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未熟な果実 1
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国王夫妻を見送った後、執務室でいつものように力を宥めると、イルディオスは礼を言ってアドリーシャから距離を置いた。
神殿を訪れた日は、いつもそうだ。イルディオスは何かを恐れているようにアドリーシャの手を離して、申し訳なさそうに眉を寄せる。
手に残るぬくもりを握りしめたアドリーシャは、いつものように何も気づいていないふりをして、イルディオスの机の横に置かれた自分の机へと向かう。
アドリーシャがイルディオスの仕事を手伝いたいと申し出たのは、この屋敷に来て間もない頃のことだった。当然、イルディオスはまだ幼いアドリーシャに仕事をさせることを拒んだ。
しかし、アドリーシャのために雇った家庭教師たちが口を揃えて教えることはないと言ったことで、考えを改めることになる。
イルディオスはアドリーシャに領地経営の仕事の手ほどきをしはじめると、職人を呼んで新しい机を誂えさせた。アドリーシャの身体に合わせた両袖の机は、凝り性なイルディオスが職人にあれこれと注文を付けて作らせたおかげで、装飾性もありながら実用的な造りをしている。
「領地から帳簿と事業報告書、嘆願書が届いています。一番気がかりなのは、春の終わりに降った長雨の影響による日照り不足ですね。土壌の加湿による生育の遅れと、病害虫の被害が出ているようです」
「先だっての報告では、生活が苦しくなるほどではないと聞いていたが、困ったな」
アドリーシャは、追肥の支援と、直接現地で必要な支援を見極めてある程度柔軟に対応できる裁量を持たせた者を遣わしてはどうかと提案する。既に人選まで済ませたと告げると、イルディオスは薄い唇を緩めた。
「それでいこう。生活支援はある程度その者の判断に委ねて、来年を見越して対策を練ろう」
ほっと肩の力を抜いたアドリーシャは、準備していた書類をイルディオスの前に並べた。
決裁を急ぐ案件を一通り相談し終えると、イルディオスから今日はこの辺にしようと告げられる。
はいと書類から顔を上げたアドリーシャは、まだ夕食まで時間があるのに気づいて瞬いた。小さく笑んだイルディオスは、鍵付きの抽出から紙挟みを取り出した。
「成人後の話をしておきたい。アドリーシャは成人の宴後もここで暮らしてくれるという話だったが、その気持ちは今も変わらないだろうか。来年の春には卒業だが、その後については考えているか?」
大学に進学してもいいし、事業を起こすのもいいと言われて、アドリーシャは曖昧に笑んだ。
将来について考える度に、アドリーシャの胸は重く塞がれる。
貴族の娘の順当な進路は、成人の宴後に解禁される婚約と結婚だ。婚約が決まれば、卒業することなく結婚する娘も少なくない。
イルディオスはこれまでにもそれとなく進学を勧めてくれていたが、有り難いと思いながらも気は進まなかった。ただでさえ、果実としては過ぎた待遇を受けているのだ。
「これは一つの提案だ。急な話だと思うが、検討してもらえると嬉しい」
目の前に差し出されたのは、イルディオスの相続人を指名するための書類だった。相続人欄にアドリーシャの名が綴られているだけでなく、既にユーゴウスの署名まで記されている。
もしかしなくとも、国王夫妻の来訪はこのためでもあったのだろう。
「後継者がいないまま死んだ場合、俺の財産は王家の所有となる。相続人が王家の血を引かない場合、一部は返還しなければならないが、それでも不自由ない生活が送れるだろう。悪くない条件だと思う。相続人であればこのままこの屋敷で暮らす名分も立つし、君の自由も保たれる」
自由。アドリーシャの心は、イルディオスが口にするこの言葉をうまく受け止められないでいる。
確かに、成人後もこの屋敷で暮らすならば、体面を整えた方が良いとは思っていた。
過保護なイルディオスがアドリーシャのためを思って、こうした提案をするのは予想の範疇内ではある。イルディオスは、アドリーシャが正式に家政と領地の仕事を担うようになると契約書を作り直したほどまっとうな人だから。
アドリーシャが素直に頷けないでいるのは、イルディオスが自分の命に執心していないからだ。
イルディオスは二十歳を越えるまで果実なしで耐えていた分、自分はいつ死んでもおかしくないと考えている。だから、アドリーシャに何でもくれようとする。至極当然だと言わんばかりに。
切なさと苛立ちとが入り交じって、アドリーシャの胸をざわめかせた。
「……流石に、頂きすぎだと思います」
「そんなことはない。果実は搾取されすぎだ。正当な報酬を受けるべきだと思う」
イルディオスのように考えてくれる力ある者が、いったいどれだけいるだろう?
そう思いながらも、アドリーシャは首を振る。
「どうして、ご自分がいなくなる前提でお話をされるのですか?」
「アドリーシャのお陰で、自分の死が近いと考えるようなことはなくなった。ただ、このところどうもイレンザがきな臭い。もし戦になったときの可能性を考えると、備えておくべきだと思ったんだ」
アドリーシャは、イルディオスが話をずらしたことに気づいた。
ここ数年、イレンザ公国からの干渉が強くなっているのは事実だが、政治的な事情がなくともイルディオスはアドリーシャを後継人にしようとしたはずだ。
アドリーシャに財産を残したいのなら、もっと単純な方法がある。結婚すればいいのだ。
なのに、イルディオスは初めからその可能性を排除している。それはそうだろう、イルディオスは今もなお心に忘れられない人を住まわせているのだから。
「少し、考えさせてください。成人の宴が終わったら決めますから」
「もちろんだ。君に俺の考えを押しつけるつもりはない。相続人になるのが嫌なら、それでいい。これまで通り一緒に暮らそう。断ったからと言って、君を放り出したりはしないから」
安心させるように微笑まれて、アドリーシャはぎこちなくはいと頷きを返す。そして、イルディオスが何か言いよどんでいることに気づいた。
逡巡していたイルディオスは、意を決したようにアドリーシャを見つめる。
「……もし嫌でなければ、君に好きな人や結婚したいと思う人ができたら教えてくれないか。俺にできうる限り力になると約束する」
アドリーシャは、ため息をつきそうになるのを堪えねばならなかった。遅れて、やっぱりという思いが透明な棘となって胸を柔らかく刺す。
イルディオスはアドリーシャを引き取ったばかりの頃、彼女を安心させようと思ってか、成人の宴の支度も結婚も世話するつもりだと言ってくれていた。この頃はあまり言われることがなくなったから、忘れてくれているものと思っていたのに。
五年前は、なんて誠実で高潔な人なのだろうと思った。でも、想いを自覚した今は少し違う。
学校に通い出してから嫌というほど味わってきた現実が、イルディオスが思うほどには世界が優しくはないと教えてくれたせいもある。
遣る瀬なさを飲み込んで、アドリーシャは微笑んだ。
「私のことを好きになるひとなんて、いません」
「そんなことはないだろう。誰だって、アドリーシャと接すれば好意を抱くはずだ」
一番好きになってほしい人でさえ、親愛以上の好意を示してはくれないのに?
こみ上げた悲しみをごまかすように、アドリーシャは首を振る。
「傍から見た私は、殿下の果実以外の何者でもありません。いったい誰が、純潔ではないとわかりきっている娘を欲しがるでしょう? 事実がどうであれ、大多数の人にとって私は淫乱でふしだらな果実です」
もし結婚できたとしても、アドリーシャはイルディオスの力を宥めるためにこの屋敷を訪問し続けるだろう。いくら王弟との縁故が得られるとはいえ、結婚後もイルディオスのもとへ通う果実を伴侶にしたがる貴族がいるとは思えない。世間体のために仮初めの結婚をした王弟の愛妾として噂されるのが落ちだ。
アドリーシャは、微かに目を見開いたイルディオスが傷ついたことがわかった。イルディオスは、アドリーシャが自分を軽く扱うことをひどく嫌がる人だから。
イルディオスが口を開きかけたとき、扉が叩かれた。
夕食の支度が整ったと告げるユニカの声に、イルディオスは曖昧に頷いた。物言いたげな視線を感じたが、イルディオスも今それ以上話を続ける気は無いようでアドリーシャは安堵する。
アドリーシャはイルディオスが気遣ってくれればくれるほどに、自分の想いが叶うはずもないことを突きつけられる。そのくせ、イルディオスの優しさにつけ込んで、想いを告げる勇気もないのに傍にいることを望んでしまってもいる。
(私は、殿下の優しさに見合わない……)
自嘲の苦さは夏の影のように色濃く尾を引いて、アドリーシャの胸を柔らかに苛んだ。
神殿を訪れた日は、いつもそうだ。イルディオスは何かを恐れているようにアドリーシャの手を離して、申し訳なさそうに眉を寄せる。
手に残るぬくもりを握りしめたアドリーシャは、いつものように何も気づいていないふりをして、イルディオスの机の横に置かれた自分の机へと向かう。
アドリーシャがイルディオスの仕事を手伝いたいと申し出たのは、この屋敷に来て間もない頃のことだった。当然、イルディオスはまだ幼いアドリーシャに仕事をさせることを拒んだ。
しかし、アドリーシャのために雇った家庭教師たちが口を揃えて教えることはないと言ったことで、考えを改めることになる。
イルディオスはアドリーシャに領地経営の仕事の手ほどきをしはじめると、職人を呼んで新しい机を誂えさせた。アドリーシャの身体に合わせた両袖の机は、凝り性なイルディオスが職人にあれこれと注文を付けて作らせたおかげで、装飾性もありながら実用的な造りをしている。
「領地から帳簿と事業報告書、嘆願書が届いています。一番気がかりなのは、春の終わりに降った長雨の影響による日照り不足ですね。土壌の加湿による生育の遅れと、病害虫の被害が出ているようです」
「先だっての報告では、生活が苦しくなるほどではないと聞いていたが、困ったな」
アドリーシャは、追肥の支援と、直接現地で必要な支援を見極めてある程度柔軟に対応できる裁量を持たせた者を遣わしてはどうかと提案する。既に人選まで済ませたと告げると、イルディオスは薄い唇を緩めた。
「それでいこう。生活支援はある程度その者の判断に委ねて、来年を見越して対策を練ろう」
ほっと肩の力を抜いたアドリーシャは、準備していた書類をイルディオスの前に並べた。
決裁を急ぐ案件を一通り相談し終えると、イルディオスから今日はこの辺にしようと告げられる。
はいと書類から顔を上げたアドリーシャは、まだ夕食まで時間があるのに気づいて瞬いた。小さく笑んだイルディオスは、鍵付きの抽出から紙挟みを取り出した。
「成人後の話をしておきたい。アドリーシャは成人の宴後もここで暮らしてくれるという話だったが、その気持ちは今も変わらないだろうか。来年の春には卒業だが、その後については考えているか?」
大学に進学してもいいし、事業を起こすのもいいと言われて、アドリーシャは曖昧に笑んだ。
将来について考える度に、アドリーシャの胸は重く塞がれる。
貴族の娘の順当な進路は、成人の宴後に解禁される婚約と結婚だ。婚約が決まれば、卒業することなく結婚する娘も少なくない。
イルディオスはこれまでにもそれとなく進学を勧めてくれていたが、有り難いと思いながらも気は進まなかった。ただでさえ、果実としては過ぎた待遇を受けているのだ。
「これは一つの提案だ。急な話だと思うが、検討してもらえると嬉しい」
目の前に差し出されたのは、イルディオスの相続人を指名するための書類だった。相続人欄にアドリーシャの名が綴られているだけでなく、既にユーゴウスの署名まで記されている。
もしかしなくとも、国王夫妻の来訪はこのためでもあったのだろう。
「後継者がいないまま死んだ場合、俺の財産は王家の所有となる。相続人が王家の血を引かない場合、一部は返還しなければならないが、それでも不自由ない生活が送れるだろう。悪くない条件だと思う。相続人であればこのままこの屋敷で暮らす名分も立つし、君の自由も保たれる」
自由。アドリーシャの心は、イルディオスが口にするこの言葉をうまく受け止められないでいる。
確かに、成人後もこの屋敷で暮らすならば、体面を整えた方が良いとは思っていた。
過保護なイルディオスがアドリーシャのためを思って、こうした提案をするのは予想の範疇内ではある。イルディオスは、アドリーシャが正式に家政と領地の仕事を担うようになると契約書を作り直したほどまっとうな人だから。
アドリーシャが素直に頷けないでいるのは、イルディオスが自分の命に執心していないからだ。
イルディオスは二十歳を越えるまで果実なしで耐えていた分、自分はいつ死んでもおかしくないと考えている。だから、アドリーシャに何でもくれようとする。至極当然だと言わんばかりに。
切なさと苛立ちとが入り交じって、アドリーシャの胸をざわめかせた。
「……流石に、頂きすぎだと思います」
「そんなことはない。果実は搾取されすぎだ。正当な報酬を受けるべきだと思う」
イルディオスのように考えてくれる力ある者が、いったいどれだけいるだろう?
そう思いながらも、アドリーシャは首を振る。
「どうして、ご自分がいなくなる前提でお話をされるのですか?」
「アドリーシャのお陰で、自分の死が近いと考えるようなことはなくなった。ただ、このところどうもイレンザがきな臭い。もし戦になったときの可能性を考えると、備えておくべきだと思ったんだ」
アドリーシャは、イルディオスが話をずらしたことに気づいた。
ここ数年、イレンザ公国からの干渉が強くなっているのは事実だが、政治的な事情がなくともイルディオスはアドリーシャを後継人にしようとしたはずだ。
アドリーシャに財産を残したいのなら、もっと単純な方法がある。結婚すればいいのだ。
なのに、イルディオスは初めからその可能性を排除している。それはそうだろう、イルディオスは今もなお心に忘れられない人を住まわせているのだから。
「少し、考えさせてください。成人の宴が終わったら決めますから」
「もちろんだ。君に俺の考えを押しつけるつもりはない。相続人になるのが嫌なら、それでいい。これまで通り一緒に暮らそう。断ったからと言って、君を放り出したりはしないから」
安心させるように微笑まれて、アドリーシャはぎこちなくはいと頷きを返す。そして、イルディオスが何か言いよどんでいることに気づいた。
逡巡していたイルディオスは、意を決したようにアドリーシャを見つめる。
「……もし嫌でなければ、君に好きな人や結婚したいと思う人ができたら教えてくれないか。俺にできうる限り力になると約束する」
アドリーシャは、ため息をつきそうになるのを堪えねばならなかった。遅れて、やっぱりという思いが透明な棘となって胸を柔らかく刺す。
イルディオスはアドリーシャを引き取ったばかりの頃、彼女を安心させようと思ってか、成人の宴の支度も結婚も世話するつもりだと言ってくれていた。この頃はあまり言われることがなくなったから、忘れてくれているものと思っていたのに。
五年前は、なんて誠実で高潔な人なのだろうと思った。でも、想いを自覚した今は少し違う。
学校に通い出してから嫌というほど味わってきた現実が、イルディオスが思うほどには世界が優しくはないと教えてくれたせいもある。
遣る瀬なさを飲み込んで、アドリーシャは微笑んだ。
「私のことを好きになるひとなんて、いません」
「そんなことはないだろう。誰だって、アドリーシャと接すれば好意を抱くはずだ」
一番好きになってほしい人でさえ、親愛以上の好意を示してはくれないのに?
こみ上げた悲しみをごまかすように、アドリーシャは首を振る。
「傍から見た私は、殿下の果実以外の何者でもありません。いったい誰が、純潔ではないとわかりきっている娘を欲しがるでしょう? 事実がどうであれ、大多数の人にとって私は淫乱でふしだらな果実です」
もし結婚できたとしても、アドリーシャはイルディオスの力を宥めるためにこの屋敷を訪問し続けるだろう。いくら王弟との縁故が得られるとはいえ、結婚後もイルディオスのもとへ通う果実を伴侶にしたがる貴族がいるとは思えない。世間体のために仮初めの結婚をした王弟の愛妾として噂されるのが落ちだ。
アドリーシャは、微かに目を見開いたイルディオスが傷ついたことがわかった。イルディオスは、アドリーシャが自分を軽く扱うことをひどく嫌がる人だから。
イルディオスが口を開きかけたとき、扉が叩かれた。
夕食の支度が整ったと告げるユニカの声に、イルディオスは曖昧に頷いた。物言いたげな視線を感じたが、イルディオスも今それ以上話を続ける気は無いようでアドリーシャは安堵する。
アドリーシャはイルディオスが気遣ってくれればくれるほどに、自分の想いが叶うはずもないことを突きつけられる。そのくせ、イルディオスの優しさにつけ込んで、想いを告げる勇気もないのに傍にいることを望んでしまってもいる。
(私は、殿下の優しさに見合わない……)
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