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第48話 油断と魔王グラの過去
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ボスフロア部屋からセムネイルが跡形も無く消え去り、魔剣の魔神は勝利の勝鬨を上げており気付く事は出来なかった。
侵入者が排除されたら、部屋の結界が解ける筈である事に。
「我と契約せし12の翼を持つ天使よ。 不遜なる者を裁き、不義なる者を裁く公平にして神界一の裏切り者、最高位天使ミカエルよ。 裁きを受ける者が逃げ出さない様に、その正義の鉄槌を下せ! 光の磔!!」
まるで蜃気楼の様にして、魔剣の魔神の背後に神々しい光を纏ったセムネイルが現れた。
セムネイルの傍らには眉をひそめた12枚の翼を持つ神々しく美しい天使が魔神を睨んでいる。
「なっ?! 貴様、何故!!」
「あ……セムネイル?」
瞬時に魔神が反応し、振り向くが全てが遅かった。
魔神の両手足を長く巨大な光の槍が穿ち、ダンジョンの床へと縫い付ける。
「ぐぁぁぁぁ! だ、だが、こんな傷直ぐに癒やして……何故だ何故治らん!」
魔神の思惑は外れ、両手足に刺さる光の槍はグラに移る事無く傷も癒えなかった。
「当然だ。 ミカエルの裁きは肉体では無く魂に刻まれる。 さて、ようやく今度こそ油断してくれたな魔神よ」
「貴様、確かに我の黒炎で燃やし尽くした筈! 何故生きていた!」
「ふんっ、お前に教えてやる義理は無いが特別に教えてやろう。 殺戮人形エリエナの異能は1つではない、実体を持つ分身を出し蜃気楼の中に溶けていたのさ」
「クソぉぉぉぉっ! ふざけるな! こんなの我は認めんぞぉぉぉ!! 絶対に認めギャッ?!」
喧しく宣うまの口にミカエルの光の槍が突き刺さり、魔神は喋ることすら許されなくなった。
「待たせたな、グラ。 今助けてやる」
セムネイルは、ようやく魔剣の魔王グラの元に辿り着く。
「あ……相変わらず、めちゃくちゃ……だね」
グラは重傷だが、魔族は丈夫な種族だ。
今すぐ治療すれば間に合うだろう。 問題は……どうやって魔神から切り離すかだ。
「ねぇ……セムネイル。 私はもう……ダメなんだ」
「何がだ。 大丈夫、今助けてやるから黙ってろ」
先ず、1番にグラの身体を治療しそれから剥がしにかかった。
セムネイルが魔神の身体に手を突っ込み、グラの手足を解放しようと引っ張る。
「聞いてくれ……セムネイル。 お願いだ……」
しかし、グラの身体はビクともしない。
「聞くだけ聞いてやる。 何だ?」
「私を、父に植え付けたのは女神エオルニアなんだ……」
「……何だと」
グラは話しだした。
セムネイルが封印された後に何があったのか。
◆◇◆
私は、お前が封印されたと聞き急ぎ向かった。
お前が作った国の入口に向かったが……其処は地獄だったよ。
まぁ、あの時代では良くある光景だったね。
お前を裏切った女達は……魔神や神達に惨殺され、他の民や英雄達は戦いながら逃げ惑っていた。
え……? 勇者か……ごめんよ、見てない。
その後は、私も避難する者達を守りながら戦った。
いや、違うわよ……馬鹿。
確かにセムネイルは父を殺した仇だったけど……でも、戦友だったでしょ……?
あはは……別に、理由が必要ならそれで良いじゃない。
……馬鹿。
何人かの英雄に聞いたら、私達が住む大陸の外にあった亜人の大陸へ避難するって言ってた。
でも、避難できたかはわからない……確認する前に私は女神エオルニアと戦って負けたから。
それからは……生き地獄だった。
エオルニアに、気が遠くなる時間……汚され続けたんだ。
あはは……どっかの馬鹿に操立ててなのになぁ……。
それを知られたらさ……身体を変えられた。
私ね……もう女じゃないんだぁ。
こんな……こんな身体にされて、あんなに汚されるなら。
あの時、セムネイルに俺の女にならないかって誘われた時に素直に受ければ良かった。
でも……良いんだ。
最後に会いたくて会いたくて仕方なかった貴方に会えた。
ある日、エオルニアに突然連れ出され死んだ父の亡骸に私は植え付けられた。
その時に……言われたの。
このダンジョンに封印する者を助ける為に、遙か先の未来で、復活したセムネイルが現れるだろう。
もし、貴様等親子がセムネイルを殺し抉り出した心臓の血を浴びた時……解放されるだろう……って。
だから……私はもう良いの。
セムネイル……貴方に会いたかった。
貴方に愛されたかった。
でも、私は私の命よりも貴方が大切。
だからお願い……セムネイル。
私を殺して。
侵入者が排除されたら、部屋の結界が解ける筈である事に。
「我と契約せし12の翼を持つ天使よ。 不遜なる者を裁き、不義なる者を裁く公平にして神界一の裏切り者、最高位天使ミカエルよ。 裁きを受ける者が逃げ出さない様に、その正義の鉄槌を下せ! 光の磔!!」
まるで蜃気楼の様にして、魔剣の魔神の背後に神々しい光を纏ったセムネイルが現れた。
セムネイルの傍らには眉をひそめた12枚の翼を持つ神々しく美しい天使が魔神を睨んでいる。
「なっ?! 貴様、何故!!」
「あ……セムネイル?」
瞬時に魔神が反応し、振り向くが全てが遅かった。
魔神の両手足を長く巨大な光の槍が穿ち、ダンジョンの床へと縫い付ける。
「ぐぁぁぁぁ! だ、だが、こんな傷直ぐに癒やして……何故だ何故治らん!」
魔神の思惑は外れ、両手足に刺さる光の槍はグラに移る事無く傷も癒えなかった。
「当然だ。 ミカエルの裁きは肉体では無く魂に刻まれる。 さて、ようやく今度こそ油断してくれたな魔神よ」
「貴様、確かに我の黒炎で燃やし尽くした筈! 何故生きていた!」
「ふんっ、お前に教えてやる義理は無いが特別に教えてやろう。 殺戮人形エリエナの異能は1つではない、実体を持つ分身を出し蜃気楼の中に溶けていたのさ」
「クソぉぉぉぉっ! ふざけるな! こんなの我は認めんぞぉぉぉ!! 絶対に認めギャッ?!」
喧しく宣うまの口にミカエルの光の槍が突き刺さり、魔神は喋ることすら許されなくなった。
「待たせたな、グラ。 今助けてやる」
セムネイルは、ようやく魔剣の魔王グラの元に辿り着く。
「あ……相変わらず、めちゃくちゃ……だね」
グラは重傷だが、魔族は丈夫な種族だ。
今すぐ治療すれば間に合うだろう。 問題は……どうやって魔神から切り離すかだ。
「ねぇ……セムネイル。 私はもう……ダメなんだ」
「何がだ。 大丈夫、今助けてやるから黙ってろ」
先ず、1番にグラの身体を治療しそれから剥がしにかかった。
セムネイルが魔神の身体に手を突っ込み、グラの手足を解放しようと引っ張る。
「聞いてくれ……セムネイル。 お願いだ……」
しかし、グラの身体はビクともしない。
「聞くだけ聞いてやる。 何だ?」
「私を、父に植え付けたのは女神エオルニアなんだ……」
「……何だと」
グラは話しだした。
セムネイルが封印された後に何があったのか。
◆◇◆
私は、お前が封印されたと聞き急ぎ向かった。
お前が作った国の入口に向かったが……其処は地獄だったよ。
まぁ、あの時代では良くある光景だったね。
お前を裏切った女達は……魔神や神達に惨殺され、他の民や英雄達は戦いながら逃げ惑っていた。
え……? 勇者か……ごめんよ、見てない。
その後は、私も避難する者達を守りながら戦った。
いや、違うわよ……馬鹿。
確かにセムネイルは父を殺した仇だったけど……でも、戦友だったでしょ……?
あはは……別に、理由が必要ならそれで良いじゃない。
……馬鹿。
何人かの英雄に聞いたら、私達が住む大陸の外にあった亜人の大陸へ避難するって言ってた。
でも、避難できたかはわからない……確認する前に私は女神エオルニアと戦って負けたから。
それからは……生き地獄だった。
エオルニアに、気が遠くなる時間……汚され続けたんだ。
あはは……どっかの馬鹿に操立ててなのになぁ……。
それを知られたらさ……身体を変えられた。
私ね……もう女じゃないんだぁ。
こんな……こんな身体にされて、あんなに汚されるなら。
あの時、セムネイルに俺の女にならないかって誘われた時に素直に受ければ良かった。
でも……良いんだ。
最後に会いたくて会いたくて仕方なかった貴方に会えた。
ある日、エオルニアに突然連れ出され死んだ父の亡骸に私は植え付けられた。
その時に……言われたの。
このダンジョンに封印する者を助ける為に、遙か先の未来で、復活したセムネイルが現れるだろう。
もし、貴様等親子がセムネイルを殺し抉り出した心臓の血を浴びた時……解放されるだろう……って。
だから……私はもう良いの。
セムネイル……貴方に会いたかった。
貴方に愛されたかった。
でも、私は私の命よりも貴方が大切。
だからお願い……セムネイル。
私を殺して。
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