双子の最愛も、わからない時はわからない。

シュガーコクーン

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球技大会予選

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『『『きゃあああ!!』』』

 どこから絞り出しているのか不思議なほどの声量で放たれた黄色い声にうんざりとする。

 その声を向けられているわけではない俺でさえもうんざりするのだから、向けられている張本人達は更にだろう。

「相変わらずすげーな、双子の人気は」
「ね。本人達が集中できるように静かにしてればいいのにな」
「…………」
「ん?」

 急に静かになったなと隣を向いてみれば、圭吾が目を見開いて俺を見ていた。かと思うと、思わずといったように笑う。

 ほぼ正面からガバリと抱きつかれ、俺は圭吾の胸に抱き込まれる形となる。

「俺、お前のそーゆーとこホント好き」
「おお? ありがとう」
「あ、分かってねー」

 そこはノーコメントで。

「そして汗臭い」
「あ、ひでー! こんな暑さん中でやってんだ、皆汗臭いだろうよ」

 汗臭いと言ったのは駄目だった。更に胸が顔面へと迫って来る。

「やめんか!」
「じゃあ撤回して」
「臭いもんは臭い! んで暑い!」
「マジひでー」

 口を尖らせながらも離してくれた。大の男がやっても何も感じなかった。無だ無。…………キモいと思うべき場面だったか?



「あの双子いつも2人でいるよな」
「あーね。女子達のことは冷たくあしらうしな。男らはさ、双子は女子達から人気なこと鼻にかけてないから別に嫌ってる訳じゃないけど……」
「ど?」
「2人で完結してる感すごくね?」
「うん」
「だから話しかけれねーってなっとる」
「あーね。理解」

 2人の試合を眺めて、頷く。外野は眼中にもないらしい。意識さえ向けることをしない。






 バレーボールの試合コート、しかも試合をしている奴らの近くに来るのならそれなりに周りに注意を払ってくれ。そう声に出してしまいたくなった。



 試合中、受けきれなかったバレー部のボールが外野へと鋭さを保って飛び出す。それは勢いが凄かったが、コートを見ていたら避けれたであろう軌道を描いていた。

 にも関わらずボールが1人の女子の顔面に直撃したのは何故か。その女子の目線の先には何があったのか。

 校内一の人気者のペア。そう言えば、誰でも分かるだろう。


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