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第四章 再建準備編
第六十二話 鍛冶屋説得後編
しおりを挟む「こんにちは」
私は鍛冶屋に入るとまずは挨拶をしました、マナカさんもいつも挨拶は重要だと言ってますからね。
「おーう、いらっしゃい」
鍛冶屋の親父さんが出てきました、親父さんは私達を見ると不思議な顔をして見ております。
「なんかえらいメンバーが変わってないか?」
ああ、そういうことですか。今回はメンバーが殆ど違いますからね。
私とアルティアさん以外のメンバーは親父さんに会釈をします。
「ええ、少し訳がありましてね。マナカさん達とは別行動です」
「そうかいそうかい。それで何かお求めかな?」
「いや、今回は別の用事できました」
私が真面目な表情で親父さんに話しかけますと親父さんもいつもより真面目な表情になってきてくれます。
「別の用事か、どんな用事なんだ?」
「はい、親父さんをスカウトに来ました」
「俺をスカウトだぁ?」
私はマナカさんのような絡めては無理なので素直に話します。
そして私のスカウトという言葉を聞いた親父さんは目を見開き驚いた表情をします。
「お嬢ちゃんが俺をスカウトって何の冗談だい? 冒険者専属の鍛冶師って事かい?」
親父さんが私にそう言います、確かに親父さんは私の正体を知らないのでそう言った反応になるのは仕方ないです。
「いいえ、冒険者としてでなくですね。私の国の専属鍛冶師になってほしいんです」
「お嬢ちゃんの国?」
「お、親父さん。お、驚かないで聞いてください。このマウナさん実はですね、ま、魔王様なんです」
アルティアさんの言葉に親父さんは怪訝そうな顔をしています、仕方ありませんよねわたしは何処から見ても魔王には見えませんから。
「はぁ? どういうこった? お嬢ちゃんが魔王?」
コリーにシェンナがアルティアさんに続けて援護してくれます。
「ええ、こちらにおわすお方こそ魔王マウナ・ファーレ様です」
「シェンナ達がお仕えするファーレ魔王領の主様です」
「まさか本当なのか?」
流石にここまで援護射撃があると親父さんも信じようとしています。
止めにバウスの援護です。
「親父殿、その方は本当に魔王マウナ・ファーレ様なのです」
親父さんはバウスを見て驚いております。
「な、まさか! フードで顔が良く分からなかったがアンタは『猟犬バウス』か!」
「カッカッカ、そんな古い名を知っておられるとはな」
「当時はかなり有名な冒険者だったからなぁ」
親父さんは驚いているようですね、バウスは昔は結構有名だったようですから。
「バウスはやはり有名ですね」
「今はただの御者のジジイですがね」
バウスの言葉が止めになったようで親父さんは真剣な表情になっております。
「そうなるとお嬢ちゃんっと魔王様の話である、専属鍛冶師の話は本当という事になるのですね?」
「親父さん前のように話してください、私は魔王でもそこまで凄い人物ではないんですから」
「いや、そういう訳にもいきませんよ」
「そうですか……」
少し残念な気持ちです、やはり変わらずに接してほしいというのはなかなか難しいですね。
しかし、本題はそこではないので気合を入れて親父さんを説得しようと思います。
「ええっと、それでですね。先ほども言いましたように、私の国で鍛冶の仕事を担当してほしいと思っております。後進の育成や、武具や道具の開発をお願いしたいと思っています」
「国と言うと魔王の国ですかい?」
「はい、ファーレ魔王領は人間や他の種族とも手を取り合える国を目指しています。そのための街造りを今はしている所なのです」
私は真実をただそのまま伝える事しかできないので、親父さんの目を見て真剣に話していきます。
現在行っている政策やショーユ作りやそれに必要な道具などの事を話していきます。
親父さんは真剣に聞いてくれています。
「なるほど、面白いですな」
私が話し終えると親父さんはそう言いました。
どうやら悪くない反応です、親父さんは私の話に良い印象を持ってくれてるようです。
「それで、どうでしょうか?」
私は親父さんに尋ねます、親父さんは目を瞑り考えております。良い返事が聞ければ良いのですが、何とも言えない沈黙が辺りを包みます。
そして三分ほど経ちますと、親父さんは目を開き。
「わかりました、その話お受けしましょう」
親父さんの声に私達全員が笑顔になります。
「あ、ありがとうございます!」
私は親父さんに向かってお辞儀をします、こんなにあっさりと承諾してもらえるとは思っていませんでした。
「丁度良い機会です、この店をそろそろ弟子に任せようと思っていたところでしてね」
「そうでしたか、私も運が良かったという事ですね」
「そうなりますかな? 弟子の方は私から教える事はもう無いので後は経験を積むだけでしてね、この機会に店を任せてワシはマウナ様の国へと行くことにします」
そうなりますと準備期間が必要ですね、それが終わるころに迎えを出さないといけません。
「そうですな、一週間時間をくだされ。その間に準備をし弟子にこの店の事を託しますので」
「分かりました、では一週間後にここ迎えを寄こします」
親父さんが一週間の準備期間を指定してきたので、私はその時に迎えを出すようにしました。
「マウナ様、親父殿が引き受けてくれてようございましたな」
「はい、皆さんのおかげで親父さんを説得出来ました」
「「おめでとうございます」」
私だけでは魔王と信じてもらえなかったと思うと、やはり私一人では何もできないのだと痛感しました、バウスやコリーにシェンナそしてアルティアさんには感謝ですね。
「では、ワシはさっそく弟子と話を付けてきます。それでは失礼しますぞ」
そう言うと親父さんは店の奥に入っていきました。
私達も次の目的のガラス職人の元に向かう準備に取り掛かることにしました。
「では、次に行く準備に取り掛かりましょう!」
私達は一度熊の干物亭に戻ることにしました。
急いで準備を済ませると、私達は午後から隣の村へと移動を開始することにしました。
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