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第三章 昇格試験と国の特産物

第三十四話 ワタクシは幼女もいけますわよ!

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 さて、今は送られたメッセージの事は気にしてもしょうがありませんわね。
 奴隷少女をどうするかを考えましょう。

「まずはこの子をどうするか考えませんこと?」
「そうですね。今ならまだ街に戻れますよ」
「た、確かに、ここは、あ、危ないですし」
「じゃあ、一度もどるのかしらぁ」

 ワタクシ達が相談していますと奴隷少女はワタクシの手をぎゅっと握りワタクシを見上げております。うは、ヤワラカーイ。

「一緒に……行きたい」

 奴隷少女がワタクシにお願いしておりますわ、困りましたわね……
 そういえばこの子の名前をまだ聞いておりませんわね

「そうでしたわ、貴女のお名前を聞かしていただけるかしら? ワタクシはマナカ・クナギですわ、マナカとでもお姉さまとでもお好きに呼んでくださって構いませんわよ」

 すると奴隷少女は。ハっとした顔をしてワタクシから手を放してお辞儀をしましたわ

「――ナルリア・ガジュマ。危ない所を助けてくれて、ありがとう」

 たどたどしくもはっきりと自己紹介とお礼を言う仕草はとても可愛らしいものですわね。

「やだぁ、ナルリアちゃんねこの子も可愛いわぁ、お姉さんはベネティクト・ベノワって言うの気軽にベティって呼んでね」
「わ、わたしはアルティアです」
「マウナ・ファーレです」

 ナルリアちゃんはマウナさんの名前を聞くと目を見開き驚いております。

「まおー様と同じ名前……」
「私は娘で現ファーレ魔王領の魔王ですよ」
「あ、あぁ……まおー様とだなんて、一緒になど恐れ多い」

 ナルリアちゃんはしゅんとしてうつむいてしまいました、そんなナルリアちゃんを見たマウナさんも大慌てになっております。

「ナルリアちゃんですね、私はそこまで凄い魔王でもないですから恐縮しないでください!」

 マウナさんは両手を振りながらナルリアちゃんに自分がショボイと説明しております……それってどうなんでしょう?

「ナルリアちゃん、ここは危険ですのよ、街で待ってる方がよろしいと思うのですが」
「マナカちゃん少し待って」

 ベティさんがワタクシに待ったをかけました。

「契約された奴隷印がある奴隷で主人がいないってのは不味いわね」
「どういうことですの?」
「このままじゃ印が反応して呪いが発動してしまうわよ」

 ベティさんの言葉にナルリアちゃんが不安な顔をしております。

「奴隷が逃げ出さないようにする印の呪いね、主人からしばらく離れていると発動するのよね」
「主人ってアレは死んでますのよ? どうしろと言うのです」
「主人が死んでいようと発動しちゃうのよねぇ。まあ対処方法は簡単に主人の上書きね」

 奴隷印とはなんとも面倒なものですわね、主人の上書きって結局ナルリアちゃんは奴隷のままじゃない。

「ナルリアちゃんは奴隷のままという事ですわね……しかし今は仕方ありませんか。それで上書きってどうやるんですの?」
「流石にお姉さんも分からないわね奴隷商人や呪術に詳しい人ならわかりそうなものだけど」

 ワタクシはアルティアさんの方を向きますがアルティアさんは首を振りますわ

「わ、わたしも知らないです」

 マウナさんの方を見るとマウナさんはナルリアちゃんの左手にある奴隷印を見ております、マウナさんは魔法と魔物には詳しいから見てわかるかもしれませんわね。

「契約更新なら簡単に行なうことができますね」
「本当ですの? しかし誰がナルリアちゃんの主人になるんですの?」
「そ、そうですね、ほ、本人に決めてもらえばいいかと思います」
「そうですわね、そうしましょう」

 ワタクシ達はナルリアちゃんの意思にゆだねることとしました。

「ナルリアちゃん、奴隷印の呪いを回避するために仮で貴女の主を決めねばなりませんの、ですがワタクシ達はナルリアちゃん自身で決めていただきたいのですわ、誰が良いか決めてくださいな」

 ワタクシの言葉にナルリアちゃんは頷くと考えるまでもないといった感じで素早くワタクシのスカートの裾を掴みます。

「あら? ワタクシでよろしいのかしら?」

 ナルリアちゃんは顔を赤らめながら

「うん……マナカが……いい」

 ワタクシ、左腕を腰に当てて仁王立ちし皆さんに向かってピースしますわ。

「なんでそんなにドヤ顔してるのよ!」
「マナカさんって本当にどうでも良い事でも自信満々ですよね」
「あ、あはは……」

 さて、ワタクシがナルリアちゃんの主になるという事で話がまとまったのでやり方を教えていただきますわ。

「では、マウナさん上書きはどうすればよろしいのかしら?」
「この印は闇の魔法を使った呪いの一種です、上書きの方法は簡単ですよマナカさんの血でナルリアちゃんの手の魔法陣をなぞるだけです。」

 簡単ですわね、ワタクシはベティさんにナイフを借りる事にしました。

「ベティさん解体用か何でもよいのでナイフを貸していただけますか?」
「いいわよん、はいこれね」

 ……長さ四五センチくらいのくの字型のナイフですわね、ワタクシのいた世界にもあってククリナイフとかグルカナイフと呼ばれるものですわねコレ。

「ず、ずいぶん物々しいナイフですわね……」
「いざという時は護身用にもなるのよー」
「主武器でも問題ないですわよね、コレ」

 とりあえずワタクシはククリナイフで人差し指に傷をつけ血を出しますわ。

「――ッ!」

 ワタクシはナルリアちゃんの手の甲に書かれている奴隷印を先ほど切った指でなぞっていきます、すると奴隷印が輝きだし少しすると落ち着きます。

「それで上書きは完了したはずですよ」
「ナルリアちゃんとのつながりを感じますわね」
「……ん、ワタシも」

 さて、これで問題は一つ解決しましたわね。ですがダンジョンが危険なのは変わりありませんわね。

「さて、奴隷印の問題はとりあえずは大丈夫ですがこのダンジョンが危険な事には変わりありませんわね」
「ワタシも一応戦える」
「あら? ですが先ほどはそんなそぶりは見せませんでしたわよね?」
「……さっきは突然でびっくりしたから……」

 ナルリアちゃんはそう言いましたが本当の所どうだったのでしょう?

「マナカさん、ナルリアちゃんの言う事は本当だと思いますよ。ダークエルフはエルフと同じく基本的に弓が得意ですし、そしてエルフは精霊魔法に特化してますがダークエルフはエルフに魔法では劣りますが身体能力は基本的にエルフより優れていますからね」

 ナルリアちゃんはコクっと頷き。

「……ワタシ、チヨルカンで暗殺や罠や毒に関する知識を教え込まれてる」
「また、チヨルカンですか。こんな小さい子に何を教え込んでるのですの……」

 ベティさんがまたも怪訝な顔をしております。

「あの噂って本当だったのね……チヨルカンの少年少女暗殺部隊」
「な、なんですか、そ、それ?」
「チヨルカンの暗部の話よ。小さな少年少女に暗殺技術を叩きこみその手の趣味の貴族の相手をさせて暗殺する胸糞悪い暗殺隊よ」

 ナルリアちゃんが変態貴族に何かされてたらワタクシその貴族の一族を根絶やしにしますわよ。

「――ワタシはチヨルカンから逃げ出したところを奴隷商人に捕まってしまった……それであの主人の元に売られたの」

 セルカドの時もそうですがチヨルカンって案外ザルですわね。

「だから、一応戦える。自分の身は自分で守るから連れてって……」

 涙目になって訴えられては断れませんわね……ワタクシ自慢じゃありませんが美少女には甘いんですのよ!

「はぁ、分かりましたわ。ワタクシも極力ナルリアさんを守りますから、申し訳ありませんが皆さまもご協力お願いしますわ」
「どうせこうなると思ってたわよぉ」
「は、はい。ケガなら任せてくださいね」
「マナカさんって本当に甘いですよね」

 マウナさん何故か少し不機嫌ですわね。ヤキモチかしら?

「マウナさんもお願いしますわね」
「……仕方ないですね」

 ワタクシはそう言ってマウナさんの頭を撫でますと、マウナさん仕方ないと言ってそっぽを向いてしまいましたわ、うーん恥ずかしかったのでしょうか?

「ナルリアちゃん取り合えずは何が扱えますの?」
「……短剣、ナイフに弓を仕込まれたから、それ等ならいける」
「ベティさん、このククリしばらく借りますわよ」
「お姉さんのコレクション大事に使ってねー」

 ワタクシはククリをナルリアちゃんに渡しますわ。その後靴すら履いてないナルリアちゃんの足をクソ男達の荷物から適当な布を拝借しナルリアちゃんの足に巻いておきますわ素足よりマシでしょう。

 こうして成り行きでナルリアちゃんがワタクシ達のメンバーになりましたわ。
 さあ、探索再開ですわよ。

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