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懺悔其の三十二 シスターリナとホナミに救われたい!
しおりを挟む ふう、まさか私がここで仕事をすることになるなんてねぇ。
今日、レナはシスターケイトの使いで出ているから、私が代わりにここの担当をすることになった。
「リナさん、カーテンはどうします? 普通は締めておくんですよね」
「あぁ、ホナミさんそのままでいいよ。カーテン閉めちゃうと仔猫ちゃんが来た時顔が見えないじゃないか」
今日は、私だけじゃないんだよね。
パートナーがいるのさ、私の隣にいる眼鏡が良く似合う可愛らしい女性が私の今日の相方さ、肩の辺りで揃えられたセミロングの黒髪が彼女の真面目さと相まって良く似合っている。
彼女の名前は『阿国谷穂奈美』最近まで学校の教師だったのだが、イジメ問題を解決するために、動画拡散なる強硬手段を取った責任を負い辞職。
その後この教会でシスターになる道を選んだとの事だよ。
「ホナミさんも何で、ここでシスターなんかになったんだい?」
「レナさんに出会ったからですかね。私は教師だったのに何も知らなくて……なのに彼女は勉強とは違う事を色々と知っていて、私と虐められてた子を現場にいないのに助けてくれました」
「レナは私の女神だからね」
「あはは、本当にそうなのかもしれませんね。それで私も違う方向から色々な人を助けたくてこの道に入ったんですよ」
流石はレナだね。彼女は自分では気付いてないけど、アレで結構色々な人を救っているんだよ。
「では、今日はレナの代わりに私達が迷える仔猫ちゃん達を救うとしよう」
「私でもできるでしょうか?」
「レナが出来てるんだし出来るんじゃないかな?」
……いや、待てよこないだの気障な不細工みたいなのが来ると無理だぞ。アレはレナだからこそ務まっているんじゃないか?
「リナさん、どうしました?」
「あ、いや。少し考え事をしててね」
もしあんなのばかり来たら……仔猫ちゃんが来ることを期待しようか。
「考え事ですか?」
「ああ、改めてレナの凄さを実感していたんだよ。このお勤め、思った以上にハードかもしれないよ」
「そうですね、気合入れていきましょう」
するとさっそく最初の仔猫……なんだオッサンか、ホナミさんに任せるとしよう。
「すいません、懺悔宜しいでしょうか?」
「は、はい! どういった懺悔でしょうか?」
ホナミさん、なんか会社の事務員みたいになってるね。
「ホナミさん落ち着いて」
「は、はい。そうですね」
まったくこの人は可愛らしい人だよ、私は年上にはそこまで興味がないんだが彼女は好ましく思えるね。
そしてなんかオッサンが懺悔をしているね、仕方ないから聞いてみよう。
「私が家庭を顧みなかったせいで妻と娘が家を出て行ってしまいました……この事を懺悔し、また家族仲良く過ごしたいと思っています」
普通の懺悔のようだね、娘さんは可愛らしい仔猫ちゃんなのだろうか? そこは気になるところだな。
「奥さんと娘さんの居場所は分かっているのですか?」
「は、はい一応」
「でしたら真剣に話し合ってみればきっと、また戻ってきてくれるはずですよ」
「そうでしょうか?」
ホナミさんは真面目にオッサンの話を聞いて親身に答えているじゃないか。レナより向いてないか?
「少し、疑問に思ったのだが娘さんは可愛いのかな?」
私は疑問を口にしオッサンに尋ねてみた、オッサンは突然何を言われたのか分からなかったようだが携帯を取り出し私に写真を見せてくれた、オッサンは嬉しそうにこれが娘ですと言っていた。
……すまないがそこまで可愛くは無いかな……
「なるほど、戻ってくると良いね」
私は娘さんが可愛くなかったので、興味を失い適当に言っておいた。
どうでもよくなったのでホナミさんを見て癒されよう。
少ししたらオッサンはホナミさんにお礼を言い出て行った。
「初めて担当するとは思えない手際の良さだね」
「一応、教師でしたからね。親御さんと話すことも多かったですから案外慣れてるんですよ」
「なるほど」
シスターケイトを除けばリアの次に年長なだけあってしっかりしているな。
私が感心していると、次の迷える仔猫ちゃんが来た。
小学生の女の子だ。うん、この子は十年後が楽しみな逸材だね。
これは私も真面目に仕事しないといけないな。
「どうしたのかな? 子猫ちゃん、お姉さんが相談に乗ってあげるよ」
何故かホナミさんが苦笑いしているな。
そして女の子はノートを取り出し
「宿題が多くて困っています、難しい問題が多くて私困ってます」
「なるほど、仔猫ちゃんを困らせてる教師をクビにすればいいんだね? 任せておきたまえ、お姉さんの知り合いに教育委員会にも顔が利く知り合いがいるから」
私がスマートな解決方法を提示しているとホナミさんが私を突いてくる、ちょっとくすぐったいぞ。
「リナさん! 何言ってるんですか、そういう事じゃないんですよ。この子の宿題を見てあげればいいんですよ」
仔猫ちゃんもきょとんとしている、どうやら私の解決方法は違ったようだね。
「な、なんだ。そうなのかい?」
私の横でホナミさんが仔猫ちゃんに問題の要点を教えていた。
分かりやすいのか仔猫ちゃんは頷いてノートにペンを走らせていた。
私はやることが無くなったので、ホナミさんを見て癒される事にしよう。
「ありがとう、ばいばーい!」
しばらくしたら終わったのか仔猫ちゃんが手を振って帰っていった。
隣でホナミさんも手を振っていた。
「流石はホナミさんだね、元教師は伊達じゃないね」
「あはは、たまたまですよ」
ホナミさんは自分で思う以上に、凄い人だと私は思うんだけどね。
――
――――
その後も三人ほど来たがどれもがホナミさんが無難に対応していた……思ったんだが私いらなくないかな? 仔猫ちゃんの相談ならと思っていたけど仔猫ちゃん来ないし……
そして今度はチャラ男風の男が二人入ってきた。
「どのような御用件ですか?」
ホナミさんがチャラ男達の相手をすると。
「だろー、この教会のシスターどれも美人だろ?」
「マジだな、マジ」
ホナミさんを無視してチャラ男甲とチャラ男乙は会話を始める、まったく下品な男だな。
「えっと……それで懺悔ですか? 相談事ですか?」
ホナミさんがオロオロしながらも対応しようとする。
チャラ甲がからかうような言い方でホナミさんの質問に答える。
「ソウダンごとでーっす! ぼくたち今暇なんですよー」
今度はチャラ乙がホナミさんの手を取ってちゃかすような口調で言う。
「そうなんですよー、暇なんでボクたちとお茶してくださーい!」
ホナミさんがオロオロして、私に視線を送くりながらも対応している。
「いや、ここは教会でして、そういったお店じゃないですよ」
「えー、いいじゃん」
「迷える子羊のボクたちを救ってくださーい」
ホナミさんが泣きそうになってきたな、これだから下品な男は嫌いなんだよ。
仕方ないな、レナと違って私は荒事が得意じゃないんだけどなぁ。
「君たち、その下品な笑みを引っ込めて汚い手を放すんだ」
チャラ乙がホナミさんから手を放し私の方へ寄ってきた。
「うおー! 何この子? ヤッベーそこら辺のアイドルなんて屁じゃないほどカワイーじゃん」
「臭い息を吐かないでくれないか? 吐き気がする」
私の声にイラだった顔のチャラ甲と乙が私に詰め寄ってきた。
ホナミさんはどうしていいか困ったような顔をしている。
「あのさー、さっきから何言ってくれてるの?」
「ここは教会の懺悔室だ、ナンパならあそこのお嬢様学校でやってくれ」
「ちょっと可愛いからって調子にのってないか?」
はあ、仕方ないな。少し痛い目を見てもらおうかな。
チャラ乙が手を伸ばしてきた所を私は逆に手を取り、捻り上げ後ろに回り込むそして腕を捩じ上げる。
「ぎゃー、いててて」
「このまま出ていくか、この腕をへし折られるか選びたまえ」
私がチャラ乙の腕を捻り上げてると横からチャラ甲が私の手を外そうと手を伸ばしてきたので空いた左手でチャラ甲の鼻っ柱に裏拳を入れる。
「うぎゃあ!」
私は演技のかかった喋り方で。
「さあ、選びたまえ! 消えるか折られるか」
力を強めると、チャラ乙が悲鳴をあげながら。
「分かった、もう帰るよだから許してくれ!!」
そう宣言したので、私は腕を放してやる。
「ちょっかいかけたのが私とホナミさんで助かったね? マリアさんやレナの時には来ない方がいいぞ。真面目に海に沈むことになるからね」
私が少し脅かしてやると、チャラ男達は悲鳴を上げて逃げて行った。
「まったく、私は荒事は得意じゃないのに」
「リナさん! 大丈夫ですか?」
「まあね、レナほどじゃないがあの程度なら問題無いよ」
「はぁ、良かった……」
「ホナミさんこそ大丈夫だったかい?」
「はい、おかげさまで何事も無いですよ」
それなら良かった。
「ああ、それは良かった」
「それにしても、ああいった人も来るんですね」
「レナはあんな奴等も相手にしてるのか、これはこれは恐れ入ったね」
「本当ですね」
こうして今日のお務めは終わりを迎えた。
レナはこんなとこであんな奴らの相手をしてるなんて、やはり凄いね私の女神様は。
そう思える一日だったよ、でも次は勘弁してほしいかな。
今日、レナはシスターケイトの使いで出ているから、私が代わりにここの担当をすることになった。
「リナさん、カーテンはどうします? 普通は締めておくんですよね」
「あぁ、ホナミさんそのままでいいよ。カーテン閉めちゃうと仔猫ちゃんが来た時顔が見えないじゃないか」
今日は、私だけじゃないんだよね。
パートナーがいるのさ、私の隣にいる眼鏡が良く似合う可愛らしい女性が私の今日の相方さ、肩の辺りで揃えられたセミロングの黒髪が彼女の真面目さと相まって良く似合っている。
彼女の名前は『阿国谷穂奈美』最近まで学校の教師だったのだが、イジメ問題を解決するために、動画拡散なる強硬手段を取った責任を負い辞職。
その後この教会でシスターになる道を選んだとの事だよ。
「ホナミさんも何で、ここでシスターなんかになったんだい?」
「レナさんに出会ったからですかね。私は教師だったのに何も知らなくて……なのに彼女は勉強とは違う事を色々と知っていて、私と虐められてた子を現場にいないのに助けてくれました」
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「あはは、本当にそうなのかもしれませんね。それで私も違う方向から色々な人を助けたくてこの道に入ったんですよ」
流石はレナだね。彼女は自分では気付いてないけど、アレで結構色々な人を救っているんだよ。
「では、今日はレナの代わりに私達が迷える仔猫ちゃん達を救うとしよう」
「私でもできるでしょうか?」
「レナが出来てるんだし出来るんじゃないかな?」
……いや、待てよこないだの気障な不細工みたいなのが来ると無理だぞ。アレはレナだからこそ務まっているんじゃないか?
「リナさん、どうしました?」
「あ、いや。少し考え事をしててね」
もしあんなのばかり来たら……仔猫ちゃんが来ることを期待しようか。
「考え事ですか?」
「ああ、改めてレナの凄さを実感していたんだよ。このお勤め、思った以上にハードかもしれないよ」
「そうですね、気合入れていきましょう」
するとさっそく最初の仔猫……なんだオッサンか、ホナミさんに任せるとしよう。
「すいません、懺悔宜しいでしょうか?」
「は、はい! どういった懺悔でしょうか?」
ホナミさん、なんか会社の事務員みたいになってるね。
「ホナミさん落ち着いて」
「は、はい。そうですね」
まったくこの人は可愛らしい人だよ、私は年上にはそこまで興味がないんだが彼女は好ましく思えるね。
そしてなんかオッサンが懺悔をしているね、仕方ないから聞いてみよう。
「私が家庭を顧みなかったせいで妻と娘が家を出て行ってしまいました……この事を懺悔し、また家族仲良く過ごしたいと思っています」
普通の懺悔のようだね、娘さんは可愛らしい仔猫ちゃんなのだろうか? そこは気になるところだな。
「奥さんと娘さんの居場所は分かっているのですか?」
「は、はい一応」
「でしたら真剣に話し合ってみればきっと、また戻ってきてくれるはずですよ」
「そうでしょうか?」
ホナミさんは真面目にオッサンの話を聞いて親身に答えているじゃないか。レナより向いてないか?
「少し、疑問に思ったのだが娘さんは可愛いのかな?」
私は疑問を口にしオッサンに尋ねてみた、オッサンは突然何を言われたのか分からなかったようだが携帯を取り出し私に写真を見せてくれた、オッサンは嬉しそうにこれが娘ですと言っていた。
……すまないがそこまで可愛くは無いかな……
「なるほど、戻ってくると良いね」
私は娘さんが可愛くなかったので、興味を失い適当に言っておいた。
どうでもよくなったのでホナミさんを見て癒されよう。
少ししたらオッサンはホナミさんにお礼を言い出て行った。
「初めて担当するとは思えない手際の良さだね」
「一応、教師でしたからね。親御さんと話すことも多かったですから案外慣れてるんですよ」
「なるほど」
シスターケイトを除けばリアの次に年長なだけあってしっかりしているな。
私が感心していると、次の迷える仔猫ちゃんが来た。
小学生の女の子だ。うん、この子は十年後が楽しみな逸材だね。
これは私も真面目に仕事しないといけないな。
「どうしたのかな? 子猫ちゃん、お姉さんが相談に乗ってあげるよ」
何故かホナミさんが苦笑いしているな。
そして女の子はノートを取り出し
「宿題が多くて困っています、難しい問題が多くて私困ってます」
「なるほど、仔猫ちゃんを困らせてる教師をクビにすればいいんだね? 任せておきたまえ、お姉さんの知り合いに教育委員会にも顔が利く知り合いがいるから」
私がスマートな解決方法を提示しているとホナミさんが私を突いてくる、ちょっとくすぐったいぞ。
「リナさん! 何言ってるんですか、そういう事じゃないんですよ。この子の宿題を見てあげればいいんですよ」
仔猫ちゃんもきょとんとしている、どうやら私の解決方法は違ったようだね。
「な、なんだ。そうなのかい?」
私の横でホナミさんが仔猫ちゃんに問題の要点を教えていた。
分かりやすいのか仔猫ちゃんは頷いてノートにペンを走らせていた。
私はやることが無くなったので、ホナミさんを見て癒される事にしよう。
「ありがとう、ばいばーい!」
しばらくしたら終わったのか仔猫ちゃんが手を振って帰っていった。
隣でホナミさんも手を振っていた。
「流石はホナミさんだね、元教師は伊達じゃないね」
「あはは、たまたまですよ」
ホナミさんは自分で思う以上に、凄い人だと私は思うんだけどね。
――
――――
その後も三人ほど来たがどれもがホナミさんが無難に対応していた……思ったんだが私いらなくないかな? 仔猫ちゃんの相談ならと思っていたけど仔猫ちゃん来ないし……
そして今度はチャラ男風の男が二人入ってきた。
「どのような御用件ですか?」
ホナミさんがチャラ男達の相手をすると。
「だろー、この教会のシスターどれも美人だろ?」
「マジだな、マジ」
ホナミさんを無視してチャラ男甲とチャラ男乙は会話を始める、まったく下品な男だな。
「えっと……それで懺悔ですか? 相談事ですか?」
ホナミさんがオロオロしながらも対応しようとする。
チャラ甲がからかうような言い方でホナミさんの質問に答える。
「ソウダンごとでーっす! ぼくたち今暇なんですよー」
今度はチャラ乙がホナミさんの手を取ってちゃかすような口調で言う。
「そうなんですよー、暇なんでボクたちとお茶してくださーい!」
ホナミさんがオロオロして、私に視線を送くりながらも対応している。
「いや、ここは教会でして、そういったお店じゃないですよ」
「えー、いいじゃん」
「迷える子羊のボクたちを救ってくださーい」
ホナミさんが泣きそうになってきたな、これだから下品な男は嫌いなんだよ。
仕方ないな、レナと違って私は荒事が得意じゃないんだけどなぁ。
「君たち、その下品な笑みを引っ込めて汚い手を放すんだ」
チャラ乙がホナミさんから手を放し私の方へ寄ってきた。
「うおー! 何この子? ヤッベーそこら辺のアイドルなんて屁じゃないほどカワイーじゃん」
「臭い息を吐かないでくれないか? 吐き気がする」
私の声にイラだった顔のチャラ甲と乙が私に詰め寄ってきた。
ホナミさんはどうしていいか困ったような顔をしている。
「あのさー、さっきから何言ってくれてるの?」
「ここは教会の懺悔室だ、ナンパならあそこのお嬢様学校でやってくれ」
「ちょっと可愛いからって調子にのってないか?」
はあ、仕方ないな。少し痛い目を見てもらおうかな。
チャラ乙が手を伸ばしてきた所を私は逆に手を取り、捻り上げ後ろに回り込むそして腕を捩じ上げる。
「ぎゃー、いててて」
「このまま出ていくか、この腕をへし折られるか選びたまえ」
私がチャラ乙の腕を捻り上げてると横からチャラ甲が私の手を外そうと手を伸ばしてきたので空いた左手でチャラ甲の鼻っ柱に裏拳を入れる。
「うぎゃあ!」
私は演技のかかった喋り方で。
「さあ、選びたまえ! 消えるか折られるか」
力を強めると、チャラ乙が悲鳴をあげながら。
「分かった、もう帰るよだから許してくれ!!」
そう宣言したので、私は腕を放してやる。
「ちょっかいかけたのが私とホナミさんで助かったね? マリアさんやレナの時には来ない方がいいぞ。真面目に海に沈むことになるからね」
私が少し脅かしてやると、チャラ男達は悲鳴を上げて逃げて行った。
「まったく、私は荒事は得意じゃないのに」
「リナさん! 大丈夫ですか?」
「まあね、レナほどじゃないがあの程度なら問題無いよ」
「はぁ、良かった……」
「ホナミさんこそ大丈夫だったかい?」
「はい、おかげさまで何事も無いですよ」
それなら良かった。
「ああ、それは良かった」
「それにしても、ああいった人も来るんですね」
「レナはあんな奴等も相手にしてるのか、これはこれは恐れ入ったね」
「本当ですね」
こうして今日のお務めは終わりを迎えた。
レナはこんなとこであんな奴らの相手をしてるなんて、やはり凄いね私の女神様は。
そう思える一日だったよ、でも次は勘弁してほしいかな。
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