【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
上 下
40 / 254

第39話 セムネイルの安らぎと勇者タリア

しおりを挟む
 「ご馳走様でした。 リン、セリス美味かったありがとう」
 
 「美味しかったのだー! ご馳走様でし……たぁ……」 

 昼飯を食べ終えたセムネイルはテキパキと食器を片付け洗う。 セリスに呼ばれるまで獣の様に抱かれていたノラは既に体力を使い切り寝る寸前だ。

 それでもリンとセリスの作った料理を完食しているのがノラらしくて微笑ましい。  

 「お粗末様でした。 貴方様、残りはリンとしますのでノラを部屋にお願いしても?」 

 「ん? そうだな、後は頼む。 ノラ、ベットに行くぞ~」

 同じく体力を消耗した筈のセムネイルは疲れ等全く見せる素振りも無く、軽々とノラを抱き上げ2階の部屋へと運ぶ。

 「ふふ、ノラさん幸せそうな顔で寝てましたねセリスさん」

 「そうね。 あんなに幸せそうに寝れるなんて羨ましいわ~」

 リンとセリスは仲良く片付けをする。

 「ねぇ、リン」

 「どうしたんです? セリスさん」 

 「貴方様が下りてきたら1番にお風呂に行くと思うの。 一緒に……行っちゃう?」

 リンの目がキラキラと輝き、洗い物をする手が早まる。

 「良いですね! 早く終わらして行きましょ~♡」

 「決まりね♡ ノラや新しい姉妹ばかりズルいもの」

 「ふふ、ローズさんがまた頬を膨らませちゃいますね」

 2人は仲良く風呂場へと向かった。

 セムネイルが階段を下りてきた時には誰も居らず、リンとセリスが風呂場に居るのを気配探知で知った。

 2人が何を期待しているか直ぐに悟ったセムネイルは股間を大きく膨らませて風呂場へと急いだ。 

 それから暫く、風呂場からリンとセリスの嬌声は止まなかった。

 ◆◇◆

 場所は変わり、此処はブルムフという街のエオルニア教の教会。

 聖エオルニア教国の本部から連なる支部の1つだ。
 エオルニアの世界には多くの神や女神の教会が存在するが、エオルニア教は世界で1番大きな宗教組織である。

 ブルムフの街にあるこの建物も他とは雲泥の差であり、領主の館よりも豪華な教会だ。  

 そんな教会の懺悔室に、項垂れる女勇者タリアが仲間を見捨てた罪を告白していた。

 「私は……勇者なのに、仲間を救えなかった。 守れなかったんです。 死ぬなら……仲間と共に死にたかった」

 教会の広間に転移した勇者タリアは直ぐ様治療され、一命を取り留めた。

 しかし、共に戦った仲間を見捨てた現実がタリアを意気消沈させてしまう。

 「勇者タリアよ……エオルニア様は常に貴女を見守っております。 仲間を失った事にも必ず理由があるのでしょう」

 タリアの祈る手に力が入り、指先からは血が滴る。

 「理由ですか。 仲間達が命を散らそうとするその時にすら力をお借して下さらなかった事に理由が有るのでしょうか?」

 タリアが必死に怒りを堪えるのを懺悔室の神父が扉越しにため息を吐く。

 「はぁ……エオルニア様より加護を見賜った勇者タリアよ。 エオルニア様の意思を測るなど愚か者がする事です。 貴女が今すべきは、冒険者ギルドに行き新しき仲間を集いもう一度使命である大迷宮のダンジョンを攻略するのです」

 「……は? いや、神父様。 もし、前以上の仲間に出会えたとしても……死ぬだけですよ?」

 神父の言葉に絶句したタリアは思わず反論する。

 あの地獄にまた潜る事は死を意味するからだ。 何処かで試練を踏破し強くなってから再チャレンジするならまだしも、神父の言葉通りならさっさと行って死ねと言っているのと変わらない。

 「そうですよ? 次の勇者候補は幾らでも居るのです。 エオルニア様のご意向に従えないのなら、早くお死になさい。 それが信徒たる務めです」

 神父には一切の悪意も曇りもない、心からそう思っているのをタリアは理解した。

 (本当に……本当に腐っているなこの宗教は。 無理矢理私を勇者にしておいて、無理ならさっさと死ねと? ふざけないでよ!)

 タリアは両方の拳を限界まで握り締め、ひたすらに耐える。

 勇者であるタリアが本氣を出せば、壁の向こうにいる肥えた糞ったれな神父等瞬殺出来るだろう。

 しかし、そんな事をしても何も意味は無い。

 エオルニア教が腐っているのなんて、聖エオルニア教国に居た時から知っていた。

 それでも、女神エオルニアは勇者を見守り力を貸してくれる存在だと信じていた。

 だが、どうやら腐っているのは女神のようだ。

 「分かりました。 冒険者ギルドに行って参ります」

 「ほっほっ、そうですね。 それがよろしいかと……」

 タリアは懺悔室を後にする。

 「もしかしたら、まだアヤメやカリンとコリンは生きているかもしれないんだ。 どうせ死ぬなら、確認してから死のう」

 共に大迷宮に潜ってくれる命知らずが居てくれる事を祈りながら、タリアは冒険者ギルドへと向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...