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2章〜フォレスト王国王都〜

84、邪魔なきのこ

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 結果。図書館、超超超広い。そしてその分超超超本がある。

 入った最初の感想。こんなに本有って、読みたい本見つかるの?

 本気でそう思ったよ。

 うん、でもこの本の匂いは落ち着くね。

「司書に尋ねれば、大体の場所は分かるよ」
「じゃあ解散か?」
「そうだな。その方がいいだろう」
「そうだね。じゃあ解散!」

 速っ。

 私抜きですぐに解散が決まった。いや、私も解散でよかったとは思う。だけどね?私にも聞いてくれてもいいと思わない?

 まあいいですとも。私もそう提案するつもりだったから。

 というかソークがあっさり解散にした事が意外だった。

 いつも誰かの面倒を見ていて苦労しているお兄ちゃん的なイメージが何か私には有ったんだけどな……。

 まあ図書館では静かな事に越したことはない。

 皆それぞれの場所に散った……訳でも無く、解散だけど司書さんの元へ一緒に。

 本多すぎるもんね。

 
 そして今度こそ別行動。

 私はとりあえず魔法の所を教えてもらった。魔法は女のロマン!!


 ……だけど見ただけでちょっと読む気失せた。

 何度目かな?本が多いんじゃ。

 だけど私が言い出しっぺだからしっかり読みますとも。ええ。

『母様、見つけた』

 ん?誰か迷子にでもなってたのかな。とても嬉しそうな、泣きそうな声が聞こえた。私には関係ないな。そう思いながら適当に本を選ぶ。

 開く。

 叫ぶ。


「ぎ、ぎゃあああぁーーー」


 めっっっちゃくちゃ怖い。


 何が?きのこが。

 きのこで普通思い浮かべる小さい茶色のきのこではない。

 私が見て叫んだのは、すっごいホラーだから。

 毒々しい紫色の笠に、胴体はこれまた毒々しいド派手な赤色。そして顔のようなモノがついてこっちを見ているうぅ!!

 ……正確には顔ではなかった。模様だった。正直、こんな模様あってたまるかっ!!と思ってしまった。でも私は悪くない……はず。

 というか顔(模様)も怖い。目ん玉ギョロギョロなんだもん。このきのこ、本当に怖い要素しかない。

 しかもビッグ。でかい本なのにそれからはみ出している。しかもそんな大きさなのに、一瞬で生えた。


 ヤダ、何コレ。


 怖すぎて逆に分析し始めた私の元に、ソークとローク、リチャードくんに司書さんまで駆けつけた。

「「「大丈夫(ですか)!?」」」

 あ、司書さんすみません……。

「これ怖い……何これぇ」

 しかも皆が来てから何故かドヤ顔になった気がする。
 
「「「ひっ」」」
「おおお!!」

 声が一つだけ揃っていなかった。その声は……リチャードくん。

「「「「おおお?」」」」

 私達は目を丸くする。そしてリチャードくんも何故か目を丸くする。

「このきのこ知らないのか?魔法士では有名なんだぞ?」


 こんなに毒々しいモノが有名なのか。


 今、心の声が皆と被ったと思う。

「このきのこはコノキナーマージャといって、魔力が豊富に含まれているから魔力回復が半端なく高くて、ハイポーションより上回る。さらに栄養価も抜群。味も超美味。だから魔法士はこぞって欲しがるきのこだ。……まあ、見た目はあれだけど、な。とにかく!そこは我慢してでも食べたいきのこなんだ!!」

 このきのこがそんなに凄いのか!?

 リチャードくんの説明と私達全員の視線では、さらにこのコノキナーマージャがドヤ顔になっている気がする。

 ……この顔本当に模様?

 というかこのきのこの名前、反対から読むと『じゃーまーなきのこ』。この名前をつけた人の気持ち、分かります……。

 よっぽど邪魔だったんだなぁ。私もそうなるのか。

 思わず遠い目になってしまった。

 そしてそれを慰めるかの様に私の足元に生えてきたコノキナーマージャ。

 このコノキナーマージャは哀れむような表情に見える。地味にむかつくな、おい。


 元凶君だからね!?
 
 私は思わず笠の部分を思いっきり殴った。

「ところでリチャードくん、聞きたくないけど聞いてもいい?」
「ん?いいぞ」
「これ、いつまで生えてくるの?」
「………………」

 え、何その沈黙。たっぷり十秒の間を開けてからリチャードくんは答えた。

「知らね。一回生えてきて終わりだったり、一生生え続けたり、一週間で終わったり?規則性がないんだよな、それ。しかも生き物にも関係無く生えてくる。基本無生物にしか生えないけどな」
「い、一生……」

 これが一生付き纏うかもしれないの??
 
 皆が哀れみの目で見てくる。

「「「「ご愁傷様」」」」

 皆同時に言ってくる。

 そんな言葉よりコノキナーマージャをどうにかして欲しい!!
 
 
 
 
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