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終章 勇者侵攻

第七十五話 田中から牡丹餅ですわ!

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 ザルバを捕まえてから二日が経ちました。昨日はワタクシ達も街の復興を手伝いをしておりましたわ。
 そして、そのついでに数名の方に魔王領への引っ越しを勧めておきます。

「マウナさんにマナカさん、本当にいいのか?」

 先日魔王領に来ないかと声をかけたうちの一人、熊の干物亭のランジスさんがワタクシ達の所に来ております。

「はい、我が魔王領にて支援をさせていただきたく思います」
「マウナさんの領で宿を営んでいただけるのなら、建物はこちらで用意いたしますわ。それは先日仰ったとおりですわよ」
「確かにここでの宿は、ああなっちまったからなぁ」
「皆さまには世話になっておりますので、ワタクシとマウナさんからの恩返しですわ」

 ええ、この大惨事。せめてワタクシ達に関わった人だけでも恩返しの意味も込めて、魔王領の移住を勧めておりますのよ、ここの国王に怒られそうですけど気にしませんわー。
 人間の住民も欲しいですからね。

「わかった、その言葉に甘えさせてもらおう」
「ええ、是非そうしてくださいな」

 宿屋ゲットだぜー!

「ゴブリン達を復興手伝いのために呼びましょうか?」
「いまはやめておきませんこと? 討伐されますわよ」

 マウナさんの提案を却下します
 そんなこんなでワタクシ達も復興の手伝いをしております。

 ――
 ――――

 そしてさらに二日が経ったところ、ギルドに兵士が入ってきましたわ。

「失礼する、ガリアス殿はおられるか?」

 兵士がガリアスさんを探してるようですわね。

「ガ、ガリアスさんですか? よ、呼んできましょうか?」

 ワタクシ達と治療をしていた、アルティアさんが奥に向かって行きましたわ。
 ワタクシもアースヒールなる魔法を覚えましたのよ!
 まあ、体力が徐々に回復していく魔法なんですけどね、しかも大地に体の部分を付けていないといけないという制限付きの魔法ですわ、ようするにベッドに寝てると意味のない魔法ですわね……

 アルティアさんが向かってから、五分ほどするとガリアスさんと一緒に戻ってきましたわね。

「ああ、待たせたな」

 兵士はガリアスさんに手紙を渡すと。

「ガリアス・バーステンとマウナ・ファーレ一行は至急王城に来たれし。国王が今回の事でお礼がしたいとの事、そして話がしたいそうだ」
「私がエルハリス王に?」
「田中から牡丹餅……棚から牡丹餅ですわね」

 何という幸運。国王と謁見ですわよ。
 これは同盟することも可能ですわね。

「あらぁ、国王とか懐かしいわねぇ」
「え、え? ベ、ベティさん。こ、国王に会った事あるんですか?」
「えぇ、昔ちょっとねぇ」

「――国王って誰?」
「この国で一番偉い人でありますな」
「――おお」

 一行という事は彼等もですわね、そりゃそうですわね。皆様頑張っていましたものね。

「マウナさん、これはまたとないチャンスですわよ」
「は、はい。そうですねうまく同盟できれば……」
「ええ、魔王領の恩恵は大きいですわよ」

 では兵士とガリアスさんに、ワタクシ達全員も参加することを伝えます。

「それでは、すぐにでも出発したいがどうか?」
「わかった、準備するから少し待ってくれ」
「了解s他、では二時間後にここで」
「ワタクシ達もそれでよろしいですわよ」

 こうしてワタクシ達とガリアスさんは、王都に向かうことになりましたわ。

 ――
 ――――

 ここはとある部屋。
 小太りの男とハゲた男が椅子に座って酒をあおっていた。
 するとそこに兵士が入ってきた。

「報告します!」
「なんだ? あと、お前たちなんでいつもノックもせずに勝手に入ってくるんだ?」

 小太りの男が文句を言うが兵士は無視して話を続ける。

「サルジーン王都陥落しました」
「思ったより時間がかかったが、まあ誤差範囲だな」

 小太りの男は、可もなく不可もなくといった顔で報告を聞いていた。
 そして極めて冷たい声で指示を出す。

「では、サルジーンの貴族、兵士諸君に革命軍全員を処刑しろ」
「全員ですか?」
「そうだ、反発されて反乱でもされたら面倒だ。そして死体は全部ゾンビ兵として運用する、簡易ソースフェールをありったけ用意しろ」
「わ、わかりました!」
「国民どもは強制労働者として鉱山にでも連れていけ」
「は!」

 報告に来た兵士は敬礼すると部屋から出て行った。

「概ね予想通りか」
「ああ、そしてそろそろセンネル達が動くはずだ」
「思った以上に兵士がいたからな、少してこずったがその分ゾンビ兵が多く手に入るからな」

 男二人が話していると慌ただしく兵士が一人やってきた。

「緊急の報告です!」
「どうした?」

 ハゲ男の大臣が返事をする。

「は! コルリスに大量の紅蓮孔雀が発生し被害を拡大しています。街は壊滅状態との事」

 兵士の報告に二人は目を丸くする。

「バカな! 予定より一ヶ月は早いじゃねぇか!」
「無能だと思ったが、下の者を制御しておくこともできないほどの無能だったか」
「……報告御苦労下がってよいぞ」

 大臣が兵士をさがらせると、二人は同時にため息をついた。

「センネルのバカめ、もう少し役に立つと思ったが……」
「どうするのだ?」
「仕方ない、今ここでセンネルから俺たちの事、いやこの国の事がエルハリス国王の耳に入るのほうが不味い」

 小太りの男が言うと大臣は頷く。

「すると、センネルは粗末するしかないか」
「ああ、そうだな」

 センネルを始末する事を大臣が提案すると男は頷いた。

「暗部を動かせ、確実に消すために上位者を向かわせろ」
「そう言えば、暗部が数名逃げ出したようだな」

 大臣の発言に男は目を丸くする。

「この国って逃げる相手に寛容すぎないか? 普通は追っ手を差し向けたりするだろ」
「ああ、儂もそう思ってはいるんだが」
「とにかく、センネルは確実に消すんだよ、しかも急げ」
「うむ、了解した。では儂は暗部の者に話をしてくる」

 大臣は部屋を出て行った。

「あの大臣、良く考えると割と俺の部屋に入り浸ってるよな……」

 小太りの男は酒をグイっと人のみすると呟いた。

「仕方ない予定を早めるしかないか……サルジーンの方を急がせるか」
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