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偽りの姫は約束について聞かされる 1
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……遠い夢を見ている。
リリーシャが、まだ無邪気にリガードに大好きと言えた頃の夢だ。
リガードは、幼いながらによく出来た王子様だった。
彼は幼くして、肖像画の中で微笑む母の命を自分が奪ったことも、母の死を父がさほど悲しんでいないことも承知していた。だから、リガードはリリーシャの置かれた境遇にも理解を示した。
「リリーシャはお母上のことが大好きだね。でも、さみしかっただろう。父も君のお母上も、夢に生きておられるから。いまは、お二人での時間を大切にしてさしあげよう。お母上には敵わないだろうが、その分僕がリリーシャの傍にいる」
リガードが言うように、リリーシャはずっと密かに寂しかった。
お城に来る少し前まで、リリーシャにとって太陽である母は夫に暴力を受けていて、美しい身体にはいたるところに傷や痣があった。母はリリーシャを愛してくれたが、当然のように自分を後妻に迎えた男を夫だとは思っていなかった。
――わたくしの王子様は、あの方だけ。わたくしの心に住まわせていいのはあの方ただ一人だけなのよ、リリーシャ。賢いあなたならよくわかるでしょう?
リリーシャの髪を撫でながら、母はくり返し物語るように王子様との思い出を語り聞かせたものだった。
その様子は、嫁いだ家の使用人からしばしば嘲りを受けていた。気が狂っていると言う者もいて、せめてリリーシャだけはまともに育つようにと忠告する者もいた。
でも、母はどんなに撲たれて乱暴に身体を貫かれたとしても、御伽噺にしがみついて決して離そうとはしなかった。
老齢の夫が娼婦に乗っかったまま死んだという報せが届けられたとき、母は鞭打たれて傷だらけの裸身を寝台に埋めて失神していた。
泣きながら母の手当をしていたリリーシャは、遺された後妻の悲惨な有様に絶句する使用人たちの視線を一身に集めて、ぽつりと呟いた。おかあさまが、しんじゃう。
慌てて呼ばれた医師によって一命をとりとめた母は、夫が死んだと聞かされて瞬いた。そしてリリーシャの顔を見つめてその話が本当だと悟ると、細く声をあげて一度だけ笑った。
その場にいた誰も、母を責めなかった。それどころか、母を憐れんで伝手をたどり、密かに王のもとに文を届けさせたのだ。
ひどく痛々しい目に遭っていながらも、母は不思議と美しさを損なってなかった。
四肢に欠けたところは一つもなく、拳や鞭に打擲されることがなくなった肌は輝きを取り戻した。
これならば、まだ王のお情けも得られるだろう。王も妃を亡くしてから独り身でいらっしゃる、お慰めが必要だ。人々がそう考えたのだろうことは想像に難くない。
それに、後妻とほとんど年の変わらぬ長男が後を継いだ伯爵家にとって、罪人を親に持つ未亡人と小さな子どもは邪魔だった。
小さなリリーシャには、一つだけ自分だけが知っている秘密があった。
母は、リリーシャの前で夫が愛用する煙草入れの蓋を開けたことがある。
ぱちり、ぱちん。暗がりでつやつやと輝く銀製のそれは、美しい母の手元で二度啼いた。まるで可憐な小鳥のように。
腹上死した母の夫は――リリーシャの父でもあるその人は、媚薬の過剰摂取によって過度の興奮状態に陥り、老いた心臓に負担がかかって死んだと診察された。
その媚薬は、色狂いの父が使用人たちに常備させていたものであり、娼婦もまた父が自ら煙草とともに服用して効果を高めていたと証言した。
屋敷には、リリーシャのほかに母の秘密を知っている者はいないだろう。誰も母を疑わなかった。だって、あんなに痛めつけられて命の危機に瀕していたのだ。人々の目に、美しい母は年の離れた夫に嬲られた可哀相なお人形としてしか映らなかった。
幼いリリーシャにとって、優しい声をかけて頭を撫でてくれたのは母だけだった。
それを依存と言うのは簡単だ。でも、どうして愛さずにいられただろう。この世に生まれ落ちてより、ずっとリリーシャの味方は母しかいなかった。……王子様と出会うまでは。
「お母様は、陛下と一緒にいられて幸せそうだもの。だから、リリーシャはいいのです」
果たして、この王子様は母の秘密に気づいているのだろうか。知っていたとしても、別におかしくはない。ただ、秘密を守ってくれるのならばそれでいい。
リリーシャがじっと見つめた先で、リガードは静かに微笑んだ。諦めることを知っている子供の笑みだった。そういう意味で、ふたりはよく似ていたのだと思う。その日から、ふたりは共犯者になった。たったふたりだけの、共犯者。
本当ならばずっと前に訪れていたはずの蜜月を楽しむ親たちが一頻り満足するまでの間、当然のようにリリーシャとリガードは放って置かれた。
時折、思い出したかのように王様からの遣いが送られて来て、仲良く肩を並べて勉学に励むふたりの様子を報告させた。
リガードはリリーシャが読み書きが出来、五つにしては礼儀作法を覚えていることに驚いて、それからとても喜んだ。リガードはことあるごとに褒めてくれたので、リリーシャは誇らしかった。母は、寝台に沈んでいないときはリリーシャの教育に熱心だったのだ。
リガードは、幼いながら勤勉な王子様だった。
リガードの唯一の我が儘は、新しく出来た妹を全ての勉学の場に帯同させることだった。王様がそれを許可したこともあって、リリーシャは乾いた土が水を吸うように知識を得ていった。
しばらくの間リリーシャに注がれるまなざしは厳しいものだったが、初めは教師たちが、次いで女官がといったふうに、リガードが可愛がる「妹」はガネージュの城でも渋々ながら受け容れられていった。
単純に、リリーシャが美しい子供だったせいもある。大人は、美しく聡い子供にあまりひどいことはできないものなのだ。そう教えてくれたのも、リガードだった。
「リリーシャ。僕の腕が届く限り、君を守ってあげよう。でも、君は自分の武器を見つけなければ。勉学も作法も、その生まれ持った可愛らしさも。鋭く磨いて、でも武器だと悟られないようにね」
お城で暮らすようになって一年が経つ頃には、リリーシャはすっかり「お兄様」のことが大好きな妹になっていた。
思えば、その頃が一番幸せだったかもしれない。
罪人の娘である母は正妃の座に就くことはなかったが、王様は恋うた女を手に入れて満たされたことで、いっそう政務に励んだ。賢い王太子は武にも優れた才を発揮して、城は常に笑い声に満ちていた。リガードの言いつけでリリーシャが貴族の通う学校に入れられることになってさんざん駄々をこねたときも、あたたかく見つめられていたように思う。
……だが、リリーシャが初潮を迎えると人々の目は途端に厳しくなった。
リリーシャが気持ちを自覚する前に、城の人々は日に日に懸念を募らせていったのだ。
王太子の身辺が綺麗すぎたのも一因だったが、リリーシャが否応なしに男の目を惹きつける娘だったからだろう。リリーシャの身体が娘らしい丸みを帯びていくと、直接注意を受けるようになった。ほんとうの姫ではないのですから、弁えなくてはなりません、と。
リリーシャが、まだ無邪気にリガードに大好きと言えた頃の夢だ。
リガードは、幼いながらによく出来た王子様だった。
彼は幼くして、肖像画の中で微笑む母の命を自分が奪ったことも、母の死を父がさほど悲しんでいないことも承知していた。だから、リガードはリリーシャの置かれた境遇にも理解を示した。
「リリーシャはお母上のことが大好きだね。でも、さみしかっただろう。父も君のお母上も、夢に生きておられるから。いまは、お二人での時間を大切にしてさしあげよう。お母上には敵わないだろうが、その分僕がリリーシャの傍にいる」
リガードが言うように、リリーシャはずっと密かに寂しかった。
お城に来る少し前まで、リリーシャにとって太陽である母は夫に暴力を受けていて、美しい身体にはいたるところに傷や痣があった。母はリリーシャを愛してくれたが、当然のように自分を後妻に迎えた男を夫だとは思っていなかった。
――わたくしの王子様は、あの方だけ。わたくしの心に住まわせていいのはあの方ただ一人だけなのよ、リリーシャ。賢いあなたならよくわかるでしょう?
リリーシャの髪を撫でながら、母はくり返し物語るように王子様との思い出を語り聞かせたものだった。
その様子は、嫁いだ家の使用人からしばしば嘲りを受けていた。気が狂っていると言う者もいて、せめてリリーシャだけはまともに育つようにと忠告する者もいた。
でも、母はどんなに撲たれて乱暴に身体を貫かれたとしても、御伽噺にしがみついて決して離そうとはしなかった。
老齢の夫が娼婦に乗っかったまま死んだという報せが届けられたとき、母は鞭打たれて傷だらけの裸身を寝台に埋めて失神していた。
泣きながら母の手当をしていたリリーシャは、遺された後妻の悲惨な有様に絶句する使用人たちの視線を一身に集めて、ぽつりと呟いた。おかあさまが、しんじゃう。
慌てて呼ばれた医師によって一命をとりとめた母は、夫が死んだと聞かされて瞬いた。そしてリリーシャの顔を見つめてその話が本当だと悟ると、細く声をあげて一度だけ笑った。
その場にいた誰も、母を責めなかった。それどころか、母を憐れんで伝手をたどり、密かに王のもとに文を届けさせたのだ。
ひどく痛々しい目に遭っていながらも、母は不思議と美しさを損なってなかった。
四肢に欠けたところは一つもなく、拳や鞭に打擲されることがなくなった肌は輝きを取り戻した。
これならば、まだ王のお情けも得られるだろう。王も妃を亡くしてから独り身でいらっしゃる、お慰めが必要だ。人々がそう考えたのだろうことは想像に難くない。
それに、後妻とほとんど年の変わらぬ長男が後を継いだ伯爵家にとって、罪人を親に持つ未亡人と小さな子どもは邪魔だった。
小さなリリーシャには、一つだけ自分だけが知っている秘密があった。
母は、リリーシャの前で夫が愛用する煙草入れの蓋を開けたことがある。
ぱちり、ぱちん。暗がりでつやつやと輝く銀製のそれは、美しい母の手元で二度啼いた。まるで可憐な小鳥のように。
腹上死した母の夫は――リリーシャの父でもあるその人は、媚薬の過剰摂取によって過度の興奮状態に陥り、老いた心臓に負担がかかって死んだと診察された。
その媚薬は、色狂いの父が使用人たちに常備させていたものであり、娼婦もまた父が自ら煙草とともに服用して効果を高めていたと証言した。
屋敷には、リリーシャのほかに母の秘密を知っている者はいないだろう。誰も母を疑わなかった。だって、あんなに痛めつけられて命の危機に瀕していたのだ。人々の目に、美しい母は年の離れた夫に嬲られた可哀相なお人形としてしか映らなかった。
幼いリリーシャにとって、優しい声をかけて頭を撫でてくれたのは母だけだった。
それを依存と言うのは簡単だ。でも、どうして愛さずにいられただろう。この世に生まれ落ちてより、ずっとリリーシャの味方は母しかいなかった。……王子様と出会うまでは。
「お母様は、陛下と一緒にいられて幸せそうだもの。だから、リリーシャはいいのです」
果たして、この王子様は母の秘密に気づいているのだろうか。知っていたとしても、別におかしくはない。ただ、秘密を守ってくれるのならばそれでいい。
リリーシャがじっと見つめた先で、リガードは静かに微笑んだ。諦めることを知っている子供の笑みだった。そういう意味で、ふたりはよく似ていたのだと思う。その日から、ふたりは共犯者になった。たったふたりだけの、共犯者。
本当ならばずっと前に訪れていたはずの蜜月を楽しむ親たちが一頻り満足するまでの間、当然のようにリリーシャとリガードは放って置かれた。
時折、思い出したかのように王様からの遣いが送られて来て、仲良く肩を並べて勉学に励むふたりの様子を報告させた。
リガードはリリーシャが読み書きが出来、五つにしては礼儀作法を覚えていることに驚いて、それからとても喜んだ。リガードはことあるごとに褒めてくれたので、リリーシャは誇らしかった。母は、寝台に沈んでいないときはリリーシャの教育に熱心だったのだ。
リガードは、幼いながら勤勉な王子様だった。
リガードの唯一の我が儘は、新しく出来た妹を全ての勉学の場に帯同させることだった。王様がそれを許可したこともあって、リリーシャは乾いた土が水を吸うように知識を得ていった。
しばらくの間リリーシャに注がれるまなざしは厳しいものだったが、初めは教師たちが、次いで女官がといったふうに、リガードが可愛がる「妹」はガネージュの城でも渋々ながら受け容れられていった。
単純に、リリーシャが美しい子供だったせいもある。大人は、美しく聡い子供にあまりひどいことはできないものなのだ。そう教えてくれたのも、リガードだった。
「リリーシャ。僕の腕が届く限り、君を守ってあげよう。でも、君は自分の武器を見つけなければ。勉学も作法も、その生まれ持った可愛らしさも。鋭く磨いて、でも武器だと悟られないようにね」
お城で暮らすようになって一年が経つ頃には、リリーシャはすっかり「お兄様」のことが大好きな妹になっていた。
思えば、その頃が一番幸せだったかもしれない。
罪人の娘である母は正妃の座に就くことはなかったが、王様は恋うた女を手に入れて満たされたことで、いっそう政務に励んだ。賢い王太子は武にも優れた才を発揮して、城は常に笑い声に満ちていた。リガードの言いつけでリリーシャが貴族の通う学校に入れられることになってさんざん駄々をこねたときも、あたたかく見つめられていたように思う。
……だが、リリーシャが初潮を迎えると人々の目は途端に厳しくなった。
リリーシャが気持ちを自覚する前に、城の人々は日に日に懸念を募らせていったのだ。
王太子の身辺が綺麗すぎたのも一因だったが、リリーシャが否応なしに男の目を惹きつける娘だったからだろう。リリーシャの身体が娘らしい丸みを帯びていくと、直接注意を受けるようになった。ほんとうの姫ではないのですから、弁えなくてはなりません、と。
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