!! ウルナ、お願いセムネイルを治して! お願い、早くっ!!」
「ぐっがぁぁぁぁぁぁぁぁ!! グラ……お前を助けれるなら……俺の心臓ぐらい安い物だ」
引き抜いた心臓を、セムネイルはそのまま握り潰した。
心臓から溢れた血がグラを濡らし、魔神の身体から解放される。
「セムネイル!! あぁぁぁぁぁぁ!! ウルナ、ウルナお願い早く、早く!!」
グラは直ぐ様倒れるセムネイルを抱き止め、ウルナに治癒を懇願した。
◆◇◆
魔剣の魔神が断末魔の形相で死んでいる横で目覚めたセムネイルは立ち上がる。
「……む? あぁ、そうだ。 よっこらしょっと、ウルナ助かった」
起き上がったセムネイルは、頬をパンパンに膨らませたウルナに礼を言う。
「ん? どうした。 いや、お前なら俺の心臓の蘇生ぐらい楽勝だろ」
しかし、激怒のウルナはセムネイルの隣に居るグラにパンチをする様にジェスチャーする。
「分かったよ、ウルナ。 セムネイル! 覚悟しろー!」
「グラ! 良かった、無事に解放……どうした? 何故だ! ぬぉぉぉぉぉっ?!」
グラに殴られたセムネイルは壁に吹き飛び、ウルナはグラと笑いあった後に消えた。
「いてて……おい、グラ。 助けられた礼がコレか?」
「この……馬鹿! いくら、ウルナの治癒で助かるっていっても心臓を抜き取るとか激痛で死ぬかもしれなかったんだよ!? 何考えてんのよ! 馬鹿馬鹿馬鹿!」
「ふはははは! 元気そうで何よりだ。 ……来い、グラ」
セムネイルが手を広げ待つと、グラは顔を赤らめ一瞬戸惑い躊躇った。
「う……ダメだよ。 セムネイル……忘れたの? ほら、私はもう……身体を変えられたの。 男の身体に……だから」
グラは自らの身体を憎々しげに抱きしめる。
顔はそのままで、華奢で中性的ではあるが男の身体に変えられている。 そして、下半身には男たる象徴が確かに備わっていた。
「だから……殺してってお願いしたのに!」
グラの頬を涙が止め処なく流れる。
もう、愛して欲しいと願う相手に愛されない現実を直視するぐらいならグラは死にたかった。
「やれやれ、お前は昔からそうだ。 何もかも自分の中で完結する」
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「セムネイル……?」
「グラ……お前は良い女だ。 昔と何も変わらない。 もう一度、口説かせてくれ。 グラ、俺の妻になってくれ」
「………!?」
グラは顔を真っ赤にし、俯く。
「……馬鹿。 どうするのよ、こんな身体の奴を妻にして」
「ん? 当然、抱くに決まってるだろ」
「はぁ? 何言って……え? セムネイル……何かすんごく硬いのが当たるんだけど」
「ふはははは! すまん、グラが可愛すぎで勃起した!」
「さ、ささささ、最低! ……馬鹿」
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数千年という長い時間を埋める様に。
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