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第三章 昇格試験と国の特産物

第四十八話 西へ……

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 次の日になりましたわ。
 ワタクシ達は熊の干物亭の食堂に集まっております。

「ベティ殿、西の村にはどれくらいかかるのでありますか?」
「そうねぇ、馬車なら四時間もあればいけるわよ、二〇〇人くらいの村よ」
「思ったよりは近いでありますな」

 馬車で四時間……歩いていくとなると時間がかかりますわね……

「徒歩で行くとなると流石に時間がかかりますわねぇ」
「な、なら、商人を探しましょう、あ、あの村は割と商人が行き来するので」
「アルティアちゃんの言うとおりね、商人の護衛をするついでに乗せてもらいましょう」

 自分たち専用の馬車が欲しい所ですわね、それより何処に行けば商人の馬車に乗せてもらえるのでしょう?
 ギルドで依頼を受けれるなら楽でしたのに困ったものですわ。

「――どこで商人に会うの?」
「そうねぇ、この時間なら南の露店街に行けば仕入れの馬車が来てると思うわよ、運が良ければ西に行く馬車があるかもしれないわねぇ」
「――露店街! よし、行こう、オカマ行こう」
「ナルリアちゃん、お姉さんの事はベティって呼んでよ、もう」
「はいはい、行きますわよ」

 ワタクシ達はベティさんの言う通りに南の露店街に向かいましたわ。

 ――
 ――――

 露店街は朝市をやっているためか賑わっておりますわね。

「さてそれじゃあ、それっぽい人に話を聞きましょう」
「そうですわね、馬車持ちの商人に聞いてみましょう」

 ワタクシ達は馬車で西の村に行く商人を探します。
 十五分ほど探しておりますと、ベティさんが冒険者ギルドに護衛依頼を出しに行こうとした商人を見つけてきましたわ。

「マナカちゃん、この人が運よく西の村に行くための護衛を探してたわよ」
「ナイスですわ」
「――ですわ」

 ベティさんが見つけてきた商人がワタクシ達に会釈するとこちらにやってきましたわ。

「どうも、貴女方が護衛をしてくれるのですか?」
「ええ、馬車にワタクシ達も乗せてくださるのであれば、御代は結構ですわ」
「助かります、あの村へ行くとき、時々盗賊が出るのですよ」
「ワタクシ達もあの村に用事があって足となる馬車が欲しかったところですの、ウィンウィンですわ」

 ただ、こんな得体のしれない冒険者を信用しても良いのでしょうか? だってこのメンバー見てみなさいな、オカマの大男にコミュ障のオッパイメガネ、ダークエルフの幼女に地味な魔族、最後にキノコですわよ? ワタクシ以外謎のメンバーですわよコレ。そんな疑問が残るので聞いてみます。

「マナカさん何か失礼なこと考えていませんか?」

 ワタクシはフルフルと首を振ります、マウナさん妙に勘が鋭いですわね……
 さて、では疑問な事を商人に聞いてみましょう。

「ワタクシ達のような得体のしれない冒険者でよいのですか?」
「何をおっしゃいます、元『薔薇の園』メンバーのベノワさんがいるパーティーですよそれが依頼料無料でいいなんて願ったりかなったりですよ! しかもアナタ方は最近活躍している八等級の冒険者……えっと、すいませんパーティー名までは覚えていませんが、話題の人達ですよね」
「あー、パーティー名決めるのすっかり忘れていましたわね……」
「あぁ、パーティー名決まってなかったんですね、どうりで覚えて無いわけだ」

 そうでしたわ、何気にベティさんは元有名冒険者でしたわー、思わぬところで大活躍ですわね。ついでにパーティー名のことすっかり忘れていたのは秘密ですわよ、え? さっき言ってたじゃないかって、ふふ、うるせーですわよ。

「やーん、お姉さんって有名ねぇ」
「――オカマ有名、凄い」
「凄いでしょ」
「――凄い!」
「ええ、ベティさんの知名度がこんな所で役に立つとは、お見事ですわ後で酢昆布を差し上げますわ」
「酢昆布? ええ、ありがとう」

 ワタクシは商人に何時頃出発するかを尋ねますわ。

「ワタクシ達の方は準備出来ておりますが、いつ頃出発いたします?」
「こちらも何時でも構いませんよ、今すぐでも問題はありません」

 ワタクシは皆さまに頷くと皆さまもワタクシに頷き返します、随分とまあここまで言葉もなく分かり合えるようになったものですわ。
 そんな事を考えつつ、商人の方に言います。

「なるべく早い方が良いですし、すぐにでも出発しませんか?」
「そうですか分かりました、少しお待ちください準備を済ませます」

 ワタクシは商人に提案すると商人も賛同してくれたようで準備をすると言い準備に向かいました。
 数分後商人が数名の従者と二台の馬車を連れてやって参りましたわ。

「お待たせしました、それでは参りましょう」

 こうしてワタクシ達一行は西の村へと向かいました

 ――
 ――――

 道中は盗賊団に一度襲われただけで比較的に平和に西の村に着くことが出来ましたわ。

「いやー、助かりましたよ」
「いえ、こちらも馬車に乗せてもらい助かりましたわ」

 ワタクシ達は商人と別れるとまずは『立った小鹿亭』へと向かいましたわ。
 村の入り口付近にある大きな建物が小鹿亭らしく割とすぐに見つける事が出来ましたわ、ワタクシ達は小鹿亭に入ると奥にあるカウンターへと向かいます。

「しゃっさい」

 この国は何故「いらっしゃい」と発音する方がいないのでしょう? 筋肉質な大柄の男性がカウンターから対応してくれます、しかしまたマッチョの店員ですわね。

「宿泊ですか?」
「ええ、二部屋お願いできます?」

 ワタクシ達はあらかじめ、瓶工房とガリアスさんとの用件のために一泊することを決めておりましたので男性従業員に部屋を頼みました。

「一泊を二部屋ですね、三〇〇リシェになりますね」

 マウナさんがは従業員に代金を支払います、支払いが済んだことで本題に入ると致しましょう。
 ワタクシが改めて従業員の方に話しかけますと従業員も分かっているらしく周りえ御確認します。

「ガリアスさんはおりますか?」

 ワタクシがそう伝えると、従業員が

「ガリアスの兄貴ですね、そうなると貴女がマナカさんですね」

 ワタクシは頷きます、従業員も頷くと。

「今は、ここにはおりません。ですが夜にまた、そうですね……一九時以降に私に話しかけてください、その時にご案内します」
「分かりましたわ、夜にでもまた。ところでガラス工房がどこにあるか知りません?」
「ガラス工房ですか? それなら……」

 ――
 ――――

 ワタクシ達はガリアスさんの事を伝え従業員からガラス工房の事を聞いたので工房へと向かいます。
 ガラス工房は村の西端にあるとの事でしたわ。

「ここがあの女のハウスですわね」
「は? マナカ殿何を言っているのですか?」

 米田中尉の言葉に皆が頷きます、デスヨネー……
 つい、生前の世界で観た古い動画のネタを呟いてしまいましたわ……
 米田中尉は同じ世界出身とは言え時代が違うので通じませんわよね、他の方なんて世界が違いますものね……

 そんなこんなで中に入りますと、従業員の方々がわちゃわちゃとお仕事をしておりますわね。
 ワタクシは近くにいる従業員を捕まえてここの責任者の方がどなたか尋ねますと、従業員の方が連れて来てくださいましたわ。

「うちの工房になんかようかね?」

 背が低くがっしりとした体格の髭親父、武器屋の親父と同じドワーフですわね。そのドワーフの親父がやってきましたわ。

「ええ、御仕事を依頼したくてやって参りましたわ」

 さあて、工房の親父との交渉開始ですわね!
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