33 / 252
第32話 迷宮攻略は物理が1番
しおりを挟む
3階層の階段入口前では、セムネイルによる殺戮が行われていた。
「ふははははははっ! どうしたどうした雑魚共!! 俺は1人だぞ? 殺ってみせろ!」
笑いながら、素手でブラックゴブリンを殴り殺す。
悲鳴を上げたブラックゴブリンが順番に壁の染みへと変わっていく。
神々や魔神達が束になっても殺せなかった最強の魔王を、例え完全復活してなかろうと、ブラックゴブリン無勢が殺せる道理は無い。
現代では、ブラックゴブリンはBランクの冒険者が苦戦する魔物等と言われているが、神魔大戦の時は雑兵に等しく雑魚扱いであった。
当時の英雄達が現在の冒険者や英雄と呼ばれる者達を見ると、あまりに弱すぎて泣き出すだろう。
ブラックゴブリンキングは後方で、配下がゴミの様に殺されていくのを震えながら見ていた。
「「「ギィギィ!!」」」
配下のブラックゴブリン達が逃げ出そうとするのを、ブラックゴブリンキングは咄嗟に止める。
「ギガァァァァ!」
ブラックゴブリンキングは命じる。
最後の1匹まで戦えと。
お前達がアレを消耗させて、最後に王の俺が殺すと指示を飛ばしたのだ。
その様子を、セムネイルは呆れながら見ていた。
「くっくっくっ、知恵が多少付いただけで、阿呆に変わりは無しか……もういい。 俺様の前から消えろ! 唸れ拳、光れ力よ、前方の敵を打ち砕け! 巨人拳!!」
セムネイルが魔法では無く、武技を発動させると右手の拳が巨大化しブラックゴブリンキング諸とも粉砕した。
ドッッゴォォォンッ!!
「「「「ゲピッ?!」」」」
「ゴギョッッ!?」
まだ数十匹は居たブラックゴブリンとブラックゴブリンキングは壁の染みとなり、辺りは静けさを取り戻した。
「ふう……久しぶりにアイツの武技を使ったが……流石、脳筋の技だな。 おっと、一応魔石を集めるか。 潰れてなきゃいいが……」
セムネイルは死骸を漁り、魔石を集め始めた。
◆◇◆
それから数十分が過ぎ、漁り終わったセムネイルは妻達を迎えに行く。
ガチャッ!
「お! すまん、待たせたな」
4次元の扉を開けると、リンとノラが泣きながら抱き付いてきた。
「あうー! セムネイル様、御無事で良かったですよー!」
「がるる! おい、セムネイル! 次はちゃんと俺達も戦わせろ! 雄が1人で戦うのはダメだ! 死んだら嫌だぞー!」
「くっくっくっ、すまんすまん。 セリスもありがとう。 咄嗟の指示をよく聞いてくれた」
セムネイルは胸で泣く妻達を優しく撫で、セリスに礼を述べる。
咄嗟によく動けたと。
「いえ、当然でございます。 貴方様の無事を私は1ミリも疑っておりませんでしたわ」
「うむ、頼りにしてる。 よし、リン、ノラ! 次は共に戦うぞ? さっさと泣き止んで出発するぞ」
「はい!」 「おー!」 「ふふ、2人共現金ね」
3人の妻達を連れ、今度こそ3階層の迷宮を突破しに4人は向かうのであった。
◆◇◆
「おーー!? セムネイル、凄いな! 石の壁で囲まれてて何も見えないぞ!?」
ノラが大興奮で石の壁を叩いて回る。
「セムネイル様、この石の上を歩いて行くのではダメなのでしょうか? よっ! んっ!!」
リンが一生懸命に壁を登ろうとするのを、セムネイルは微笑ましく見ていた。
「くっくっくっリン、見えないが上は天井になってるぞ? ダンジョンのエフェクトで、石の上が有るように見えてるだけだ」
「貴方様はダンジョンの事に詳しいですのね。 流石でございます」
セリスに褒められ、セムネイルの鼻は何処までも高く高く伸びる。
「くっくっくっ、だろ? こうみえて、封印される前に存在していたダンジョンは全て制覇していたからな。 ダンジョンマスターと呼ばれたものよ! ふははは!」
高笑いするセムネイルに、ノラが飛び付く。
「なーセムネイル、じゃあこの迷宮はどうやって進むんだ? しらみ潰しか?」
「うおっ!? い、いや、違うぞノラ。 このタイプの迷宮は、通路が突然代わる。 正攻法では、まず突破出来ん。 進んだ先が行き止まりで引き返そうとしても、後ろも行き止まりになっていたり何て当たり前だからな」
セムネイルの言葉に、セリスはハッとする。
「確か……資料にありました。 唯一の中からの情報として、当時のSランク冒険者が送ってきた魔法に『此処は大迷宮だ我等は生きて戻れぬ』……と。 それから、このダンジョンは大迷宮と呼ばれるようになったのですよね」
「お、よく覚えていたなセリス。 そうだ、恐らく20年前の冒険者達はこの3階層を突破出来ず迷宮の中で死んだのだろう」
セリスとセムネイルの会話に、リンが身震いする。
「じゃあ……どうするのですか? セムネイル様」
怯えるリンの頭を撫でて、セムネイルは石の壁へと向かう。
「教えてやる。 見てろよ? これが……この迷宮を簡単に突破するやり方だ!!」
ドッッゴォォォンッ!!
ガラガラ………
セムネイルの前方にあった石の壁は粉砕され、次の通路が見えてきた。
「「「…………え?」」」
妻達が呆然とするなか、セムネイルは良い笑顔で言った。
「真っ直ぐ壁をぶち抜けば、何も問題無い! 壁が無ければ塞がれようが無いからな! ふははははははは!!!」
「ふははははははっ! どうしたどうした雑魚共!! 俺は1人だぞ? 殺ってみせろ!」
笑いながら、素手でブラックゴブリンを殴り殺す。
悲鳴を上げたブラックゴブリンが順番に壁の染みへと変わっていく。
神々や魔神達が束になっても殺せなかった最強の魔王を、例え完全復活してなかろうと、ブラックゴブリン無勢が殺せる道理は無い。
現代では、ブラックゴブリンはBランクの冒険者が苦戦する魔物等と言われているが、神魔大戦の時は雑兵に等しく雑魚扱いであった。
当時の英雄達が現在の冒険者や英雄と呼ばれる者達を見ると、あまりに弱すぎて泣き出すだろう。
ブラックゴブリンキングは後方で、配下がゴミの様に殺されていくのを震えながら見ていた。
「「「ギィギィ!!」」」
配下のブラックゴブリン達が逃げ出そうとするのを、ブラックゴブリンキングは咄嗟に止める。
「ギガァァァァ!」
ブラックゴブリンキングは命じる。
最後の1匹まで戦えと。
お前達がアレを消耗させて、最後に王の俺が殺すと指示を飛ばしたのだ。
その様子を、セムネイルは呆れながら見ていた。
「くっくっくっ、知恵が多少付いただけで、阿呆に変わりは無しか……もういい。 俺様の前から消えろ! 唸れ拳、光れ力よ、前方の敵を打ち砕け! 巨人拳!!」
セムネイルが魔法では無く、武技を発動させると右手の拳が巨大化しブラックゴブリンキング諸とも粉砕した。
ドッッゴォォォンッ!!
「「「「ゲピッ?!」」」」
「ゴギョッッ!?」
まだ数十匹は居たブラックゴブリンとブラックゴブリンキングは壁の染みとなり、辺りは静けさを取り戻した。
「ふう……久しぶりにアイツの武技を使ったが……流石、脳筋の技だな。 おっと、一応魔石を集めるか。 潰れてなきゃいいが……」
セムネイルは死骸を漁り、魔石を集め始めた。
◆◇◆
それから数十分が過ぎ、漁り終わったセムネイルは妻達を迎えに行く。
ガチャッ!
「お! すまん、待たせたな」
4次元の扉を開けると、リンとノラが泣きながら抱き付いてきた。
「あうー! セムネイル様、御無事で良かったですよー!」
「がるる! おい、セムネイル! 次はちゃんと俺達も戦わせろ! 雄が1人で戦うのはダメだ! 死んだら嫌だぞー!」
「くっくっくっ、すまんすまん。 セリスもありがとう。 咄嗟の指示をよく聞いてくれた」
セムネイルは胸で泣く妻達を優しく撫で、セリスに礼を述べる。
咄嗟によく動けたと。
「いえ、当然でございます。 貴方様の無事を私は1ミリも疑っておりませんでしたわ」
「うむ、頼りにしてる。 よし、リン、ノラ! 次は共に戦うぞ? さっさと泣き止んで出発するぞ」
「はい!」 「おー!」 「ふふ、2人共現金ね」
3人の妻達を連れ、今度こそ3階層の迷宮を突破しに4人は向かうのであった。
◆◇◆
「おーー!? セムネイル、凄いな! 石の壁で囲まれてて何も見えないぞ!?」
ノラが大興奮で石の壁を叩いて回る。
「セムネイル様、この石の上を歩いて行くのではダメなのでしょうか? よっ! んっ!!」
リンが一生懸命に壁を登ろうとするのを、セムネイルは微笑ましく見ていた。
「くっくっくっリン、見えないが上は天井になってるぞ? ダンジョンのエフェクトで、石の上が有るように見えてるだけだ」
「貴方様はダンジョンの事に詳しいですのね。 流石でございます」
セリスに褒められ、セムネイルの鼻は何処までも高く高く伸びる。
「くっくっくっ、だろ? こうみえて、封印される前に存在していたダンジョンは全て制覇していたからな。 ダンジョンマスターと呼ばれたものよ! ふははは!」
高笑いするセムネイルに、ノラが飛び付く。
「なーセムネイル、じゃあこの迷宮はどうやって進むんだ? しらみ潰しか?」
「うおっ!? い、いや、違うぞノラ。 このタイプの迷宮は、通路が突然代わる。 正攻法では、まず突破出来ん。 進んだ先が行き止まりで引き返そうとしても、後ろも行き止まりになっていたり何て当たり前だからな」
セムネイルの言葉に、セリスはハッとする。
「確か……資料にありました。 唯一の中からの情報として、当時のSランク冒険者が送ってきた魔法に『此処は大迷宮だ我等は生きて戻れぬ』……と。 それから、このダンジョンは大迷宮と呼ばれるようになったのですよね」
「お、よく覚えていたなセリス。 そうだ、恐らく20年前の冒険者達はこの3階層を突破出来ず迷宮の中で死んだのだろう」
セリスとセムネイルの会話に、リンが身震いする。
「じゃあ……どうするのですか? セムネイル様」
怯えるリンの頭を撫でて、セムネイルは石の壁へと向かう。
「教えてやる。 見てろよ? これが……この迷宮を簡単に突破するやり方だ!!」
ドッッゴォォォンッ!!
ガラガラ………
セムネイルの前方にあった石の壁は粉砕され、次の通路が見えてきた。
「「「…………え?」」」
妻達が呆然とするなか、セムネイルは良い笑顔で言った。
「真っ直ぐ壁をぶち抜けば、何も問題無い! 壁が無ければ塞がれようが無いからな! ふははははははは!!!」
21
お気に入りに追加
359
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる