4 / 17
球技大会予選
しおりを挟む
『『『きゃあああ!!』』』
どこから絞り出しているのか不思議なほどの声量で放たれた黄色い声にうんざりとする。
その声を向けられているわけではない俺でさえもうんざりするのだから、向けられている張本人達は更にだろう。
「相変わらずすげーな、双子の人気は」
「ね。本人達が集中できるように静かにしてればいいのにな」
「…………」
「ん?」
急に静かになったなと隣を向いてみれば、圭吾が目を見開いて俺を見ていた。かと思うと、思わずといったように笑う。
ほぼ正面からガバリと抱きつかれ、俺は圭吾の胸に抱き込まれる形となる。
「俺、お前のそーゆーとこホント好き」
「おお? ありがとう」
「あ、分かってねー」
そこはノーコメントで。
「そして汗臭い」
「あ、ひでー! こんな暑さん中でやってんだ、皆汗臭いだろうよ」
汗臭いと言ったのは駄目だった。更に胸が顔面へと迫って来る。
「やめんか!」
「じゃあ撤回して」
「臭いもんは臭い! んで暑い!」
「マジひでー」
口を尖らせながらも離してくれた。大の男がやっても何も感じなかった。無だ無。…………キモいと思うべき場面だったか?
「あの双子いつも2人でいるよな」
「あーね。女子達のことは冷たくあしらうしな。男らはさ、双子は女子達から人気なこと鼻にかけてないから別に嫌ってる訳じゃないけど……」
「ど?」
「2人で完結してる感すごくね?」
「うん」
「だから話しかけれねーってなっとる」
「あーね。理解」
2人の試合を眺めて、頷く。外野は眼中にもないらしい。意識さえ向けることをしない。
バレーボールの試合コート、しかも試合をしている奴らの近くに来るのならそれなりに周りに注意を払ってくれ。そう声に出してしまいたくなった。
試合中、受けきれなかったバレー部のボールが外野へと鋭さを保って飛び出す。それは勢いが凄かったが、コートを見ていたら避けれたであろう軌道を描いていた。
にも関わらずボールが1人の女子の顔面に直撃したのは何故か。その女子の目線の先には何があったのか。
校内一の人気者のペア。そう言えば、誰でも分かるだろう。
どこから絞り出しているのか不思議なほどの声量で放たれた黄色い声にうんざりとする。
その声を向けられているわけではない俺でさえもうんざりするのだから、向けられている張本人達は更にだろう。
「相変わらずすげーな、双子の人気は」
「ね。本人達が集中できるように静かにしてればいいのにな」
「…………」
「ん?」
急に静かになったなと隣を向いてみれば、圭吾が目を見開いて俺を見ていた。かと思うと、思わずといったように笑う。
ほぼ正面からガバリと抱きつかれ、俺は圭吾の胸に抱き込まれる形となる。
「俺、お前のそーゆーとこホント好き」
「おお? ありがとう」
「あ、分かってねー」
そこはノーコメントで。
「そして汗臭い」
「あ、ひでー! こんな暑さん中でやってんだ、皆汗臭いだろうよ」
汗臭いと言ったのは駄目だった。更に胸が顔面へと迫って来る。
「やめんか!」
「じゃあ撤回して」
「臭いもんは臭い! んで暑い!」
「マジひでー」
口を尖らせながらも離してくれた。大の男がやっても何も感じなかった。無だ無。…………キモいと思うべき場面だったか?
「あの双子いつも2人でいるよな」
「あーね。女子達のことは冷たくあしらうしな。男らはさ、双子は女子達から人気なこと鼻にかけてないから別に嫌ってる訳じゃないけど……」
「ど?」
「2人で完結してる感すごくね?」
「うん」
「だから話しかけれねーってなっとる」
「あーね。理解」
2人の試合を眺めて、頷く。外野は眼中にもないらしい。意識さえ向けることをしない。
バレーボールの試合コート、しかも試合をしている奴らの近くに来るのならそれなりに周りに注意を払ってくれ。そう声に出してしまいたくなった。
試合中、受けきれなかったバレー部のボールが外野へと鋭さを保って飛び出す。それは勢いが凄かったが、コートを見ていたら避けれたであろう軌道を描いていた。
にも関わらずボールが1人の女子の顔面に直撃したのは何故か。その女子の目線の先には何があったのか。
校内一の人気者のペア。そう言えば、誰でも分かるだろう。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説

それはきっと、気の迷い。
葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ?
主人公→睦実(ムツミ)
王道転入生→珠紀(タマキ)
全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》
市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。
男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。
(旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

多分前世から続いているふたりの追いかけっこ
雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け
《あらすじ》
高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。
桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。
蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!


【完結】小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口な平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる