5 / 17
球技大会決勝
しおりを挟む
「あの双子強いんだな」
「………………ホント、興味ねぇことはとことん知らねぇよなぁ宗介は」
「悪いか」
「んや」
首を横に振られる。
ならいいだろう。
球技大会2日目の午後である今日はとても日差しが強い。刺すような照り付けを遮るために広がる日傘のまあ多いこと。
午後からは決勝戦しかないため観戦者だらけである。
最後まで残ったバレーボールコートに人が密集しているため俺だけならば行かない。藤の木で作られている日陰の方が数倍涼しくて快適なのに、わざわざ人の熱気までもを感じてしまう所に立つ人の気が知れない。
でも圭吾に最後の試合は近くで見たいと言われてしまった。なら行かないわけにはいかない。嫌だけど。渋って手を引かれながら行ったけど。
人集りによって隙間からしか見えない。
そして少しだけ見えたコートの状況に、俺は目を瞬かせることとなる。
「双子違うチームなん?」
「………………」
半目で見られてたじろぐ。
「何?」
圭吾の半目はレアだなと思いつつ問う。
「昨日見かけなかったの? 一ミリも?」
「声は聞いてた」
「一応聞くわ。何の?」
「双子に対する真っ黄色なの」
「確かに真っ黄色だったわ」
冗談のつもりだったのに納得された。
「ハイレベルだな……」
興奮した脳のまま2人で感想を言い合う。
双子の片割れと目が合って微笑まれた。ほんの少し唇の端が持ち上がった程度だったが、あれは双子にとっての笑顔だと思う。
「「「「きゃあ~~っ!!」」」」
「うおっ」
俺の周囲から発せられる甲高い声の束によって脳が揺さぶられるかのような感覚に陥った。
「私に笑ってくれた!」
「は? 私にだし」
「ねぇねぇ!! 絶対私だったよね!?」
絶対が止んだ次の瞬間からこんな似たり寄ったりの会話が繰り広げられる様は凄まじい。
でもそうか。俺に向けられる筈がないよな。ときめいてしまった自分に失笑する。
女子達の会話が耳についたのだろう、もう双子のもう1人が体操服の端で汗を拭う耐性でこちらをチラ見する。ご褒美と言っても言い尽くせないファンサだ。さらには筋肉の美しい腹のチラ見せもおまけでついていた。
女子達が先程よりも大きな声で甲高く叫ぶものだから俺達はそっとコートから離れた。
「………………ホント、興味ねぇことはとことん知らねぇよなぁ宗介は」
「悪いか」
「んや」
首を横に振られる。
ならいいだろう。
球技大会2日目の午後である今日はとても日差しが強い。刺すような照り付けを遮るために広がる日傘のまあ多いこと。
午後からは決勝戦しかないため観戦者だらけである。
最後まで残ったバレーボールコートに人が密集しているため俺だけならば行かない。藤の木で作られている日陰の方が数倍涼しくて快適なのに、わざわざ人の熱気までもを感じてしまう所に立つ人の気が知れない。
でも圭吾に最後の試合は近くで見たいと言われてしまった。なら行かないわけにはいかない。嫌だけど。渋って手を引かれながら行ったけど。
人集りによって隙間からしか見えない。
そして少しだけ見えたコートの状況に、俺は目を瞬かせることとなる。
「双子違うチームなん?」
「………………」
半目で見られてたじろぐ。
「何?」
圭吾の半目はレアだなと思いつつ問う。
「昨日見かけなかったの? 一ミリも?」
「声は聞いてた」
「一応聞くわ。何の?」
「双子に対する真っ黄色なの」
「確かに真っ黄色だったわ」
冗談のつもりだったのに納得された。
「ハイレベルだな……」
興奮した脳のまま2人で感想を言い合う。
双子の片割れと目が合って微笑まれた。ほんの少し唇の端が持ち上がった程度だったが、あれは双子にとっての笑顔だと思う。
「「「「きゃあ~~っ!!」」」」
「うおっ」
俺の周囲から発せられる甲高い声の束によって脳が揺さぶられるかのような感覚に陥った。
「私に笑ってくれた!」
「は? 私にだし」
「ねぇねぇ!! 絶対私だったよね!?」
絶対が止んだ次の瞬間からこんな似たり寄ったりの会話が繰り広げられる様は凄まじい。
でもそうか。俺に向けられる筈がないよな。ときめいてしまった自分に失笑する。
女子達の会話が耳についたのだろう、もう双子のもう1人が体操服の端で汗を拭う耐性でこちらをチラ見する。ご褒美と言っても言い尽くせないファンサだ。さらには筋肉の美しい腹のチラ見せもおまけでついていた。
女子達が先程よりも大きな声で甲高く叫ぶものだから俺達はそっとコートから離れた。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説

それはきっと、気の迷い。
葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ?
主人公→睦実(ムツミ)
王道転入生→珠紀(タマキ)
全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?


君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》
市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。
男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。
(旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。

多分前世から続いているふたりの追いかけっこ
雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け
《あらすじ》
高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。
桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。
蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!

【完結】小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口な平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる