双子の最愛も、わからない時はわからない。

シュガーコクーン

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球技大会決勝

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「あの双子強いんだな」
「………………ホント、興味ねぇことはとことん知らねぇよなぁ宗介は」
「悪いか」
「んや」

 首を横に振られる。

 ならいいだろう。


 球技大会2日目の午後である今日はとても日差しが強い。刺すような照り付けを遮るために広がる日傘のまあ多いこと。

 午後からは決勝戦しかないため観戦者だらけである。

 最後まで残ったバレーボールコートに人が密集しているため俺だけならば行かない。藤の木で作られている日陰の方が数倍涼しくて快適なのに、わざわざ人の熱気までもを感じてしまう所に立つ人の気が知れない。

 でも圭吾に最後の試合は近くで見たいと言われてしまった。なら行かないわけにはいかない。嫌だけど。渋って手を引かれながら行ったけど。



 人集りによって隙間からしか見えない。

 そして少しだけ見えたコートの状況に、俺は目を瞬かせることとなる。

「双子違うチームなん?」
「………………」

 半目で見られてたじろぐ。

「何?」

 圭吾の半目はレアだなと思いつつ問う。

「昨日見かけなかったの? 一ミリも?」
「声は聞いてた」
「一応聞くわ。何の?」
「双子に対する真っ黄色なの」
「確かに真っ黄色だったわ」

 冗談のつもりだったのに納得された。





「ハイレベルだな……」

 興奮した脳のまま2人で感想を言い合う。


 双子の片割れと目が合って微笑まれた。ほんの少し唇の端が持ち上がった程度だったが、あれは双子にとっての笑顔だと思う。

「「「「きゃあ~~っ!!」」」」
「うおっ」

 俺の周囲から発せられる甲高い声の束によって脳が揺さぶられるかのような感覚に陥った。

「私に笑ってくれた!」
「は? 私にだし」
「ねぇねぇ!! 絶対私だったよね!?」

 絶対が止んだ次の瞬間からこんな似たり寄ったりの会話が繰り広げられる様は凄まじい。

 でもそうか。俺に向けられる筈がないよな。ときめいてしまった自分に失笑する。


 女子達の会話が耳についたのだろう、もう双子のもう1人が体操服の端で汗を拭う耐性でこちらをチラ見する。ご褒美と言っても言い尽くせないファンサだ。さらには筋肉の美しい腹のチラ見せもおまけでついていた。

 女子達が先程よりも大きな声で甲高く叫ぶものだから俺達はそっとコートから離れた。


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