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旅人3箇条
エピローグ
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幽街画廊に来て四日目の朝、ナセ達は、少ない荷物をまとめ出発の準備を終えた。
支払いを終えロビーでヒューとハリーに旅立ちの挨拶に来ていた。
「エイジヒルは?」
「エイさんなら朝早くに釣りに行ったよ。」
「はぁ、俺ら今日出発って知らないのかよ。」
「あぁ、彼のメンタルはミジンコだから、かしこまってお別れとか出来ないんだよ。」
「俺をあんなに馬鹿にしておいて・・・」
「ナセの俺呼称も板に付いてきたね~。」
「強くなきゃいかんからな。」
「ナセったら、それで強くなったつもりなの?」
ハズの一言で、皆が一斉に笑った。
こんなに平和な朝は、久しぶりな気がする。
エイジヒルが居ないのは、腹立たしいが・・・
しかしながら、彼のメンタルの弱さに対して妙な安心感が湧いてしまう自分の弱さに少し呆れて、卑屈な笑いが少し漏れた。
「ヒュー、いろいろ世話になったな。」
「ちょっと待って。
ハリー、アレを。」
ハリーが、奥の部屋から風呂敷に包まれた額を持って来た。
「開けても良いですか?」
「構わんよ。」
額は、ハズが受け取り丁寧に包みを解く。
「ところで君ら、これからの予定は?」
「今から、サナと、はなまるにお礼に行く。
それからは、ハピフラ行ったりショッピングしてから、エイジヒルに勧められたフルエスペースって店で食事かな?
そっから永住の地を求めて旅の再開だ。」
「フルエスペースは、昼しかやってないから急いでね。」
「永住の地とか言わずにこの街に住んじゃいなです。」
ハリーが、ぎこちなく喋った。
初日に比べては、かなりよそよそしい。
2日目の深夜、ヒューに怒られたらしいが、まだ尾を引いているのか?
「ありがとな、ハリー
俺達は海の見える小さな街を探してるんだ。」
「闇雲に旅してるんじゃ無いだね。」
「ヒューさん! これは!」
ハズが額縁の絵を見せてくれた。
そこには、椅子に座るハズの両サイドに、ナセとバルが立ち、ハズの肩に優しくてを乗せている姿があった。
「あ~コレ良い絵だ~。」
「頂いてもよろしいのですか?」
「うん、その為に描いた。
被写体が君だけなら、素晴らしい芸術作品になれたかもだけど、ついつい書き足しちゃってね。
駄作だよ。」
「そんな事ないです。
この絵は私達にとって大切な大切な宝物になります。」
「てか、長旅に邪魔だろ?」
「ナセ!」
「はいはい、良い絵だよ本気で。」
「ありがとね。
クリエイター! 冥利に尽きる。ってヤツだね。」
「後、ヒューさん。」
「何かな?」
「す 好きです。」
「え」
「好きです。
好きになりました!
また逢いに来ます!
絶対に来ます!
だから・・・覚えいて下さい。
私の事。」
「え」
「おい! ハズ!
俺は、俺達は!」
ナセは、バルの肩を無理矢理寄せて言った。
「何言ってるの?
あなた達は、家族でしょ?」
「だから、それは浮気とか不純とかの・・」
「え、」
ハズは戸惑う。
「ナセ、貴方もしかして、旦那様のつもりでいたの?」
「え、いや、役職は未定で?」
「あなた達、どう見ても弟でしょ?」
「俺、背ぇ高いし・・」
「僕は、力強いよ~。」
「その価値観、全く話にならないわ。」
「ハズちゃん、大変そうだね。」
「はい。 いつものことです。」
ハズは、満面の笑みで答えた。
「じゃぁな石ころ!」
「さっきまで、ヒューって呼んでくれてたじゃん。
別に良いけどさ。 バイバイ。」
変な、わだかまりを残してしまったが、ここにきて良かった。
ポジションとか、どうでも良い事だ、ハズはこれから先ずっと側に居る。バルも・・・。
「バル、スナホって知ってるか?」
「知らないな~。」
「人間が持ってる脳味噌のことで、世界中の人間が繋がってて、何でも知ってる。」
「わけわからないな~」
「ナセ、あなたの説明が、気持ち悪過ぎて確証は無いけど、スマホ、スマートホォンの事じゃない?」
「ん、それかな。」
~完~
次章 消し屋のダル
支払いを終えロビーでヒューとハリーに旅立ちの挨拶に来ていた。
「エイジヒルは?」
「エイさんなら朝早くに釣りに行ったよ。」
「はぁ、俺ら今日出発って知らないのかよ。」
「あぁ、彼のメンタルはミジンコだから、かしこまってお別れとか出来ないんだよ。」
「俺をあんなに馬鹿にしておいて・・・」
「ナセの俺呼称も板に付いてきたね~。」
「強くなきゃいかんからな。」
「ナセったら、それで強くなったつもりなの?」
ハズの一言で、皆が一斉に笑った。
こんなに平和な朝は、久しぶりな気がする。
エイジヒルが居ないのは、腹立たしいが・・・
しかしながら、彼のメンタルの弱さに対して妙な安心感が湧いてしまう自分の弱さに少し呆れて、卑屈な笑いが少し漏れた。
「ヒュー、いろいろ世話になったな。」
「ちょっと待って。
ハリー、アレを。」
ハリーが、奥の部屋から風呂敷に包まれた額を持って来た。
「開けても良いですか?」
「構わんよ。」
額は、ハズが受け取り丁寧に包みを解く。
「ところで君ら、これからの予定は?」
「今から、サナと、はなまるにお礼に行く。
それからは、ハピフラ行ったりショッピングしてから、エイジヒルに勧められたフルエスペースって店で食事かな?
そっから永住の地を求めて旅の再開だ。」
「フルエスペースは、昼しかやってないから急いでね。」
「永住の地とか言わずにこの街に住んじゃいなです。」
ハリーが、ぎこちなく喋った。
初日に比べては、かなりよそよそしい。
2日目の深夜、ヒューに怒られたらしいが、まだ尾を引いているのか?
「ありがとな、ハリー
俺達は海の見える小さな街を探してるんだ。」
「闇雲に旅してるんじゃ無いだね。」
「ヒューさん! これは!」
ハズが額縁の絵を見せてくれた。
そこには、椅子に座るハズの両サイドに、ナセとバルが立ち、ハズの肩に優しくてを乗せている姿があった。
「あ~コレ良い絵だ~。」
「頂いてもよろしいのですか?」
「うん、その為に描いた。
被写体が君だけなら、素晴らしい芸術作品になれたかもだけど、ついつい書き足しちゃってね。
駄作だよ。」
「そんな事ないです。
この絵は私達にとって大切な大切な宝物になります。」
「てか、長旅に邪魔だろ?」
「ナセ!」
「はいはい、良い絵だよ本気で。」
「ありがとね。
クリエイター! 冥利に尽きる。ってヤツだね。」
「後、ヒューさん。」
「何かな?」
「す 好きです。」
「え」
「好きです。
好きになりました!
また逢いに来ます!
絶対に来ます!
だから・・・覚えいて下さい。
私の事。」
「え」
「おい! ハズ!
俺は、俺達は!」
ナセは、バルの肩を無理矢理寄せて言った。
「何言ってるの?
あなた達は、家族でしょ?」
「だから、それは浮気とか不純とかの・・」
「え、」
ハズは戸惑う。
「ナセ、貴方もしかして、旦那様のつもりでいたの?」
「え、いや、役職は未定で?」
「あなた達、どう見ても弟でしょ?」
「俺、背ぇ高いし・・」
「僕は、力強いよ~。」
「その価値観、全く話にならないわ。」
「ハズちゃん、大変そうだね。」
「はい。 いつものことです。」
ハズは、満面の笑みで答えた。
「じゃぁな石ころ!」
「さっきまで、ヒューって呼んでくれてたじゃん。
別に良いけどさ。 バイバイ。」
変な、わだかまりを残してしまったが、ここにきて良かった。
ポジションとか、どうでも良い事だ、ハズはこれから先ずっと側に居る。バルも・・・。
「バル、スナホって知ってるか?」
「知らないな~。」
「人間が持ってる脳味噌のことで、世界中の人間が繋がってて、何でも知ってる。」
「わけわからないな~」
「ナセ、あなたの説明が、気持ち悪過ぎて確証は無いけど、スマホ、スマートホォンの事じゃない?」
「ん、それかな。」
~完~
次章 消し屋のダル
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