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どれほど小さな星であっても星は暗闇をてらす
黒いものを黒とできない
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日が短くなり寒さが身にしみるようになったニウミールでは、妻に浮気された夫が浮気相手を殺害した事件の裁判で連日さわがしかった。
裁判の行方に注目があつまっている大きな理由は、殺人罪にとわれている夫の父が、三十年前の隣国との戦争で勝利に導いた将軍だったからだ。
夫自身も商人として名を知られているが前将軍にくらべれば知名度は低かった。
殺人事件がおきた時から世間からの注目は高く、裁判がはじまってからは町中が裁判の話題で一色になっていた。
妻が浮気していると知った夫が、妻が浮気相手と会っている現場にのりこみ護身用として携帯していた銃で浮気相手をうった。
夫は相手が死亡したことから、みずから警察に出頭し牢にはいった。
裁判が始まる前から夫の弁護団は、
「妻は以前にも浮気未遂のような行動をとっており夫は苦しんできた」
「夫は妻に裏切られた心労で仕事がおろそかになっていた」
「事件当時、夫は妻の不貞を知り神経がやすまらず、激情にかられ判断能力が正常ではなかった」
夫に同情があつまるよう情報を操作していた。
そのため夫に同情する市民が多く、市民から選出する陪審員選びに苦労し裁判がなかなか始められなかった。
ようやく裁判がはじまったが、殺人事件についての審理のはずが、夫の弁護団が妻に姦通罪が適用されると申し立て妻の不貞を追求する展開をみせた。
妻と浮気相手は二人きりで会い口づけているところを夫と夫の友人に踏みこまれた。浮気ではあるが不貞行為があったとまでは法的に証明できない。
しかし夫が妻の不貞を知り神経を衰弱させ、一時的に正気をうしなう状況となり不幸な事故がおこったという論理で戦うため、弁護側は適用されないのを承知でわざと姦通罪をぶつけ妻の印象を悪くした。
「妻の不貞のせいで正気をうしなったという被告の主張、なんか神経を逆なでるよなあ」
「精神状態がまともじゃなかったって理由が初めて認められた裁判もたいがいだったからなあ。酒で酔っ払ってたのを精神的に追いつめられていたからとか、ものすごいこじつけしたもんなあ」
事務所にいる弁護士達が裁判について話していると、
「無罪になりました!」
裁判を傍聴しにいった見習いが、事務所のドアを開けるなり叫んだ。
「やっぱりなあ」
「この国、大丈夫か?」
うんざりした声が事務所にあふれた。
金で正義は買える。黒いものを白くできる。その典型的な裁判となった。
判決をきいたステラは怒りをかんじた。不貞は許しがたい裏切りだ。しかしだからといって人を殺してよい理由にはならない。
人の命が失われているにもかかわらず、不貞という部分だけが強調され、まるで不貞をした人間を殺してよいかのような流れだった。
ステラは一日中やりきれない気持ちを持て余した。これまでも理不尽な裁判について話を聞くことはあり、正義は金や権力でねじまげられることを知っている。
だからといって理不尽な裁判結果に何も思わなくなることもなければ、仕方ないとあきらめきることもできない。黒いものを黒とできないことへの怒りがつみあがる。
ステラは仕事をおえるとアレックスが住む大学の宿舎へむかった。
二人は宿舎のそばにあるベンチに腰をおちつけた。ステラはアレックスに話しをしようとするが、自分が本当に話したいことが何なのかが分からなくなっていた。自分の中にあるさまざまな感情のせいで、ただ苦しく言葉がうまくでなかった。
アレックスも裁判の判決について知っていた。二人で話しているうちにステラの気持ちも落ち着いてきた。
「ステラ、何が引っかかってる? 今日の裁判のことじゃなくて、それをきっかけに思い出した何かが引っかかってるんだろう?」
アレックスにいわれステラは胸をおさえた。
剣で切られた鷹。
鷹を切りつけた剣が鷹匠の腕や体も傷つけた。
感情を爆発させる貴族の男。
血を流した鷹匠が連れて行かれる姿。
泣き叫ぶ娘。
思い出してはいけないと蓋をしてきた記憶がステラの頭の中をうめつくす。
いつの間にか泣いてしまっていたステラの背中に、アレックスの手の温かさをかんじた。アレックスがステラの背に手をあてなぐさめてくれていた。
アレックスの薄緑色にも茶色にもみえる瞳にいたわりを感じる。
「アレックス、私が弁護士にならない、弁護士になるのをあきらめるといったら失望する?」
アレックスは一瞬の間はあったがすぐに
「失望しない。ここまで頑張ってきたからもったいないとは思うけど。
ステラは衝動的にそういうことを言うタイプじゃない。弁護士になるのをあきらめるのに大きな理由があるはずだ。だからその理由は知りたいけど、そのように思うステラに失望なんてしない」こともなげにいった。
「全部捨てて、これまでやってきたこと全部捨ててイリアトスに帰るといっても?」
「ああ。ステラがイリアトスに帰るなら俺も帰るよ」
「教師見習いにもどっても?」
「ステラがやりたいことをやればいいよ。俺が手伝えることがあるなら何でも手伝う。ステラがステラらしくいられることが大切で、ステラが幸せと思えることをやってくれるのが一番だよ」
ステラはアレックスの瞳の温かさに再び涙があふれた。お互い考え方がちがうので言い合うことは多いが、アレックスはステラを理解しようとしてくれ、お互いのちがいを受け止めようとしてくれる。
ステラはひとしきり泣いたあと、ずっと人に話せなかったノルン国で出会った鷹匠家族の話をアレックスにした。
「ノルン国では二十年ぐらい前から貴族の間で、鷹をつかって狩りをする鷹狩りが流行っているの。ノルン国の南にあるもうひとつの大陸から、訓練された鷹と、鷹を訓練する鷹匠がノルン国に連れてこられたそうなの。
フィニッシングスクールでリリアナが親しくなった友達のひとりが、学校から馬車で一時間ぐらいの所に実家があって休みの日によく家に帰ってた。彼女がリリアナと私を実家に招待してくれて何度かお邪魔した。
私は彼女の家で下女として働いていたヤスミンと親しくなって、彼女のお父さんが鷹匠だと知ったの」
リリアナもステラもヤスミンに会うまで鷹狩りというものがあることも、鷹匠という鷹を訓練する人がいるということも知らなかった。
鷹狩りに興味をもったステラのために、ヤスミンが休みの日に自分の家で鷹を訓練している様子を見せてくれることになった。
ヤスミンの家の近くにある空き地で、ヤスミンの父、ゼインが次男に命じ、獲物に見せかけた動物の毛皮を、獲物が走り回っているように見えるよう動かし、鷹に獲物がいると思わせる。
長男が鷹に獲物を狩りにいけという合図をおくると、鷹が獲物にみせかけた毛皮を攻撃する。
名を呼ばれ戻れと合図された鷹が長男の手にもどる。長男が鷹にほうびの餌をやりながら鷹をほめる。
ゼインと長男の二羽の鷹を何度もそのように訓練したあと、鷹に目隠しの帽子をかぶせ休憩させた。
鷹を休憩させていると小さな狐が姿をあらわした。ゼインが鷹に実際に狩りをさせる良い機会だと、自分が訓練している鷹の目隠しをとり行けと合図をおくった。
鷹が狐を攻撃すると、どこからともなくもう一羽の鷹があらわれた。
次の瞬間、怒鳴り声がひびきわたった。
「人の獲物を横取りするとはどういうつもりだ!」
近くで鷹狩りを楽しんでいた貴族が、自分の鷹がしとめるはずだった獲物を、ゼインの鷹がしとめたことに怒りを爆発させた。
激怒した貴族の男がゼインの手にもどった鷹を剣で切りつけた。鷹だけでなく鷹をかばおうとしたゼインも切りつけられた。
貴族の男が「名誉を傷つけられた」といったため、ゼインと息子達が捕らえられ牢にいれられた。
貴族の名誉は何よりも守られるべきものであるため、平民が貴族の名誉を傷つけた場合、その場で殺されても文句はいえなかった。
ゼインは切られた腕や体を治療されることなく、息子達と共に牢にいる間むちで打たれ三日後に釈放された。
しかし罰はそれで終わらなかった。
名誉を傷つけられた公爵は鷹匠一家を国外追放にした。
ヤスミン一家への処罰を聞き、ステラはいてもたってもいられずヤスミンの家に行った。
「両親の母国は私の母国でもあるんだけど、ノルン国で生まれ育ってるから私にとっては異国なの。一応言葉は話せるけど……」
ヤスミンが不安で泣いた。
「平民は貴族にさからえない。それがどれだけ理不尽であっても平民にはどうすることもできない。それに俺たちみたいな異国人は平民以下の存在だ」
ゼインは母国からノルン国へだまされるように連れてこられたという。そして今度はノルン国から理不尽に追いだされようとしていた。
ゼインはあきらめきったおだやかな表情で仕方ないといった。
ゼイン達のことを考えるたびに胸がつぶれた。
鷹をやさしくなでていたゼイン、自分の父が鷹匠であることを自慢していたヤスミン、父の後を継ぐため真剣に鷹を訓練していたゼインの息子達、そしておいしい料理をつくって家族を待っていたヤスミンの母。
無理矢理連れてこられた場所でまじめに生きていた人達への仕打ちに反吐がでた。
鷹は目隠しをされ周囲が見えない状態になると、自分の周りに敵がいないと思い安心するという。
目隠しの帽子をかぶり止まり木に片足だけでつかまった鷹が、体をふくらませている姿がおかしく、そしてかわいかった。鷹はくつろいでいるとそのような姿になるとおしえてもらった。
ステラが長い間心の奥底にしずめていたものが次々とうかんでくる。
「何もできない」という無力感で胸がはりさけそうになりステラは苦しかった。
裁判の行方に注目があつまっている大きな理由は、殺人罪にとわれている夫の父が、三十年前の隣国との戦争で勝利に導いた将軍だったからだ。
夫自身も商人として名を知られているが前将軍にくらべれば知名度は低かった。
殺人事件がおきた時から世間からの注目は高く、裁判がはじまってからは町中が裁判の話題で一色になっていた。
妻が浮気していると知った夫が、妻が浮気相手と会っている現場にのりこみ護身用として携帯していた銃で浮気相手をうった。
夫は相手が死亡したことから、みずから警察に出頭し牢にはいった。
裁判が始まる前から夫の弁護団は、
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「夫は妻に裏切られた心労で仕事がおろそかになっていた」
「事件当時、夫は妻の不貞を知り神経がやすまらず、激情にかられ判断能力が正常ではなかった」
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そのため夫に同情する市民が多く、市民から選出する陪審員選びに苦労し裁判がなかなか始められなかった。
ようやく裁判がはじまったが、殺人事件についての審理のはずが、夫の弁護団が妻に姦通罪が適用されると申し立て妻の不貞を追求する展開をみせた。
妻と浮気相手は二人きりで会い口づけているところを夫と夫の友人に踏みこまれた。浮気ではあるが不貞行為があったとまでは法的に証明できない。
しかし夫が妻の不貞を知り神経を衰弱させ、一時的に正気をうしなう状況となり不幸な事故がおこったという論理で戦うため、弁護側は適用されないのを承知でわざと姦通罪をぶつけ妻の印象を悪くした。
「妻の不貞のせいで正気をうしなったという被告の主張、なんか神経を逆なでるよなあ」
「精神状態がまともじゃなかったって理由が初めて認められた裁判もたいがいだったからなあ。酒で酔っ払ってたのを精神的に追いつめられていたからとか、ものすごいこじつけしたもんなあ」
事務所にいる弁護士達が裁判について話していると、
「無罪になりました!」
裁判を傍聴しにいった見習いが、事務所のドアを開けるなり叫んだ。
「やっぱりなあ」
「この国、大丈夫か?」
うんざりした声が事務所にあふれた。
金で正義は買える。黒いものを白くできる。その典型的な裁判となった。
判決をきいたステラは怒りをかんじた。不貞は許しがたい裏切りだ。しかしだからといって人を殺してよい理由にはならない。
人の命が失われているにもかかわらず、不貞という部分だけが強調され、まるで不貞をした人間を殺してよいかのような流れだった。
ステラは一日中やりきれない気持ちを持て余した。これまでも理不尽な裁判について話を聞くことはあり、正義は金や権力でねじまげられることを知っている。
だからといって理不尽な裁判結果に何も思わなくなることもなければ、仕方ないとあきらめきることもできない。黒いものを黒とできないことへの怒りがつみあがる。
ステラは仕事をおえるとアレックスが住む大学の宿舎へむかった。
二人は宿舎のそばにあるベンチに腰をおちつけた。ステラはアレックスに話しをしようとするが、自分が本当に話したいことが何なのかが分からなくなっていた。自分の中にあるさまざまな感情のせいで、ただ苦しく言葉がうまくでなかった。
アレックスも裁判の判決について知っていた。二人で話しているうちにステラの気持ちも落ち着いてきた。
「ステラ、何が引っかかってる? 今日の裁判のことじゃなくて、それをきっかけに思い出した何かが引っかかってるんだろう?」
アレックスにいわれステラは胸をおさえた。
剣で切られた鷹。
鷹を切りつけた剣が鷹匠の腕や体も傷つけた。
感情を爆発させる貴族の男。
血を流した鷹匠が連れて行かれる姿。
泣き叫ぶ娘。
思い出してはいけないと蓋をしてきた記憶がステラの頭の中をうめつくす。
いつの間にか泣いてしまっていたステラの背中に、アレックスの手の温かさをかんじた。アレックスがステラの背に手をあてなぐさめてくれていた。
アレックスの薄緑色にも茶色にもみえる瞳にいたわりを感じる。
「アレックス、私が弁護士にならない、弁護士になるのをあきらめるといったら失望する?」
アレックスは一瞬の間はあったがすぐに
「失望しない。ここまで頑張ってきたからもったいないとは思うけど。
ステラは衝動的にそういうことを言うタイプじゃない。弁護士になるのをあきらめるのに大きな理由があるはずだ。だからその理由は知りたいけど、そのように思うステラに失望なんてしない」こともなげにいった。
「全部捨てて、これまでやってきたこと全部捨ててイリアトスに帰るといっても?」
「ああ。ステラがイリアトスに帰るなら俺も帰るよ」
「教師見習いにもどっても?」
「ステラがやりたいことをやればいいよ。俺が手伝えることがあるなら何でも手伝う。ステラがステラらしくいられることが大切で、ステラが幸せと思えることをやってくれるのが一番だよ」
ステラはアレックスの瞳の温かさに再び涙があふれた。お互い考え方がちがうので言い合うことは多いが、アレックスはステラを理解しようとしてくれ、お互いのちがいを受け止めようとしてくれる。
ステラはひとしきり泣いたあと、ずっと人に話せなかったノルン国で出会った鷹匠家族の話をアレックスにした。
「ノルン国では二十年ぐらい前から貴族の間で、鷹をつかって狩りをする鷹狩りが流行っているの。ノルン国の南にあるもうひとつの大陸から、訓練された鷹と、鷹を訓練する鷹匠がノルン国に連れてこられたそうなの。
フィニッシングスクールでリリアナが親しくなった友達のひとりが、学校から馬車で一時間ぐらいの所に実家があって休みの日によく家に帰ってた。彼女がリリアナと私を実家に招待してくれて何度かお邪魔した。
私は彼女の家で下女として働いていたヤスミンと親しくなって、彼女のお父さんが鷹匠だと知ったの」
リリアナもステラもヤスミンに会うまで鷹狩りというものがあることも、鷹匠という鷹を訓練する人がいるということも知らなかった。
鷹狩りに興味をもったステラのために、ヤスミンが休みの日に自分の家で鷹を訓練している様子を見せてくれることになった。
ヤスミンの家の近くにある空き地で、ヤスミンの父、ゼインが次男に命じ、獲物に見せかけた動物の毛皮を、獲物が走り回っているように見えるよう動かし、鷹に獲物がいると思わせる。
長男が鷹に獲物を狩りにいけという合図をおくると、鷹が獲物にみせかけた毛皮を攻撃する。
名を呼ばれ戻れと合図された鷹が長男の手にもどる。長男が鷹にほうびの餌をやりながら鷹をほめる。
ゼインと長男の二羽の鷹を何度もそのように訓練したあと、鷹に目隠しの帽子をかぶせ休憩させた。
鷹を休憩させていると小さな狐が姿をあらわした。ゼインが鷹に実際に狩りをさせる良い機会だと、自分が訓練している鷹の目隠しをとり行けと合図をおくった。
鷹が狐を攻撃すると、どこからともなくもう一羽の鷹があらわれた。
次の瞬間、怒鳴り声がひびきわたった。
「人の獲物を横取りするとはどういうつもりだ!」
近くで鷹狩りを楽しんでいた貴族が、自分の鷹がしとめるはずだった獲物を、ゼインの鷹がしとめたことに怒りを爆発させた。
激怒した貴族の男がゼインの手にもどった鷹を剣で切りつけた。鷹だけでなく鷹をかばおうとしたゼインも切りつけられた。
貴族の男が「名誉を傷つけられた」といったため、ゼインと息子達が捕らえられ牢にいれられた。
貴族の名誉は何よりも守られるべきものであるため、平民が貴族の名誉を傷つけた場合、その場で殺されても文句はいえなかった。
ゼインは切られた腕や体を治療されることなく、息子達と共に牢にいる間むちで打たれ三日後に釈放された。
しかし罰はそれで終わらなかった。
名誉を傷つけられた公爵は鷹匠一家を国外追放にした。
ヤスミン一家への処罰を聞き、ステラはいてもたってもいられずヤスミンの家に行った。
「両親の母国は私の母国でもあるんだけど、ノルン国で生まれ育ってるから私にとっては異国なの。一応言葉は話せるけど……」
ヤスミンが不安で泣いた。
「平民は貴族にさからえない。それがどれだけ理不尽であっても平民にはどうすることもできない。それに俺たちみたいな異国人は平民以下の存在だ」
ゼインは母国からノルン国へだまされるように連れてこられたという。そして今度はノルン国から理不尽に追いだされようとしていた。
ゼインはあきらめきったおだやかな表情で仕方ないといった。
ゼイン達のことを考えるたびに胸がつぶれた。
鷹をやさしくなでていたゼイン、自分の父が鷹匠であることを自慢していたヤスミン、父の後を継ぐため真剣に鷹を訓練していたゼインの息子達、そしておいしい料理をつくって家族を待っていたヤスミンの母。
無理矢理連れてこられた場所でまじめに生きていた人達への仕打ちに反吐がでた。
鷹は目隠しをされ周囲が見えない状態になると、自分の周りに敵がいないと思い安心するという。
目隠しの帽子をかぶり止まり木に片足だけでつかまった鷹が、体をふくらませている姿がおかしく、そしてかわいかった。鷹はくつろいでいるとそのような姿になるとおしえてもらった。
ステラが長い間心の奥底にしずめていたものが次々とうかんでくる。
「何もできない」という無力感で胸がはりさけそうになりステラは苦しかった。
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