【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第46話 魔神

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 「じゃあ、行ってくる。 必ず戻るから、皆で仲良くしていてくれ」

 4次元の家に戻ったセムネイルは、セリス達に最後の階層で起こり得る可能性を話し万が一の為に1人で向かうと説得した。

 「約束ですわよ、貴方様」

 「セムネイル様……」

 「セムネイル……」

 「セリス、頼む。 リン、ノラ、終わったらタナカの店で宴だ。 楽しみにしてろ」

 セリスは聞き分けが良くて助かるが、リンとノラは最後まで渋った。 まだセムネイルが4階層のフロアボスに食われたのがトラウマなのだろう。

 セムネイルは妻達に口づけを交わす。  

 もし、連れて行けば守れないかもしれない相手なのだ。

 絶対に連れて行くことはできない。

 「あ、あのさ……貴方。 私も……」

 「「アヤメ、空気を読むのも良い妻として必要よ?」」

 訓練終わりのアヤメがもじもじしながらキスをせがむが、双子がそれを止める。

 「くっくっくっ、俺の妻なら空気等読まなくていいぞ。 来い、アヤメ、カリン、コリン」

 呼ばれたアヤメは大喜びでセムネイルに抱きつき、双子の姉妹も愛おしそうにセムネイルを抱きしめる。

 「俺は無敵の魔王だぞ? 相手が誰だろうが、必ず勝つ。 信じて待て」

 「「「「「はい!」」」」」 「おー!」

 「くっくっくっ、ローズが来たら大丈夫だと伝えてくれ。 じゃあな」

 セムネイルは4次元の扉をくぐり、5階層の階段へと出た。

 「さて、蛇が出るか、鬼が出るか」

 セムネイルはそのまま階段を降り、その先にある巨大な鉄の扉へと進んだ。 

 ◆◇◆

 ダンジョンには幾つか種類がある。

 人間への試練としてのダンジョンと、魔神や神達が魔物を兵器として運用するダンジョンだ。

 そして、今セムネイル達が潜っているダンジョンは後者であり。

 セムネイルの予想が正しければ、5階層のボス部屋にはこのダンジョンの主が待っているだろう。

 「よっと……ん? くっくっくっ、やはりセリス達を置いてきて正解だったな」

 ダンジョンのフロアボスは特殊で、気配探知等で索敵が出来ない。

 つまり、部屋に入ったが最後。

 勝てない相手だったら、侵入した冒険者等は嬲り殺される事になる。

 円形の大きな部屋の中央には、巨大な漆黒の大剣を突き立てて微動だにしない巨人が鎮座していた。

 肌は浅黒く、筋肉の鎧の上に更に分厚い皮の服を身に纏っている。 額からは魔に属する者だとひと目で分かる角が2本太く長く生えていた。

 「お前……確か魔剣の魔神だったか? おかしいな、俺が心臓を握り潰して殺した筈だが?」

 セムネイルが近づくと、魔剣の魔神は真っ赤な目を開き笑い始めた。

 「ぐはははは! 遂に、遂に復活したのか! 待ったぞ、何千年、何百年も! 我が心臓を潰し、魔王でありながら魔神に逆らう愚か者セムネイルよ!」

 魔剣の魔神は突き立てていた大剣を引き抜き、構える。

 「いや、だからお前……何で生きてるんだ?」

 「貴様の質問に答える義理は無いが、教えてやろう。 偉大な女神エオルニア様の御慈悲で復活させていただいたのよ! 見ろ! この溢れ出る魔力を! 貴様と殺し合った大昔の頃より何倍も、いや! 何十倍も我は強くなったのだ!!」

 「偉大な……か。 お前達魔神は神であるエオルニア達と殺し合ってた筈だろ? なんだ? 復活して貰った代わりに、魔神としてのプライドも魂も売り渡したか? ……滑稽だな」

 「貴様! 黙れぇぇぇぇ!!」

 煽りまくるセムネイルの言葉が魔神の逆鱗に触れ、魔神はセムネイルの何倍もある大剣を力任せに振りかぶった。

 そのまま地面を抉り、巨大なクレーターを作り出す。

 「やれやれ、相変わらずの馬鹿力だな。 いや、すまん。 頭も馬鹿だったのを忘れていた」

 セムネイルは高速で迫る大剣を全て危なげなく躱す。
 もし、この場にセリス達が居れば何が起きたのか理解する時間も無く細切れにされる程の剣速だ。

 「黙れ黙れ黙れぇぇぇ! 我の力が早すぎて避けるしか出来ていないお前に言われたく無いげぶぅっ?!」 

 魔神は喋る途中でセムネイルに顎を蹴り砕かれ、口から血を吐き出す。

 「悪い悪い、喋ってる途中だったな。 それで? まさか、これだけじゃないんだよな」

 確かに魔剣の魔神は強くなっている。

 だが、残念ながら殺し、食い、抱きまくり異常な速度で力を取り戻し始めているセムネイルよりは弱かった。

 それだけの話である。

 「馬鹿なぁぁぁ! 我はエオルニア様に力を与えられた選ばれし魔神なのだぞ! 貴様の様な一魔族に押されるはずが!」

 「……ん?」

 直ぐ様叫ぶ魔剣の魔神を見て、セムネイルは不可解な事に首を傾げた。

 蹴り砕いた筈の顎が一瞬で治っているのだ。 魔神は傷の治りが早いが、あまりにも早すぎる。

 「ぐはははは! なんてな! 我が与えられた力がこれだけな筈無かろう? ぐははははははははは!!」

 漆黒の大剣を構えた魔剣の魔神は突然2人に分身し、更に漆黒の大剣からドス黒い炎が噴き出した。

 「……おい、その異能は魔剣の魔王グラのじゃないか。 ……お前、自分が生み出した娘を殺したのか?」

 2人になった魔剣の魔神はセムネイルの質問に答える事なく、にやりと笑った直後に斬り掛かってきた。

 「ちっ、不味いな」

 セムネイルは慌てて4次元から2本の魔剣を取り出し、魔剣の魔神を迎え撃った。
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