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96 夏と鷲獅子
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翌朝、僕は自らの身体にのし掛かる重みと獣臭い息づかいを感じて目を覚ました。
「んおおっ!?」
「キュッ!? キュクッ、キューッ!」
「アオちゃんダメだってっ、相手は怪我をしているんだよっ!」
僕の奇声で飛び起きたアオちゃんがグリフォンにのし掛かられている僕を見て襲われていると勘違いしたのか、グリフォンに向かって牙を剥き出しにして魔法のミサイルを放とうとしたので僕は慌ててアオちゃんに制止の声をかけた。
僕が起きたのを確認すると包帯を全身に巻かれたグリフォンはソロソロと僕の上から身体を退けてゆっくりと腰を降ろした。
その仕草は傷が引き連れて痛いのかすこしだけぎこちがなかった。
やがて僕の胡座に挟まれてアオちゃんが落ち着くとグリフォンがちいさな声で言葉をかけてきた。
「きのう、わたしをたすけてくれたおんなのひと、つかれてねむってしまった、やすませてあげて」
「ああ、うん、わかったよ」
「キミしゃべれるんだ」とか「身体の調子はどう?」だとか尋ねたいことは多かったけれども確かにグリフォンの言う通りゆまは姉ちゃんを休ませてあげた方がいい。
僕は崩れるみたいな変な体勢で眠っているゆまは姉ちゃんを起こし仰向けにすると自分に掛けられていたブンブンの布で織ったシーツをゆまは姉ちゃんに掛ける。そうして改めて部屋の端っこで香箱座りをしているグリフォンに向き直った。
「体調の方はどう? 見たところかなり回復した様子に見えるけれども」
「きず、ひきつれていたい、ほうたいもきゅうくつでうごきづらい、はずしてほしい」
「ん、ちょっと待って、傷の治り具合も見たいから外すよ。しばらくおとなしくしててね」
僕はグリフォンの側まで行って全身に巻かれている包帯をほどきはじめた。
驚いたことに傷は既に塞がっていて新しい肉が盛り上がり始めている。これがグリフォンの回復力に由来するものなのか、それともトロール秘伝のマリモアのお酒の効能なのかはわからないけれども、驚異的な回復であることには違いがない。
「ちょっと染みるかも、我慢してね」
「……うん」
赤黒い血を拭き取りピンク色をした肉にマリモアのお酒を含ませたガーゼを乗せてもう一度包帯を巻いてゆく。
僕が傷口の処置をしている間もグリフォンはチラチラと眠っているゆまは姉ちゃんを盗み見ている。
「ゆまは姉ちゃんのこと気になるの?」
巻いた包帯が解けないように縛りながらそうグリフォンに問うと「……ゆまは」とちいさく呟いた。
「そうゆまは、僕の従姉妹にあたるヒトでね、ドラゴンのアオちゃんと一緒にこっちの世界に流されてきちゃったんだ。
あ、僕らは本当は別な世界に住んでいたんだけれどね、僕らの世界にキマイラって幻獣が現れて戦っている最中に流されたんだよ。で、ヨウタロウさんってカイチの幻獣の紹介でこのトロール族の集落でお世話になってるんだ」
色々と一気に話しすぎただろうか? けどこのグリフォンは話せはしてもあんまりおしゃべりな性分じゃないらしくって一向に自分から話そうとしないんだもん。つい沈黙に耐えられずに口を開いてしまうんだ。
これならば言葉こそ話せなくてもシャノンの方がよっぽどおしゃべりなくらいだ。
グリフォンは僕の言葉の気になる部分を繰り返して口にするけれども、そこから感じたであろう疑問を訊いてこない。
「……ドラゴン」
「……べつなせかい?」
「……キマイラ」
「……カイチの、ヨウタロウサン?」
って具合にさ。
けどそんなグリフォンがことさらに関心を向けて問い掛けてくる質問があった。それは……
「ゆまは、ゆまははエルフなの? それともドワーフ? みみがとがっていないのにスラッとしてしんちょうがたかい、けどエルフよりもおっきいむねしている。へんなしゅぞく、じゅうじんみたいだけれどもケモノのみみでもない。あなたたちはなんてしゅぞくなの?」
それはゆまは姉ちゃんについての質問。
「んー、僕たちが元居た世界には僕たちの種類しかヒトが存在していなくってね、ただ単に『人間』とか『人類』って呼んでいたよ」
「じゃぁゆまははエルフじゃないのね?」
「そうだね、エルフじゃなくって人間かな? 僕もゆまは姉ちゃんもエルフって話に聞いただけで見たことがないんだけれどもしかしてその傷ってエルフたちにやられたの?」
「……エルフ、こわい」
「……そっか」
どうやらぐり傷はエルフによってつけられたらしい。だったら恐ろしい記憶を思い出さないようにエルフに関しての話題は避けたほうがいいかも知れないな。
「ん、んんっ、いつの間にか寝ちゃってたわ。ナッちゃん? グリフォンの体調はどう?」
おしゃべりを(おもに僕から一方的にだけど)しながらも包帯を巻き終えたところでゆまは姉ちゃんが目を覚ました。
「ッ!」
僕が「おはよう」って声を掛けるよりも先に包帯を巻き終えたグリフォンがサッと立ち上がって僕を突き飛ばしゆまは姉ちゃんの方へと走り寄っていった。
「おはようございますっゆまはおねえさまっ、ゆまはおねえさまのけんしんてきなかんごのおかげでわたしすっかりげんきになりましたっ!」
一気呵成に感謝を告げて親愛の表現なのかゆまは姉ちゃんの身体にのし掛かりその顔をベロベロと舐めあげるグリフォン。
それはグリフォンって言うよりも大型の犬がご主人様に甘えている様で端から目にしている分には微笑ましい光景だけれど起き抜けにいきなりやられたのゆまは姉ちゃんにとっては迷惑きまわりない行為だったんだろう。
「はぷっ!? え、なに? お姉様っぷ!? ちょ、やめっ、ナッちゃ、止めさせっ、うっぷ」
手足をバタつかせ拘束を逃れようとするゆまは姉ちゃん。それに気つかずに一心不乱に感謝を行為で示そうとするグリフォン。
「ちょ、グリフォン、すこし落ち着こうよっ」
「キューッ!」
僕とアオちゃんはゆまは姉ちゃんに覆い被さるグリフォンの身体を引っ張ってゆまは姉ちゃんから引き離す。
グリフォンのヨダレでベタベタになった顔をシーツで拭うゆまは姉ちゃん。すこしだけ落ち着いたのかグリフォンはキラキラとした瞳でゆまは姉ちゃんの行動を見守っている。
腰を降ろしたまま尻尾を忙しなく振るう仕草はまさしく忠犬そのものだった。
やがてシーツで顔を拭き終えたゆまは姉ちゃんはそのシーツを丁寧に畳んで立ち上がる。
そしてサッと指をグリフォンに突き出して言ったんだ。
「グリフォンッ伏せっ!」
「ワンッ♪」
いや、「ワンッ♪」じゃないでしょう、キミ犬じゃなくってグリフォンでしょう!?
「んおおっ!?」
「キュッ!? キュクッ、キューッ!」
「アオちゃんダメだってっ、相手は怪我をしているんだよっ!」
僕の奇声で飛び起きたアオちゃんがグリフォンにのし掛かられている僕を見て襲われていると勘違いしたのか、グリフォンに向かって牙を剥き出しにして魔法のミサイルを放とうとしたので僕は慌ててアオちゃんに制止の声をかけた。
僕が起きたのを確認すると包帯を全身に巻かれたグリフォンはソロソロと僕の上から身体を退けてゆっくりと腰を降ろした。
その仕草は傷が引き連れて痛いのかすこしだけぎこちがなかった。
やがて僕の胡座に挟まれてアオちゃんが落ち着くとグリフォンがちいさな声で言葉をかけてきた。
「きのう、わたしをたすけてくれたおんなのひと、つかれてねむってしまった、やすませてあげて」
「ああ、うん、わかったよ」
「キミしゃべれるんだ」とか「身体の調子はどう?」だとか尋ねたいことは多かったけれども確かにグリフォンの言う通りゆまは姉ちゃんを休ませてあげた方がいい。
僕は崩れるみたいな変な体勢で眠っているゆまは姉ちゃんを起こし仰向けにすると自分に掛けられていたブンブンの布で織ったシーツをゆまは姉ちゃんに掛ける。そうして改めて部屋の端っこで香箱座りをしているグリフォンに向き直った。
「体調の方はどう? 見たところかなり回復した様子に見えるけれども」
「きず、ひきつれていたい、ほうたいもきゅうくつでうごきづらい、はずしてほしい」
「ん、ちょっと待って、傷の治り具合も見たいから外すよ。しばらくおとなしくしててね」
僕はグリフォンの側まで行って全身に巻かれている包帯をほどきはじめた。
驚いたことに傷は既に塞がっていて新しい肉が盛り上がり始めている。これがグリフォンの回復力に由来するものなのか、それともトロール秘伝のマリモアのお酒の効能なのかはわからないけれども、驚異的な回復であることには違いがない。
「ちょっと染みるかも、我慢してね」
「……うん」
赤黒い血を拭き取りピンク色をした肉にマリモアのお酒を含ませたガーゼを乗せてもう一度包帯を巻いてゆく。
僕が傷口の処置をしている間もグリフォンはチラチラと眠っているゆまは姉ちゃんを盗み見ている。
「ゆまは姉ちゃんのこと気になるの?」
巻いた包帯が解けないように縛りながらそうグリフォンに問うと「……ゆまは」とちいさく呟いた。
「そうゆまは、僕の従姉妹にあたるヒトでね、ドラゴンのアオちゃんと一緒にこっちの世界に流されてきちゃったんだ。
あ、僕らは本当は別な世界に住んでいたんだけれどね、僕らの世界にキマイラって幻獣が現れて戦っている最中に流されたんだよ。で、ヨウタロウさんってカイチの幻獣の紹介でこのトロール族の集落でお世話になってるんだ」
色々と一気に話しすぎただろうか? けどこのグリフォンは話せはしてもあんまりおしゃべりな性分じゃないらしくって一向に自分から話そうとしないんだもん。つい沈黙に耐えられずに口を開いてしまうんだ。
これならば言葉こそ話せなくてもシャノンの方がよっぽどおしゃべりなくらいだ。
グリフォンは僕の言葉の気になる部分を繰り返して口にするけれども、そこから感じたであろう疑問を訊いてこない。
「……ドラゴン」
「……べつなせかい?」
「……キマイラ」
「……カイチの、ヨウタロウサン?」
って具合にさ。
けどそんなグリフォンがことさらに関心を向けて問い掛けてくる質問があった。それは……
「ゆまは、ゆまははエルフなの? それともドワーフ? みみがとがっていないのにスラッとしてしんちょうがたかい、けどエルフよりもおっきいむねしている。へんなしゅぞく、じゅうじんみたいだけれどもケモノのみみでもない。あなたたちはなんてしゅぞくなの?」
それはゆまは姉ちゃんについての質問。
「んー、僕たちが元居た世界には僕たちの種類しかヒトが存在していなくってね、ただ単に『人間』とか『人類』って呼んでいたよ」
「じゃぁゆまははエルフじゃないのね?」
「そうだね、エルフじゃなくって人間かな? 僕もゆまは姉ちゃんもエルフって話に聞いただけで見たことがないんだけれどもしかしてその傷ってエルフたちにやられたの?」
「……エルフ、こわい」
「……そっか」
どうやらぐり傷はエルフによってつけられたらしい。だったら恐ろしい記憶を思い出さないようにエルフに関しての話題は避けたほうがいいかも知れないな。
「ん、んんっ、いつの間にか寝ちゃってたわ。ナッちゃん? グリフォンの体調はどう?」
おしゃべりを(おもに僕から一方的にだけど)しながらも包帯を巻き終えたところでゆまは姉ちゃんが目を覚ました。
「ッ!」
僕が「おはよう」って声を掛けるよりも先に包帯を巻き終えたグリフォンがサッと立ち上がって僕を突き飛ばしゆまは姉ちゃんの方へと走り寄っていった。
「おはようございますっゆまはおねえさまっ、ゆまはおねえさまのけんしんてきなかんごのおかげでわたしすっかりげんきになりましたっ!」
一気呵成に感謝を告げて親愛の表現なのかゆまは姉ちゃんの身体にのし掛かりその顔をベロベロと舐めあげるグリフォン。
それはグリフォンって言うよりも大型の犬がご主人様に甘えている様で端から目にしている分には微笑ましい光景だけれど起き抜けにいきなりやられたのゆまは姉ちゃんにとっては迷惑きまわりない行為だったんだろう。
「はぷっ!? え、なに? お姉様っぷ!? ちょ、やめっ、ナッちゃ、止めさせっ、うっぷ」
手足をバタつかせ拘束を逃れようとするゆまは姉ちゃん。それに気つかずに一心不乱に感謝を行為で示そうとするグリフォン。
「ちょ、グリフォン、すこし落ち着こうよっ」
「キューッ!」
僕とアオちゃんはゆまは姉ちゃんに覆い被さるグリフォンの身体を引っ張ってゆまは姉ちゃんから引き離す。
グリフォンのヨダレでベタベタになった顔をシーツで拭うゆまは姉ちゃん。すこしだけ落ち着いたのかグリフォンはキラキラとした瞳でゆまは姉ちゃんの行動を見守っている。
腰を降ろしたまま尻尾を忙しなく振るう仕草はまさしく忠犬そのものだった。
やがてシーツで顔を拭き終えたゆまは姉ちゃんはそのシーツを丁寧に畳んで立ち上がる。
そしてサッと指をグリフォンに突き出して言ったんだ。
「グリフォンッ伏せっ!」
「ワンッ♪」
いや、「ワンッ♪」じゃないでしょう、キミ犬じゃなくってグリフォンでしょう!?
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