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故郷は一枚上の人間世界

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 妖精の世界にも俗に言う生物は居る。
 それは、小魚だったり昆虫だったりと主に妖精より小さな生物が多い。

 それらは、人間世界の森に居る昆虫や小鳥が妖精界のゲートに迷い込んものが帰化したケースや、食料として人間界から持ち込んだ小魚を養殖しているケースもあるが、それらとは別にごく稀にだが、巨大生物がこっちの世界に来ることもあるのだ。
 
 その巨大生物とは、ネコと呼ばれる肉食生物である。

 ネコは、体長70cm   肩高35cm    体重5kgもある。それに比べて妖精は、身長15cm  体重0g  しかない。 さらにネコは、巨大な体に似合わず俊敏で木を登る事も出来る。

 それだけ聞けば、妖精にとってネコは、脅威であるかに思えるが、実の所はそれほどでも無い。

 何故なら、ネコが認識出来る妖精はそれ程多くは無いのに全ての妖精はネコを見る事も触れる事も出来るのだ。

 例えば、ネコに踏まれたとしても踏まれている間は身動き出来ないが潰される事は無し、妖石素材の服を来ていればネコに認識される事もほぼ無い、しかし実物素材(質量のある素材)のある服を着ていれば、その服は認識されるし、汚されたり破られたりするし、最悪の場合は食べられる。

 食べられると言っても実例は殆ど無くて、あったとしても都市伝説レベルであるが、それ故にネコは妖精に恐れられている。

 ネコに対して実害があるとすれば実物素材で出来た建物の破壊や実物素材を扱うレストランの襲撃の他、排泄物の悪臭やネコが飢えで死んだ場合の死体の処理である。

 妖精の世界では、ネコの餌になる物が少なく長居するのは難しい。

 生きる為には元の世界に帰す必要があるのだ。






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