50 / 61
最終章 オバさん国を救う
49話 来いよ! 使者!
しおりを挟む
匂いに釣られた使者がアンジェリカ達の方へと向きを変える……正面から見るデカイ使者は正直言ってキモイ。
そのキモさにアンジェリカもマーシャも眉を顰める。
「想像以上にキツいっすね」
「これは小さい子は泣くわね」
作戦最終段階は、アンジェリカとマーシャで使者を転移ロープのある地点まで誘導し、罠の張ってある溜池に送り込むこととなる。
使者の移動速度など不明な部分もあり、非常に危険な賭けである。そのため箒の移動速度の速いマーシャと規格外のオバさんの二人がこの役目を担うことになった。
「さあ、マーシャちゃん使者が動き出したわよ」
「了解っすよ」
使者がゆっくりと歩きだした、それを見た騎士団は使者の使いを相手しながらも後退を開始した。
リヴァイアサンも機会を見て騎士団から距離を取り、アンジェリカ達にすぐ合流できる位置に行く。
「さあ、誘導開始よ!」
――
――――
ヴィヴィアン達も最終段階の知らせを受け、貯水行けの候へと移動を開始した。
しかし、妨害は無く目的地付近までやってきた一行であった。
「あっさり来たな」
ゼノが拍子抜けといった感じでいた。
「何もない方がいいじゃない」
「そりゃそうだ」
ルーシアが音の魔法で周囲を索敵しつつ進んでいるのも大きかった。
「こっちも大丈夫ですね、本当に私達を狙って敵なんて来るんでしょうか?」
「ここ、の像の秘密に気付いているなら、く、くるはずです」
ヴィヴィアンはしっかりと像の入ったカバンを抱えて、像の事護るようにしていた。
しかし、放置されていたことや敵に見向きもされていないことからルーシアの疑問ももっともであった。
「でも、実際動きがありませんから、それか私達が持ってる事が知られて無いだけかもしれませんね」
「そうだな。確かに持ってる事を知られて無いか、相手側に像に関してのちゃんとした文献や資料が無く気付いていないのかもしれないな。古いモノを扱ってる商人とかでも価値分かってないヤツ多いからな」
ルーシアの疑問にゼノも相槌を打った、ヴィヴィアンの心配をよそにそろそろ目的地であった。
――
――――
アンジェリカ達は使者と付かず離れずの位置をキープしつつ使者との追いかけっこを開始した。
匂いに誘われてなのか、使者はノソノソと歩いてアンジェリカ達を追いかけだす。
「走ってこないっすね」
「あのサイズが走ってきたらそれだけで参事よね」
「そっすね」
集落から多少離れてきたが目的地はまだ先である。
距離的にはそこまでではないのだが、やはりド級の良く分からない生き物の誘導が入ると中々に厳しいものとなる。
「思った以上に遅いっすね」
マーシャがそう呟いたころにリヴァイアサンが合流してきた。
「主よどうやら、コヤツはまだ走れぬようだな」
「好都合よね」
時折使者ア触角をうねらせよそ見をするのも、ハラハラドキドキものである、叩いて殺せるならどれだけ楽か……
「コイツ、脱皮後何回残ってるんスかね?」
「普通なら五から六回ね、種類や環境によって変わるけどね」
「しかし、コヤツは一応神の使いだ、常識の範疇では語れないだろう」
言わばこの使者はまだ生まれたての赤ちゃんのようなものだ、だがソコハオバさんである油黒虫相手に慈悲は無い。
順調に進んでる妖花に見えた時異変が起こったのだった。
「アジャルタさん……アイツ微妙に進路変更してないっすか?」
「確かにそうねぇ、あのまま進まれると街の北側の門に行っちゃうわね」
「どうするすっか?」
「香料を強くしてみるわね」
そう言って、アンジェリカは香料を再度使用して使者を引き付けようとする。
しかし、使者の進路は変わる様子が無かった。
「む? これはいかんな」
リヴァイアサンが指(?)をさすと、その方向には使者の使いに襲われている盗賊らしき男がいた。
「あやつの血の臭いに誘われてるのやもしれん!」
使者が触角を嬉しそうにゆすりながら男の方へと向かいだしたのであった――
次回『そっちじゃねぇ!』でございまするー
そのキモさにアンジェリカもマーシャも眉を顰める。
「想像以上にキツいっすね」
「これは小さい子は泣くわね」
作戦最終段階は、アンジェリカとマーシャで使者を転移ロープのある地点まで誘導し、罠の張ってある溜池に送り込むこととなる。
使者の移動速度など不明な部分もあり、非常に危険な賭けである。そのため箒の移動速度の速いマーシャと規格外のオバさんの二人がこの役目を担うことになった。
「さあ、マーシャちゃん使者が動き出したわよ」
「了解っすよ」
使者がゆっくりと歩きだした、それを見た騎士団は使者の使いを相手しながらも後退を開始した。
リヴァイアサンも機会を見て騎士団から距離を取り、アンジェリカ達にすぐ合流できる位置に行く。
「さあ、誘導開始よ!」
――
――――
ヴィヴィアン達も最終段階の知らせを受け、貯水行けの候へと移動を開始した。
しかし、妨害は無く目的地付近までやってきた一行であった。
「あっさり来たな」
ゼノが拍子抜けといった感じでいた。
「何もない方がいいじゃない」
「そりゃそうだ」
ルーシアが音の魔法で周囲を索敵しつつ進んでいるのも大きかった。
「こっちも大丈夫ですね、本当に私達を狙って敵なんて来るんでしょうか?」
「ここ、の像の秘密に気付いているなら、く、くるはずです」
ヴィヴィアンはしっかりと像の入ったカバンを抱えて、像の事護るようにしていた。
しかし、放置されていたことや敵に見向きもされていないことからルーシアの疑問ももっともであった。
「でも、実際動きがありませんから、それか私達が持ってる事が知られて無いだけかもしれませんね」
「そうだな。確かに持ってる事を知られて無いか、相手側に像に関してのちゃんとした文献や資料が無く気付いていないのかもしれないな。古いモノを扱ってる商人とかでも価値分かってないヤツ多いからな」
ルーシアの疑問にゼノも相槌を打った、ヴィヴィアンの心配をよそにそろそろ目的地であった。
――
――――
アンジェリカ達は使者と付かず離れずの位置をキープしつつ使者との追いかけっこを開始した。
匂いに誘われてなのか、使者はノソノソと歩いてアンジェリカ達を追いかけだす。
「走ってこないっすね」
「あのサイズが走ってきたらそれだけで参事よね」
「そっすね」
集落から多少離れてきたが目的地はまだ先である。
距離的にはそこまでではないのだが、やはりド級の良く分からない生き物の誘導が入ると中々に厳しいものとなる。
「思った以上に遅いっすね」
マーシャがそう呟いたころにリヴァイアサンが合流してきた。
「主よどうやら、コヤツはまだ走れぬようだな」
「好都合よね」
時折使者ア触角をうねらせよそ見をするのも、ハラハラドキドキものである、叩いて殺せるならどれだけ楽か……
「コイツ、脱皮後何回残ってるんスかね?」
「普通なら五から六回ね、種類や環境によって変わるけどね」
「しかし、コヤツは一応神の使いだ、常識の範疇では語れないだろう」
言わばこの使者はまだ生まれたての赤ちゃんのようなものだ、だがソコハオバさんである油黒虫相手に慈悲は無い。
順調に進んでる妖花に見えた時異変が起こったのだった。
「アジャルタさん……アイツ微妙に進路変更してないっすか?」
「確かにそうねぇ、あのまま進まれると街の北側の門に行っちゃうわね」
「どうするすっか?」
「香料を強くしてみるわね」
そう言って、アンジェリカは香料を再度使用して使者を引き付けようとする。
しかし、使者の進路は変わる様子が無かった。
「む? これはいかんな」
リヴァイアサンが指(?)をさすと、その方向には使者の使いに襲われている盗賊らしき男がいた。
「あやつの血の臭いに誘われてるのやもしれん!」
使者が触角を嬉しそうにゆすりながら男の方へと向かいだしたのであった――
次回『そっちじゃねぇ!』でございまするー
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
聖女追放。
友坂 悠
ファンタジー
「わたくしはここに宣言いたします。神の名の下に、このマリアンヌ・フェルミナスに与えられていた聖女の称号を剥奪することを」
この世界には昔から聖女というものが在った。
それはただ聖人の女性版というわけでもなく、魔女と対を成すものでも、ましてやただの聖なる人の母でもなければ癒しを与えるだけの治癒師でもない。
世界の危機に現れるという救世主。
過去、何度も世界を救ったと言われる伝説の少女。
彼女こそ女神の生まれ変わりに違いないと、そう人々から目されたそんな女性。
それが、「聖女」と呼ばれていた存在だった。
皇太子の婚約者でありながら、姉クラウディアにもジーク皇太子にも疎まれた結果、聖女マリアンヌは正教会より聖女位を剥奪され追放された。
喉を潰され魔力を封じられ断罪の場に晒されたマリアンヌ。
そのまま野獣の森に捨てられますが……
野獣に襲われてすんでのところでその魔力を解放した聖女マリアンヌ。
そこで出会ったマキナという少年が実は魔王の生まれ変わりである事を知ります。
神は、欲に塗れた人には恐怖を持って相対す、そういう考えから魔王の復活を目論んでいました。
それに対して異議を唱える聖女マリアンヌ。
なんとかマキナが魔王として覚醒してしまう事を阻止しようとします。
聖都を離れ生活する2人でしたが、マキナが彼女に依存しすぎている事を問題視するマリアンヌ。
それをなんとかする為に、魔物退治のパーティーに参加することに。
自分が人の役にたてば、周りの人から認めてもらえる。
マキナにはそういった経験が必要だとの思いから無理矢理彼を参加させますが。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる