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第44話 腹の中
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身体を鋼に変えたセムネイルは、砂食いミミズの大量の刃による擦り潰しを耐え抜き食道へと入った。
「やれやれ、光よ灯火をもたらせ」
真っ暗な食道を灯火の魔法を使い照らしながら進む。
身体に絡まった触手を引き千切り、ヌメヌメした道を暫く進むとボロボロの鎧や剣が点々と落ちているのを見つける。
「ほぉ……大迷宮で全滅はしなかったのか? いや、もっと前の冒険者達の装備か?」
粉々になった鎧が有るのを見るに、これらを着ていた人物は砂食いミミズの口に擦り潰されたのだろう。
「さて、何処だ? 気配探知によると……もう少し先か」
更にセムネイルは奥へと進む。
目的の物を探し続けること数十分、ようやく目的地に到着した。
現在セムネイルが居るのは砂食いミミズの腹に位置する巨大な胃だ。 此処に砂食いミミズを倒す為に、必ず始末しなければならない奴が居る。
「やっと見つけたぞ。 やはりこの魔物の中には必ず居るんだな、寄生獣ガララ」
「ガララ? ガラララ!! ガラァァッ!」
セムネイルを見るやいなや襲い掛かってきたのは、手足が異様に長く爛れた顔の獣だ。
その身体には毛は無く、濁った目がセムネイルを見つめ口からは涎が垂れ落ち異臭を放つ。
「お前を殺さないと、砂食いミミズは死なないんでな。 えらく長い間、砂食いミミズに寄生してるみたいたが今日で終わりだ。 死ね!」
セムネイルは赤い魔剣を取り出し、襲い掛かってきた寄生獣ガララに向けて斬りかかる。
広いとは云え、砂食いミミズの中で魔法を派手に放てばセムネイル自身にも被害が及ぶ。
その為にセムネイルは近接での戦闘を選択した。
高速の斬撃を寄生獣ガララは長い手足を使い避ける。
普通の魔物なら避けれない筈の攻撃を避けられたセムネイルは舌打ちをして下がった。
「ちっ、やっぱりコイツも進化してるな。 仕方ない……踊れ、笑え、契約せし殺戮人形。 俺の手に持つ魔剣にその刃を宿せ。 痛み、傷み、苦痛の限りを味わえ! 殺戮人形の舞!」
セムネイルの持つ赤い魔剣に黒く薄い不気味な靄が宿り、その刃をセムネイルは寄生獣ガララに向けて数度振るった。
半透明の美しい少女の人形がセムネイルの背後に現れ、敬愛する主人に襲い掛かる敵に向けて憤怒の表情を浮かべている。
「ガララ?! ガララララララ!」
雰囲気の変わったセムネイルに寄生獣ガララは警戒し、一定の距離を保つ。
「悪いな。 もう終わってんだよ」
「ガララ……? ガ……」
理解出来ずに首を傾げていたが、次の瞬間には寄生獣ガララの身体は細切れになりそのまま崩れて消えた。
「ふんっ、細胞レベルまで斬り刻んだからな。 もう存在する事も出来ないだろ。 助かったよ、ありがとなエリエナ」
セムネイルは半透明の美しい少女の人形に微笑みかける。
少女は頬を赤らめ、嬉しそうに微笑んだ後消えた。
「よし、セリス達も気配を見る限り無事だな。 やるか」
セムネイルは魔剣に力を込め、思いっ切り下に向かって突き刺した。
◆◇◆
「セリス! あの馬鹿でかいミミズ、動き止めたぞ!」
「分かっています! 放ちますよ!! リン、ノラ、巻き込まれのように離れなさい!」
「はい!」 「おう! やってやれセリスー!」
リンとノラはセリスの背後に迫る魔物達を屠りながら援護する。
「よくも私達の大切な旦那様を食べましたね! 覚悟なさい! 全てを燃やす火よ、全てを運ぶ風よ、全てを受け入れる水よ、一時の間混じり交ざり矛となれ! 三元素複合砲!!」
セリスの杖の先から、炎風水が1つとなり直線上に在るものを全てを吹き飛ばしながら暴れる砂食いミミズへと向かう。
砂食いミミズの口を燃やし、水圧で顔は抉れ、風が口の中から全てを切り裂いた。 セリスの使用した三元素の複合魔法は上級の魔法であり、威力としては最上級の魔法にすら匹敵する。
更に複合魔法は魔力を緻密に練り上げ、火風水の攻撃魔法を暴発しないように操らないと不可能なのだ。
それを実戦で使えるあたり、セムネイルの言う通りセリスの魔法のセンスは凄まじいのだろう。
「セリスさん、やりましたね!」 「やっぱりソレ、綺麗な魔法だな!」
「ふぅ……良かった、仕留めれましたね」
砂食いミミズは完全に事切れ、あれ程暴れていた巨体は砂漠へと横たわった。
少しすると、砂食いミミズの腹が破裂し中からセムネイルが出てきた。
「貴方様!」 「セムネイル様!」 「セムネイルー!」
3人はセムネイルの下へと走り、最愛の男の無事を喜んだ。
「やれやれ、光よ灯火をもたらせ」
真っ暗な食道を灯火の魔法を使い照らしながら進む。
身体に絡まった触手を引き千切り、ヌメヌメした道を暫く進むとボロボロの鎧や剣が点々と落ちているのを見つける。
「ほぉ……大迷宮で全滅はしなかったのか? いや、もっと前の冒険者達の装備か?」
粉々になった鎧が有るのを見るに、これらを着ていた人物は砂食いミミズの口に擦り潰されたのだろう。
「さて、何処だ? 気配探知によると……もう少し先か」
更にセムネイルは奥へと進む。
目的の物を探し続けること数十分、ようやく目的地に到着した。
現在セムネイルが居るのは砂食いミミズの腹に位置する巨大な胃だ。 此処に砂食いミミズを倒す為に、必ず始末しなければならない奴が居る。
「やっと見つけたぞ。 やはりこの魔物の中には必ず居るんだな、寄生獣ガララ」
「ガララ? ガラララ!! ガラァァッ!」
セムネイルを見るやいなや襲い掛かってきたのは、手足が異様に長く爛れた顔の獣だ。
その身体には毛は無く、濁った目がセムネイルを見つめ口からは涎が垂れ落ち異臭を放つ。
「お前を殺さないと、砂食いミミズは死なないんでな。 えらく長い間、砂食いミミズに寄生してるみたいたが今日で終わりだ。 死ね!」
セムネイルは赤い魔剣を取り出し、襲い掛かってきた寄生獣ガララに向けて斬りかかる。
広いとは云え、砂食いミミズの中で魔法を派手に放てばセムネイル自身にも被害が及ぶ。
その為にセムネイルは近接での戦闘を選択した。
高速の斬撃を寄生獣ガララは長い手足を使い避ける。
普通の魔物なら避けれない筈の攻撃を避けられたセムネイルは舌打ちをして下がった。
「ちっ、やっぱりコイツも進化してるな。 仕方ない……踊れ、笑え、契約せし殺戮人形。 俺の手に持つ魔剣にその刃を宿せ。 痛み、傷み、苦痛の限りを味わえ! 殺戮人形の舞!」
セムネイルの持つ赤い魔剣に黒く薄い不気味な靄が宿り、その刃をセムネイルは寄生獣ガララに向けて数度振るった。
半透明の美しい少女の人形がセムネイルの背後に現れ、敬愛する主人に襲い掛かる敵に向けて憤怒の表情を浮かべている。
「ガララ?! ガララララララ!」
雰囲気の変わったセムネイルに寄生獣ガララは警戒し、一定の距離を保つ。
「悪いな。 もう終わってんだよ」
「ガララ……? ガ……」
理解出来ずに首を傾げていたが、次の瞬間には寄生獣ガララの身体は細切れになりそのまま崩れて消えた。
「ふんっ、細胞レベルまで斬り刻んだからな。 もう存在する事も出来ないだろ。 助かったよ、ありがとなエリエナ」
セムネイルは半透明の美しい少女の人形に微笑みかける。
少女は頬を赤らめ、嬉しそうに微笑んだ後消えた。
「よし、セリス達も気配を見る限り無事だな。 やるか」
セムネイルは魔剣に力を込め、思いっ切り下に向かって突き刺した。
◆◇◆
「セリス! あの馬鹿でかいミミズ、動き止めたぞ!」
「分かっています! 放ちますよ!! リン、ノラ、巻き込まれのように離れなさい!」
「はい!」 「おう! やってやれセリスー!」
リンとノラはセリスの背後に迫る魔物達を屠りながら援護する。
「よくも私達の大切な旦那様を食べましたね! 覚悟なさい! 全てを燃やす火よ、全てを運ぶ風よ、全てを受け入れる水よ、一時の間混じり交ざり矛となれ! 三元素複合砲!!」
セリスの杖の先から、炎風水が1つとなり直線上に在るものを全てを吹き飛ばしながら暴れる砂食いミミズへと向かう。
砂食いミミズの口を燃やし、水圧で顔は抉れ、風が口の中から全てを切り裂いた。 セリスの使用した三元素の複合魔法は上級の魔法であり、威力としては最上級の魔法にすら匹敵する。
更に複合魔法は魔力を緻密に練り上げ、火風水の攻撃魔法を暴発しないように操らないと不可能なのだ。
それを実戦で使えるあたり、セムネイルの言う通りセリスの魔法のセンスは凄まじいのだろう。
「セリスさん、やりましたね!」 「やっぱりソレ、綺麗な魔法だな!」
「ふぅ……良かった、仕留めれましたね」
砂食いミミズは完全に事切れ、あれ程暴れていた巨体は砂漠へと横たわった。
少しすると、砂食いミミズの腹が破裂し中からセムネイルが出てきた。
「貴方様!」 「セムネイル様!」 「セムネイルー!」
3人はセムネイルの下へと走り、最愛の男の無事を喜んだ。
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