【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第31話 朝の寛ぎと待ち伏せ

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 「ふわぁ~! 流石に眠いな」

 セムネイルは重い身体を引きずり、ベットから降りる。

 巨大なベットに寝ているのはセムネイルだけで、既に妻達は全員起きているようだ。

 「んー?  俺が最後か……」

 装備を整え、1階へと向かう。

 「おー! セムネイル! おはよう! 眠そうだな!! ふははは!」

 元気いっぱいのノラがセムネイルに飛び付いて、朝の挨拶を交わす。

 「おはようノラ、元気だな。 リン、セリス、ローズおはよう」

 「おはようございます、セムネイル様」

 「あはは……セムネイル様、お疲れですね。 おはようございます」

 「ふふふ♪ おはようございます、貴方様。 直ぐに朝食ですわ」

 隈が浮かぶセムネイルとは違い、妻達は肌が艶々で朝から元気そうだ。

 (解せぬ……。 まぁ、皆が元気なのが一番だな! よし!!)

 「ありがとう、セリス。 朝食を食べたらローズを見送って、3階層の迷宮をさっさと突破するぞ」

 「はい! あ、セムネイル様。 今日の朝食はセリスさんとローズ姉様の手作りですよ~」

 食卓に旨そうな朝食が並ぶ。

 米という、異世界人が開発した穀物を握って作ったオニギリに玉子焼き、更に焼き魚と朝からご馳走だ。

 「うん、旨そうだ。 ありがとう、ローズ、セリス」

 「いえ、大したものでは有りませんが……」 「ふふ♪ ローズ姉さん、玉子焼き作るのとっても上手何ですよ?」

 照れるローズと上機嫌のセリスを撫でる。

 「よし、食うか。 ノラ、そろそろ背中から下りろ飯だ」

 ずっと背中にしがみついていたノラを下ろし、皆で食卓に着き食べ始める。

 「旨い! ローズ、セリス、旨いぞ」

 「それは良かったです! 朝から緊張して作りましたから」

 「ローズ姉さん、誰かに料理したの貴方様が初めてらしいですわよ?」

 「ちょっ!? セリスちゃん?! 」

 仲睦まじい妻達を見て、思わず頬が緩む。

 「あ、あの……セムネイル様」

 リンが食べる手を止め、気まずそうに話し掛けてきた。

 「んぐんぐ……ん? どうしたリン」

 「さっき、ノラと話してたのですが……昨日会った冒険者達は大丈夫でしょうか?」

 リンの言葉に、昨日遭遇したSランク冒険者達の事を思い浮かべる。

 「あぁ……アイツらか。 いや、大丈夫じゃないだろ。 多分もう勇者以外は死んでるぞ」

 冷たく告げるセムネイルの言葉に、リンとノラは眼を見開き驚いていた。

 「リン、セリス、ちゃんと貴方様は警告をしました。 その上で引き返さなかったのなら、後は自己責任ですわよ?」

 セリスの言葉にリンとノラは何処か不満そうだ。

 勇者タリア以外は、亜人や黒髪を差別し嫌われていたにも関わらず心配してしまう優しいリンとノラにセムネイルは優しい瞳を向けている。

 「分かった。 リン、ノラ……迷宮を突破している道中で見つけて治療が間に合うなら助ける。 それでいいか?」

 セムネイルの言葉に2人は満面の笑顔で応える。

 「ありがとうございます、セムネイル様」 「ありがとう、セムネイル! やっぱり嫌な奴でも……なんか、魔物に殺られたりするの嫌だ」

 2人のソレは……きっと遠い記憶となったトラウマからくる優しさなのだろう。

 同じ様に、魔物にいたぶられる恐ろしさを知っているから……。

 「はぁ……すみません貴方様」

 「いや、構わないよセリス。 2人の優しさも好きだし、セリスの厳しさも好ましいぞ」

 3人の頭を優しく撫でる。

 「あの……セムネイル様。 勇者とは? 何のお話しでしょうか……」

 「ん? あぁ、そうかローズは知らないよな。 昨日2階層を攻略してたらな――――

 ◆◇◆

 ――――という訳で、その神の使徒っていうSランク冒険者パーティーは先に進んだんだ。 実力不足にも程が有ったからな……生存してる可能性は低いだろ」

 セムネイルの説明に、ローズは冷や汗をかく。

 「あ、あの……セムネイル様。 聖エオルニア教国のSランク冒険者パーティー神の使徒と云えば、世界に知らぬ者無しと呼ばれている最強の勇者達なのですが……?」

 「……んぐ? アレでか? 多分、今のローズでも殴り殺せるぞ?」

 「いやいや、無理ですよ!」

 焦るローズを余所に、セムネイルは心の中で落胆する。

 (おいおい……今の時代に神や魔神が現れたら一瞬で世界滅ぶぞ? いや……神魔大戦とやらがどんな結末を迎えたかによるな)

 「んぐ、んぐ……ごくんっ! まぁ、それはいい。 よし、助けるなら動くか。 皆、準備しろ! 」

 「「はい!」」 「んぐ! おう!!」
 
 3人娘達が急いで食べ終わり、準備へと自室に向かう。

 「ローズ、すまんがギルドで神魔大戦の事を出来るだけ調べておいてくれ。 あと、神の使徒達に関しても……なにやらキナ臭い。 あんな未熟な者達がこのダンジョンに来た理由が知りたいのだ」

 「かしこまりました。 仰せのままに」

 ローズに頼み事をした後は、3人娘が残した食器やらを片付ける。

 「セムネイル様、片付けは私が!」

 「構わん。 ローズはまだ食ってるだろ? こういうのは、できる奴がやればいい」

 暫く食器を洗っていると、バタバタと階段を掛け下りる音が聞こえた。

 「ふーーーんっ! 俺が1番だぞ! セムネイル!!」

 「ははは、そうだなノラ。 早かったなら、其処の食器を持ってきてくれ」

 「おう!! 任せろ! 俺が1番だからな!」

 「あ~! ノラちゃん待ってー! それまだ食べてるのー!」

 元気なノラがローズが食べている皿を颯爽と持ってくる。

 セムネイルは苦笑いしながら、幸せな時間を過ごしていた。

 ◆◇◆

 「それでは、セムネイル様。 お気を付けて、私は仕事に行って参ります」

 小さなドアの前でローズと別れ、セムネイル達は大きな扉を開けタンジョンへと戻る。

 3階層に戻った直後、目の前にはブラックゴブリンキングとブラックゴブリン達が待ち構えていた。

 「ギガガガガガ!」

 「「「ギギカァァァ!」」」

 「ちっ、ここは階段前だぞ?! さては、長年生きて知能が高い魔物が出てるな……セリス! 2人を4次元に! 俺が開けるまで絶対に出てくるな!!」

 「セムネイル様!」「セムネイル!!」

 「いいから2人とも! 貴方様、お気を付けて!」

 扉から出てきていたセリスに指示を飛ばすと、セリスは直ぐに2人を4次元の中に連れ戻し扉を閉めた。

 「ふー、よし糞共、性欲から得る力ばかりで偏ってたんだ。 俺の糧と成れ」

 パキパキと肩を鳴らしたセムネイルは、魔法も使わずブラックゴブリン達に殴り掛かった。
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