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第三章 昇格試験と国の特産物
第四十六話 センネルの影
しおりを挟む少し早めの昼食として照り焼きで食事を済ませます。次に向かうは冒険者ギルドですわね、ここで情報収集ですわよ。
ワタクシ達は熊の干物亭を出るとギルドの方に向いますわ。
「あらためて見ますと、この街でもこの世界では十分大きな街なのですわね」
「そうねぇ、ここは王国最南端の街だけど王国では四番目に大きな街なのよねぇ」
「せめて魔王領の王都もこの規模の街にしたいですわね」
「はい、頑張りましょう!」
「――おー!」
マウナさんの言葉に微妙にやる気があるのか無いのかわからない返事をするナルリアちゃん。
そんな話をしつつ歩いておりますと懐かしい顔を発見ですわね、えーと確かなんて名前でしたっけ? サルキャ? たしかそんな名前でしたわね。
向こうもワタクシ達に気付いたようですわね。
「おや? 確かワタクシがボコボコにしてやった冒険者のサルキャでしたわよね?」
「ザルバだクソ女」
「誰がクソですの? ぶっ殺しますわよ」
「まあ、いいや。昇格試験だったんだってな? へっへっへギルドに結果でも聞きに行くのか」
ザルバが臭い息を吐きだしながら何か言ったのでボディに一発ブチかまします
両目を見開いて悶絶するザルバはそのまま気を失ったようですわね。
「臭い息で話しかけるなんてレディに対して失礼ですわね」
ワタクシは鼻をつまみながらザルバを見下ろしますとザルバの仲間がザルバを回収してどこかに行ってしまいましたわね。
さり気なくメンバーが一人増えておりましたわね。
「――マナカ凄い! 行き成り殴った、流石マナカ」
「ナ、ナルリアちゃん……そこは、ほ、褒めてはいけない部分ですよ」
「さあ、バカは去りましたので冒険者ギルドに行きましょう」
ワタクシ達は何事も無かったようにギルドへと向かいます、そしてしばらくすると目的地の冒険者ギルドへと到着いたします。
では元気よく挨拶と共に今日も張り切っていきましょう!
「ぐっもーにんぐごきげんよう」
「マナカさん今はお昼ですよ」
「……マウナさん、業界では挨拶はいつもおはようですのよ」
さーて、ブレンダさんは……あれ? 今日はおりませんわね代わりに普段は見ない方がおりますわね。
「あら? ブレンダさんはお休みですわね、代わりに見ない方がおりますわね?」
「あらー、本当ねぇ。今日はブレンダちゃんお休みかしら? あのリサって子でもないし」
眼鏡をかけた歳は二〇代半ばくらいでしょうか? 金髪に近い茶髪で少しカールがかかったショートヘアの女性職員ですわね。
美人と言うほどではありませんがなかなかに可愛らしい方ですわね。
あの方にブレンダさんの事を聞いてみましょう。
「少しよろしいかしら?」
「はい、なんでしょう?」
「ブレンダさんは今日はお休みですか? それかハゲのガリアスさんでもよいのですけどおります? 見ない顔ですわね」
「私はアーシア・カルネと申します」
ワタクシがそう尋ねますと眼鏡の職員はアーシアと名乗りました、そしてワタクシをマジマジと見ます、ワタクシの横にいるベティさんを確認すると顔を近付けてきます、あら大胆ですわね。
「貴女がマナカさんですね」
「ええ、そうですわ」
ワタクシが頷くとアーシアさんも頷き、今度は小声で話しかけてきます。
「ブレンダ、ガリアス両名はこのギルドを辞めました」
「はぁ? どういう事ですの」
ワタクシが大声で叫びそうになった所を、人差し指を口元に持っていきシー制するので急いで小声に切り替えます。
「とある、事件の責任を取るために辞めたとなっております」
「まさか、貴族のボンボンの話ですわね」
「私どもも詳しくは教えられておりませんがおそらくは、このメモをお持ちください」
そう言ってアーシアさんはメモをワタクシに渡します、そして通常業務モードに切り替えます、ワタクシもそれを察して本来の目的を尋ねますわ
ベティさんやマウナさんが不安そうな顔をしておりますので後で教えるとしましょう。
「本日はどのようなご用件です?」
「ええ、ワタクシ達の昇格試験の結果が出ていないか聞きに来ましたのよ。マナカ・クナギとマウナ、ベネティクト・ベノワ、アルティア・クラーレの四名ですわ」
「少々お待ちください」
アーシアさんはそう言いますと奥に消えていきますわ、するとマウナさんが不安そうな顔でワタクシに尋ねてきましたわ
「マナカさん、ブレンダさん達に何かあったんですか?」
「どうやら厄介ごとのようですわよ、後で詳しく説明しますわと言いたいところですがワタクシもサッパリですのよ」
続いてベティさんが割って入ってきます。
「まさかセンネル伯爵かしら?」
「あり得ますわね」
少ししたらアーシアさんが戻って参りましたわ、てには紙を持っておりますわね。
「お待たせしました」
「それで結果はどうでした?」
「はい、皆さん合格となっておりますが……」
おりますが……面倒ごとのようですわね
「伯爵令息のアルバート・センネル氏を救う事が出来なかったため、今後三か月間は冒険者ギルドで依頼を受ける事が出来ません」
「なんじゃそりゃあ、ですわ! センネル伯爵ぶっ飛ばしに行きます?」
「マナカさん、状況が良く分かっていないのにそれは無謀ですよ」
なんかよくわからない因縁を付けられてるようですわね……ですが困りましたわね。
眉をひそめながらアーシアさんが言いました。
「センネル伯爵は親馬鹿ですからね、前ギルドマスターとブレンダもその関係だと思いますよ」
「ち、センネルとやらこのワタクシに喧嘩売ったことを後悔させてやりますわ、マウナさんセンネルと戦争ですわよ! ワタクシのブレンダさんにちょっかいかけるとか生きててごめんなさいって言わせてやりますわよ」
「マナカさん落ち着きましょう」
ワタクシ、おこですわよおこ!
ワタクシが怒りをあらわにしておりますとベティさんがアーシアさんに
「ちょっとうちのリーダー頭に血が上ってるみたいねぇ、アーシアちゃんだっけ? 今日は出直すわね」
「ええ、こちらでもそれとなく調べておきますね、私も今回の人事には納得していませんので」
「で、では失礼します」
「ほら、マナカちゃん行くわよ!」
ワタクシはベティさんに顔を掴まれて上に持ち上げられた状態でギルドを後にします……アイアンクローが完全に決まってますって!
「……ベティさん、ギブギブ! 放してくださいまし……」
ギルドの外に出てようやく解放されましたわ
「マナカちゃん頭は冷えた?」
「……冷えるどころか割れるところでしたわ」
そういえば先ほどのメモを見ておきますか『こんや 十二時 だれかが死ぬ』だったらどうしましょう?
メモを確認するにもどこか落ち着ける場所に移動しましょう。
「少し整理したいですわね、落ち着ける場所に行きましょう」
「わかりました」
「――喉が渇いた!」
「喫茶『ムッカ』が良いわね」
「自分はどこでも問題ありません!」
こうしてワタクシ達はメモを確認するために、情報の整理をするために喫茶店『ムッカ』に向かう事にしましたわ。
あ、ムッカはワタクシ達がたまに行く喫茶店ですのよ。
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