双子の最愛も、わからない時はわからない。

シュガーコクーン

文字の大きさ
上 下
10 / 17

の日の昼休み

しおりを挟む
「あれ? 双子じゃん」

 昼休み、圭吾と2人で弁当を食べながら騒がしい廊下に意識をやっていた時のこと。

 圭吾が教室の入り口に立った2人組を見て呟いた。

「「宗介。一緒に食べよ」」
「んー。圭吾もいるけどいいか?」
「「………………いいよ」」

 間が長かった。



「双子と仲良くなったんだ?」
「ああ」
「へー!」

 にやにやとこちらを見つめてくる顔が憎たらしい。

「双子くん、俺圭吾。よろー!」
「「うん、よろー」」

 双子が購買のパンを広げながら応える。

 そして一口二口齧ったところで言う。

「ところで圭吾くん」
「宗介のこと好き?」
「おん? そりゃ大好きだけど?」

 ただでさえ笑っていなかった双子の目がビームを放ちそうになっているのだが。

 2人とも、圭吾の好きはライクであってラブではない。そこまで剣呑にならなくてもいい。

「圭吾の好きは友情の好きだぞ」
「「何で言い切れるのさ」」

 そこを突かれたら黙るしかなくなる。それ以上は俺が勝手に言っていいことではない。圭吾を困らせたくなくて、俺は俯くだけ。


「そりゃ俺がそーゆー愛を持てないからさ!」

 圭吾が茶化すような声音でそんなことを言うのだから、俺は驚きで顔を上げる。


 なんでもなさげにしているが、内側ではどうなのだろうか。
 
「「そうなの?」」
「あ、さては疑ってるな? 本当だとも! けいちゃんは嘘をつきまっせんのよっ!!」
「「…………」」

 助けを求めるような視線を感じるなんて気のせいだ。だって視線なんて目に見えないのだから。鈍い者は感じ取れないものなのだよ。









 双子達が教室を出た。

 わざわざ名残惜しそうに、そして若干助けなかった俺を恨めしそうに見つめてから帰っていった。


「大丈夫か?」
「もちのろんよ!」
 
 からからと笑わらわれる。

 何とも思っていないように見えるが。

「本当に?」
「うん。ありがと」

 自分の性的指向を砕いて飲み込んで、自分の物としたらしい。

 いつの間にか強くなった親友に、俺は感動を隠せない。

「おう」

 俺は圭吾の頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。

「うおぅえ!?」

 変な声を挙げる圭吾に吹き出す。

「成長したなぁ」
「うん!? 急だなおい! つか何目線だよ!!」
「親友目線」
「本当に!?」
「ほんとほんと」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

それはきっと、気の迷い。

葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ? 主人公→睦実(ムツミ) 王道転入生→珠紀(タマキ) 全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》

市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。 男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。 (旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。

多分前世から続いているふたりの追いかけっこ

雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け 《あらすじ》 高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。 桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。 蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。

雪は静かに降りつもる

レエ
BL
満は小学生の時、同じクラスの純に恋した。あまり接点がなかったうえに、純の転校で会えなくなったが、高校で戻ってきてくれた。純は同じ小学校の誰かを探しているようだった。

【完結】小石の恋

キザキ ケイ
BL
やや無口な平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。 助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。 なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。 果たして律紀は逃げ切ることができるのか。

処理中です...