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最終章 オバさん国を救う

49話 来いよ! 使者!

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 匂いに釣られた使者がアンジェリカ達の方へと向きを変える……正面から見るデカイ使者は正直言ってキモイ。
 そのキモさにアンジェリカもマーシャも眉を顰める。

「想像以上にキツいっすね」
「これは小さい子は泣くわね」

 作戦最終段階は、アンジェリカとマーシャで使者を転移ロープのある地点まで誘導し、罠の張ってある溜池に送り込むこととなる。
 使者の移動速度など不明な部分もあり、非常に危険な賭けである。そのため箒の移動速度の速いマーシャと規格外のオバさんの二人がこの役目を担うことになった。

「さあ、マーシャちゃん使者が動き出したわよ」
「了解っすよ」

 使者がゆっくりと歩きだした、それを見た騎士団は使者の使いを相手しながらも後退を開始した。
 リヴァイアサンも機会を見て騎士団から距離を取り、アンジェリカ達にすぐ合流できる位置に行く。

「さあ、誘導開始よ!」

 ――
 ――――

 ヴィヴィアン達も最終段階の知らせを受け、貯水行けの候へと移動を開始した。
 しかし、妨害は無く目的地付近までやってきた一行であった。

「あっさり来たな」

 ゼノが拍子抜けといった感じでいた。

「何もない方がいいじゃない」
「そりゃそうだ」

 ルーシアが音の魔法で周囲を索敵しつつ進んでいるのも大きかった。

「こっちも大丈夫ですね、本当に私達を狙って敵なんて来るんでしょうか?」
「ここ、の像の秘密に気付いているなら、く、くるはずです」

 ヴィヴィアンはしっかりと像の入ったカバンを抱えて、像の事護るようにしていた。
 しかし、放置されていたことや敵に見向きもされていないことからルーシアの疑問ももっともであった。

「でも、実際動きがありませんから、それか私達が持ってる事が知られて無いだけかもしれませんね」
「そうだな。確かに持ってる事を知られて無いか、相手側に像に関してのちゃんとした文献や資料が無く気付いていないのかもしれないな。古いモノを扱ってる商人とかでも価値分かってないヤツ多いからな」

 ルーシアの疑問にゼノも相槌を打った、ヴィヴィアンの心配をよそにそろそろ目的地であった。

 ――
 ――――

 アンジェリカ達は使者と付かず離れずの位置をキープしつつ使者との追いかけっこを開始した。
 匂いに誘われてなのか、使者はノソノソと歩いてアンジェリカ達を追いかけだす。

「走ってこないっすね」
「あのサイズが走ってきたらそれだけで参事よね」
「そっすね」

 集落から多少離れてきたが目的地はまだ先である。
 距離的にはそこまでではないのだが、やはりド級の良く分からない生き物の誘導が入ると中々に厳しいものとなる。

「思った以上に遅いっすね」

 マーシャがそう呟いたころにリヴァイアサンが合流してきた。

「主よどうやら、コヤツはまだ走れぬようだな」
「好都合よね」

 時折使者ア触角をうねらせよそ見をするのも、ハラハラドキドキものである、叩いて殺せるならどれだけ楽か……

「コイツ、脱皮後何回残ってるんスかね?」
「普通なら五から六回ね、種類や環境によって変わるけどね」
「しかし、コヤツは一応神の使いだ、常識の範疇では語れないだろう」

 言わばこの使者はまだ生まれたての赤ちゃんのようなものだ、だがソコハオバさんである油黒虫相手に慈悲は無い。
 順調に進んでる妖花に見えた時異変が起こったのだった。

「アジャルタさん……アイツ微妙に進路変更してないっすか?」
「確かにそうねぇ、あのまま進まれると街の北側の門に行っちゃうわね」
「どうするすっか?」
「香料を強くしてみるわね」

 そう言って、アンジェリカは香料を再度使用して使者を引き付けようとする。
 しかし、使者の進路は変わる様子が無かった。

「む? これはいかんな」

 リヴァイアサンが指(?)をさすと、その方向には使者の使いに襲われている盗賊らしき男がいた。

「あやつの血の臭いに誘われてるのやもしれん!」

 使者が触角を嬉しそうにゆすりながら男の方へと向かいだしたのであった――

 次回『そっちじゃねぇ!』でございまするー

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