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消し屋のダル
フルエの思い出
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「何これ、美味しい。
天然のメダカよねコレ!」
いきなりの大声で、店内の客が一斉にフルエを見た。
「あっ、ごめんなさい。
けど美味しいですよね。 ここの料理。」
店内の客が一斉に声をあげて笑いだした。
「お嬢ちゃん、石焼きめだかは初めてかい?」
恥ずかしそうに俯向くフルエに隣の席の木の妖精が話しかけてきた。
「はい、今日この街に来たばかりなんです。」
「そいつはついてないな、いきなり至高に当たっちゃあ、後は見劣りするだけだぜ。」
店内には、また笑い声が広がる。
これこそが美味しい料理が妖精を笑顔にする瞬間、皆が一つになる瞬間である。
フルエは、この料理を作った妖精に会いたくなった。
「あの、シェフさんに会いたいんですけど?」
「ほう、そう言えば俺も会ったこと無いな。」
木の妖精は少し考える間も無く、店内の客達がシェフコールをはじめた。
客の一体感と盛り上がりは凄まじく石造りの店内にシェフコールが響く、おそらくフルエには見えない妖精も何となく盛り上がっているのだろう。
シェフコールが2~3分続いた後、キッチンから紺色の作務衣を着た坊主頭の店主が申し訳無さそうに出てきた。
「シェフ、こっちだ!
この嬢ちゃんがお呼びだ。」
隣の木の妖精に呼ばれて店主は、トボトボとフルエの前に来た。
「あの! 私感動しました。
めちゃくちゃ美味しいです。
美味しいだけじゃありません。 お客さんに愛されてる。 最高です。」
「はぁ、あ…ありがとうございます。」
「私、この近くにお見せを出すんです。
決めました! 私もめだか料理にします! 石焼きめだかさんの様なお店を目指します!」
「は…はい、頑張ってください。」
フルエは、俯いている店主を下から覗き込んだ。
「この顔、忘れないでくださいね。」
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