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小さな世界の花畑
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全身ガラス張りの温室、帝国の最新技術の詰め込まれた傑作は、中身も素晴らしい。
世界各国の希少な植物が数多く持ち込まれ、瑞々しく生きている。
中には自然でしか生きられないとされている花まであり、温室、植物共に価値は計り知れない。
ルルーシェはそうとは知らずに、家の温室凄いなぁと深く理解せずに利用している。
此処の利用者はルルーシェしかいないので、利用してもらわないと困るは困るのだが、たった一人のためにしては規模が大きすぎるだろう。
そしてそんなものに興味なんて抱かないアページェントの人々が此処を丁寧に整えているのはルルーシェのため。
ルルーシェが興味をなくした途端に此処は放置され荒れ果てることになる。
ルルーシェはなんとも恐ろしい運命を委ねられていた。
それ以上のものも、委ねられているのだが、全てを知らずにいるルルーシェは幸せなのか、はたまた不幸なのか。
アールグレイの香り豊かな紅茶を飲んでいる時だった。
ルルーシェはふと視線を感じる。
しかし、ここで慌ててはいけない。
ゆったりと自然な動作でそちらを見ないと、フレアンヌにどうしたのかと尋ねられてしまうから。
そちらの花が気になったんですよ、という雰囲気を出して、カップも持ったままちらりと見るのだ。
そして案の定、そこには誰もいない。
人だけでなく、動物も見当たらない。
(また?)
最近、外に出ると一時間一回の頻度で視線を感じる。
そして見ても誰もいない。
あるのはユニセックスな残り香のみ。
(多分イチジク。あとムスクかしら)
こんなに毎回匂いだけを残して去られると気になって仕方がない。
というか、この匂いの子がルルーシェを落とした犯人なのなら心まで悪い子ではないんだろうと思っている。
こんなことを言ったらカーシェに叱られ諭されそうなため、視線を感じるという話しか教えていない。
こんな日々が続き、いい加減この鬼ごっこに決着をつけようと静かに決意したルルーシェ。
湖には行けたが、花畑には行けなかったため、そのリベンジをと二人を誘った。
ラカーシェもトワイも嫌そうな雰囲気を醸し出していたが、わからなかったふりをして無邪気に言う。
「お父様、駄目ぇ?」
ラカーシェの膝の上、上目遣いで。
甘い声は出さない。
そうすると媚びている感がぐっと上がるから。
「いいよ!」
勝敗は直ぐに決まった。
勝者は勿論ルルーシェである。
そうすると必然的にトワイも着いてくるのだから楽なものだ。
「うふふふふ」
「そんなに楽しみなんだね」
「ええ!」
そう、ルルーシェはあの匂いの子がどんな子なのかわかることが楽しみで仕方ない。
花畑には三人しかいないのだからきっと現れるに違いない、とルルーシェは思っている。
いつもルルーシェに付き添っているのはフレアンヌだが、絶対その空間には他に四、五人居るのだ。
だったら、少人数の時、姿を現すだろうとルルーシェは踏んだ。
ルルーシェが落ちた時だって、少し離れてはいたが二人も居た。
(これはもう、いけるでしょう!)
グッと小さくガッツポーズを決める。
「お父様、トワイ。二人も花冠作りましょう?」
「「…………」」
無言で横に首を振られる。
「なんで?一人だけで騒いで作っても楽しくないわ」
「「…………」」
無言で横に首を振られる。
「ね、不恰好でもいいから。……もう!…………作れないのかしら?」
粘っても首を縦に振ってはくれない二人に対し、不満に頬を膨らませたルルーシェは最後、ぼそりと呟いた。
これは誰に聞かせるためでもなかったが、二人に聞こえたらしい。
乙女全開な花畑にドカリと座り、花をちぎり始めた。
顔を顰めつつも花冠を作る姿はなんともまぁ、花畑に似合わないこと。
ここで笑ってしまうとヘソを曲げてしまいそうだとルルーシェは口を手で必死に押さえて笑いを押し込む。
ルルーシェは気を逸らすために花冠作りを再開した。
花冠を二個、作り終えて集中力が切れた。
二人の進捗具合を確かめるために顔を上げて、バッと下に向き直す。
(笑っちゃだめ笑っちゃだめ笑っちゃだめ笑っちゃだめよ!私ぃ!!)
ルルーシェの付き合いなのだから程々でよかったのに、二人はとても真剣にもう直ぐできそうな花冠と向き合っていた。
ルルーシェが一人花冠を作る側、立って眺める美形二人という光景もシュールだったが、美形二人が乙女チックな花畑で真剣に花冠を作っているのもとてもシュールだった。
美形は花が似合うと言うが目つきが真剣すぎて、今は似合う似合わないではないのだ。
ただ、その真剣味が雰囲気と合っていない。
(そして匂いの子、多分来てないだろうけれど、来ていたとしても全くわからないわ!)
ルルーシェも花冠に夢中になっていたため視線が向けられていたとしても気づけなかっただろうし、そもそもここは花々の匂いが強い。
匂いの子が来ても、その匂いを嗅ぎ分けられないと今更思って徒労感に襲われる。
「ルルーシェ」
「なぁに、お父様」
ラカーシェに手招きされてルルーシェは近づく。
「どうぞ」
「まあ!」
ラカーシェはふわりと作った花冠をルルーシェの上に乗せ、微笑む。
「似合っているよ、私の可愛いお姫様」
「ありがとう、お父様!」
そう言ってルルーシェはラカーシェに思いっきり抱きついた。
その反動で花冠が落ちそうになるが、ラカーシェは片腕でルルーシェを受け止め、もう片手で花冠を押さえてくれる。
「私からも、はい」
お返しに、ルルーシェもラカーシェの上に自分で作った花冠をそっと乗せる。
「ありがとう」
ラカーシェはとても嬉しそうだ。
そんな様子にルルーシェはさらに嬉しくなる。
そしてルルーシェはくるりとターンをして、次はトワイの方へと駆ける。
「はい、どうぞ」
トワイの上にも、ふわりと花冠を乗せた。
「……ありがとうございます」
「どういたしまして。じゃあ、お礼にその花冠をくださいな」
「…………」
嫌そうに、体の後ろに隠そうとするが、可愛らしいピンクの花弁が丸見えである。
しばらく無言で見つめ合った後、トワイは渋々といった様子で花冠をルルーシェの上に乗っける。
ラカーシェ作よりはごちゃっとしている花冠。
それでも丁寧に作られていることは見て取れる。
「ありがとう」
「……はい」
ルルーシェはにっこりと笑い、体全体で幸せを表現するためにトワイにも抱きついた。
しかし直ぐに温もりは消える。
「ルルーシェ、私には?」
「お父様にもしたわ?」
「もう一度してくれるかい?」
「うん」
ラカーシェが拗ねたように、甘い声でルルーシェを誘惑する。
ルルーシェはその声に応えるようにラカーシェに抱きつき直した。
トワイの腕も引っ張り、抱きつきの輪に入れる。
(あぁ、幸せね)
服越しに感じる温もりに、そう思うのだ。
世界各国の希少な植物が数多く持ち込まれ、瑞々しく生きている。
中には自然でしか生きられないとされている花まであり、温室、植物共に価値は計り知れない。
ルルーシェはそうとは知らずに、家の温室凄いなぁと深く理解せずに利用している。
此処の利用者はルルーシェしかいないので、利用してもらわないと困るは困るのだが、たった一人のためにしては規模が大きすぎるだろう。
そしてそんなものに興味なんて抱かないアページェントの人々が此処を丁寧に整えているのはルルーシェのため。
ルルーシェが興味をなくした途端に此処は放置され荒れ果てることになる。
ルルーシェはなんとも恐ろしい運命を委ねられていた。
それ以上のものも、委ねられているのだが、全てを知らずにいるルルーシェは幸せなのか、はたまた不幸なのか。
アールグレイの香り豊かな紅茶を飲んでいる時だった。
ルルーシェはふと視線を感じる。
しかし、ここで慌ててはいけない。
ゆったりと自然な動作でそちらを見ないと、フレアンヌにどうしたのかと尋ねられてしまうから。
そちらの花が気になったんですよ、という雰囲気を出して、カップも持ったままちらりと見るのだ。
そして案の定、そこには誰もいない。
人だけでなく、動物も見当たらない。
(また?)
最近、外に出ると一時間一回の頻度で視線を感じる。
そして見ても誰もいない。
あるのはユニセックスな残り香のみ。
(多分イチジク。あとムスクかしら)
こんなに毎回匂いだけを残して去られると気になって仕方がない。
というか、この匂いの子がルルーシェを落とした犯人なのなら心まで悪い子ではないんだろうと思っている。
こんなことを言ったらカーシェに叱られ諭されそうなため、視線を感じるという話しか教えていない。
こんな日々が続き、いい加減この鬼ごっこに決着をつけようと静かに決意したルルーシェ。
湖には行けたが、花畑には行けなかったため、そのリベンジをと二人を誘った。
ラカーシェもトワイも嫌そうな雰囲気を醸し出していたが、わからなかったふりをして無邪気に言う。
「お父様、駄目ぇ?」
ラカーシェの膝の上、上目遣いで。
甘い声は出さない。
そうすると媚びている感がぐっと上がるから。
「いいよ!」
勝敗は直ぐに決まった。
勝者は勿論ルルーシェである。
そうすると必然的にトワイも着いてくるのだから楽なものだ。
「うふふふふ」
「そんなに楽しみなんだね」
「ええ!」
そう、ルルーシェはあの匂いの子がどんな子なのかわかることが楽しみで仕方ない。
花畑には三人しかいないのだからきっと現れるに違いない、とルルーシェは思っている。
いつもルルーシェに付き添っているのはフレアンヌだが、絶対その空間には他に四、五人居るのだ。
だったら、少人数の時、姿を現すだろうとルルーシェは踏んだ。
ルルーシェが落ちた時だって、少し離れてはいたが二人も居た。
(これはもう、いけるでしょう!)
グッと小さくガッツポーズを決める。
「お父様、トワイ。二人も花冠作りましょう?」
「「…………」」
無言で横に首を振られる。
「なんで?一人だけで騒いで作っても楽しくないわ」
「「…………」」
無言で横に首を振られる。
「ね、不恰好でもいいから。……もう!…………作れないのかしら?」
粘っても首を縦に振ってはくれない二人に対し、不満に頬を膨らませたルルーシェは最後、ぼそりと呟いた。
これは誰に聞かせるためでもなかったが、二人に聞こえたらしい。
乙女全開な花畑にドカリと座り、花をちぎり始めた。
顔を顰めつつも花冠を作る姿はなんともまぁ、花畑に似合わないこと。
ここで笑ってしまうとヘソを曲げてしまいそうだとルルーシェは口を手で必死に押さえて笑いを押し込む。
ルルーシェは気を逸らすために花冠作りを再開した。
花冠を二個、作り終えて集中力が切れた。
二人の進捗具合を確かめるために顔を上げて、バッと下に向き直す。
(笑っちゃだめ笑っちゃだめ笑っちゃだめ笑っちゃだめよ!私ぃ!!)
ルルーシェの付き合いなのだから程々でよかったのに、二人はとても真剣にもう直ぐできそうな花冠と向き合っていた。
ルルーシェが一人花冠を作る側、立って眺める美形二人という光景もシュールだったが、美形二人が乙女チックな花畑で真剣に花冠を作っているのもとてもシュールだった。
美形は花が似合うと言うが目つきが真剣すぎて、今は似合う似合わないではないのだ。
ただ、その真剣味が雰囲気と合っていない。
(そして匂いの子、多分来てないだろうけれど、来ていたとしても全くわからないわ!)
ルルーシェも花冠に夢中になっていたため視線が向けられていたとしても気づけなかっただろうし、そもそもここは花々の匂いが強い。
匂いの子が来ても、その匂いを嗅ぎ分けられないと今更思って徒労感に襲われる。
「ルルーシェ」
「なぁに、お父様」
ラカーシェに手招きされてルルーシェは近づく。
「どうぞ」
「まあ!」
ラカーシェはふわりと作った花冠をルルーシェの上に乗せ、微笑む。
「似合っているよ、私の可愛いお姫様」
「ありがとう、お父様!」
そう言ってルルーシェはラカーシェに思いっきり抱きついた。
その反動で花冠が落ちそうになるが、ラカーシェは片腕でルルーシェを受け止め、もう片手で花冠を押さえてくれる。
「私からも、はい」
お返しに、ルルーシェもラカーシェの上に自分で作った花冠をそっと乗せる。
「ありがとう」
ラカーシェはとても嬉しそうだ。
そんな様子にルルーシェはさらに嬉しくなる。
そしてルルーシェはくるりとターンをして、次はトワイの方へと駆ける。
「はい、どうぞ」
トワイの上にも、ふわりと花冠を乗せた。
「……ありがとうございます」
「どういたしまして。じゃあ、お礼にその花冠をくださいな」
「…………」
嫌そうに、体の後ろに隠そうとするが、可愛らしいピンクの花弁が丸見えである。
しばらく無言で見つめ合った後、トワイは渋々といった様子で花冠をルルーシェの上に乗っける。
ラカーシェ作よりはごちゃっとしている花冠。
それでも丁寧に作られていることは見て取れる。
「ありがとう」
「……はい」
ルルーシェはにっこりと笑い、体全体で幸せを表現するためにトワイにも抱きついた。
しかし直ぐに温もりは消える。
「ルルーシェ、私には?」
「お父様にもしたわ?」
「もう一度してくれるかい?」
「うん」
ラカーシェが拗ねたように、甘い声でルルーシェを誘惑する。
ルルーシェはその声に応えるようにラカーシェに抱きつき直した。
トワイの腕も引っ張り、抱きつきの輪に入れる。
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