【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

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第26話 Sランク冒険者

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 1階層は何も無く終わり、魔物を皆殺しにした者の正体探るべく4人は2階層への階段を降りてゆく。

 「くんくん、なぁセムネイル! 匂いの奴等、強いぞ! 」

 「ほう、それは楽しみだな! くっくっくっ、俺より強いかもな」

 ノラが他の奴を褒めるのが癪に障るのだろう。

 悪い顔で笑うセムネイルを、リンとセリスが苦笑いで見ていた。

 階段が終わり、2階層に到着した。

 「おー!すげぇ! 沼だ!! 臭いぞ! セムネイル!! 臭くて魔物が全然分かんないぞ!」

 1階層の森とは違い、2階層は一面沼地だ。 ゴポゴポと汚い泡が沼から上がっているのが見える。

 「ふむ、2階層目で沼か……。俺達には楽勝だが、装備や武器が汚れると戦闘に支障が出るな」

 「セムネイル様、何か方法が有るのですか?」

 「ん? よし、見せてやろう。 セリスも見ておけ、お前なら直ぐに使える」

 「は、はい!」 「勉強させて頂きます、貴方様」 

 ノラは鼻が痛いのか、鼻を摘まんだまま大人しくしている。

 「風の精霊よ、一時の間その風に乗せてくれ、悪しき風から守り空へ運べ、風の小船」

 セムネイルが魔法を唱えると、4人の足元に風が吹き込み空中へと誘う。

 「セムネイル! お前、本当に凄いな! さすが、俺達の雄だな!」
 
 「ふはははは! そうだろう! ノラの男は凄いんだぞー!」

 機嫌が直ったセムネイルを見て、セリスとリンはこっそりと笑っていた。

 (セリスさん、セムネイル様可愛いですね) (ふふ、そうね。 好きな相手の一番じゃないと嫌みたい)

 セムネイルは、後ろで2人がクスクスと笑っているのに気付かずノラに沼地の講義をしていた。

 「いいか、ノラ。 沼地に出る魔物は厄介なのが多いんだ。いきなり沼地に引き釣り込むミミズや、擬態して襲ってくる沼蛇、そして……あんな感じに飛んできて太い針で刺してくる魔物もいる」

 セムネイルが指を指した方角からは、巨大な蚊が複数向かってきていた。

 「「「ぶーーーーーーん! チキチキ」」」

 「がう! 本当だなセムネイル!! でも、空飛んでる時は、どうやって倒したらいいんだ!? 踏ん張り効かないぞ!」

 「くっくっくっ、案ずるな。 リン、セリス、あのうるさい蚊を沼に落としてやれ」

 「「はい!」」

 リンが弓を構え、正確無比に巨大な蚊を撃ち落とす。

 更に後方から飛んできた蚊は、セリスが雷魔法で全て焼き殺した。

 「くっくっくっ、2人とも見事だ。 ほら、ノラ。 下見てみろ」

 ノラが恐る恐る下を見ると、沼に落ちた蚊の死骸を沼から這い出てきた大食いミミズが食い散らかし始める。

 かなりの大群だ。

 「ひょ、ひょぉぉぉ……セ、セムネイル! 俺、沼地……嫌いだぁ」

 「凄いですね……もし、セムネイル様の魔法が無ければアレを相手に……」

 「でも、貴方様。これだけ魔物が残っていると云うことは……」

 「ふむ、先客はまだこのフロアに居るかもな。もしくは、俺達の様に何らかの手段で切り抜けたか……だな。 考えても仕方有るまい、先に進もう」

 沼地のフロアを飛ぶこと数時間。

 未だ、次のフロアへの階段を見つけられずにいた。

 「……ちっ、フロアボスが倒されてないからか。 仕方ない、ボス部屋を探すぞ。 一定のエリアに浸入すれば、出てくる筈だ。リン、セリス、これも経験だ。 2人で見つけてみろ」

 リンが長耳を澄ませ、セリスが魔力を探りながら飛ぶこと数十分。

 「……あ、セムネイル様。戦闘音が聞こえます!」

 「私の魔力探知にも反応が有りました!」

 「くっくっくっ、良くできたな。 さぁ、行こうか」

 2人の頭を撫でてやり、魔法を操作して向かう。

 「うーーー、俺役立たずか? セムネイル」

 「ん? そんな事無いぞ? さっきの1階層もかなりの広さだったが、ノラのお陰で直ぐに突破出来たからな」

 狼耳をへたらすノラの頭をわしゃわしゃと撫で回す。

 「えへへ、そうか。 なら、いい!」

 機嫌が直ったノラを愛でながら、進むのであった。

 ◆◇◆

 戦闘音がセムネイルの耳にも聞こえ始めた頃、視界でも見えてきた。

 どうやら、人間の冒険者パーティーがボスの大沼蛇と戦闘しているようだ。

 人数は4人で、前衛に大盾持ちの女重騎士と大剣を振り回す女騎士。 後衛に、僧侶? いやシスターか? 回復を務めるローブを着た2人の女が戦闘をフォローしていた。

 (えらくバランスが悪いな……)

 「あの大沼蛇は、滑る皮膚のせいで物理攻撃は効かないぞ。 ダークゴブリンキングがAランクの魔物なら、アレはSランクだ。時期に死ぬぞ」

 「……助けないのか?」
 「セムネイル様……?」

 「2人共、止めなさい。 自分達の意思でダンジョンに入ってる限り、自己責任よ」

 冷酷に告げるセムネイルに、ノラとリンはしょぼくれた顔で見つめるがセリスが止めた。

 自己責任、その通りだ。
 帰らずの大迷宮に、自分達から入る方が悪い。

 「セリスの言う通りだ。だが、俺はそんな事より2人のしょぼくれた顔を見るのが嫌だ。 助けるぞ」

 途端に表情が明るくなる2人を優しく撫で、戦闘の現場に向かう。

 セリスだけは、溜め息をついていたがその表情はどこか嬉しげだった。

 「聞こえるか!! その大沼蛇に物理は効かん! 俺が魔法で殺る、下がれ!」

 セムネイルが空中で大声を出すと、沼地で戦闘していた冒険者達が反応する。

 「何奴だ!! 忌み子の癖に我等の使命を邪魔するな!皆直ぐに倒せる、耳を貸すな!」

 大盾を持った女重騎士は、どうやら状況を把握する能力すら無い馬鹿のようだ。

 「その通りです! 回復は任せて下さい!」 「我等はエオルニア様の使徒、負けることは有りません!」  

 2人のシスターも女重騎士に負けず劣らずの馬鹿だった。

 「ふむ、ならお前達が死んでからボスを倒して次に向かう事とする! じゃあな」

 セムネイルが一瞬で見捨てる判断を下した時、大剣を持つ女騎士が叫ぶ。

 「御仁! すまない、助けてくれ!! 私達は聖エオルニア教国所属のSランク冒険者パーティー神の使徒だ! 幾ら斬っても効いてない、ジリ貧なのだ!」

 「ほう、お前達がSランク冒険者か。くっくっくっ、 俺達はGランクの忌み子と亜人のパーティーだが。良いのか? 助けても」

 「な!? Gランクで更に亜人の分際で我等を助けるだと!? ふざけるな! さっさと消えろ邪魔だ!」

 「「そうです! 立ち去りなさい!」」

 告げられた事実に、女騎士以外が憤慨するが。 女騎士だけは、真っ直ぐな瞳で訴える。

 「私は勇者タリアだ。 差別も階級も関係ない、このダンジョンは早く踏破しないと危険なのだ。 頼む、助けてくれ」

 今の時代で、初めての勇者との遭遇に魔王セムネイルは眼を見開いた。
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