魔王軍のお荷物〈最弱クズ魔族は〉巨乳女騎士を助けたら裏切ったと勘違いされ、難攻不落の魔王城から脱出するために〈魔王様を出し抜くようです〉

舎人二阿木

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◇◇◇ 【第二章】魔法使いと時間の杭 ◇◇◇

天才剛毛ロリ童女を添えて~助けてアルマ君、もあるよっ!

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 ◇ ◇ ◇


「「ぎゃあああああああ!!」」
「ちょっ! ふ、二人とも余り引っ付かないで下さいっす! あっ、ちょっ! あんたどこ触ってるんすか!!」
「前見ろ! まえまえ!!」
「へ? あっああああああ!! ≪呪刑・蠱(ムシ)!!≫」

 街での戦闘は、それはもうさんざんだった。
 リリィは怪我を恐れて逃げ惑い、俺はそんなリリィを囮にしながら何とかオークをやり過ごし、リリィの後輩であるアルマに二人して泣きつき辺りのオークを倒してもらう始末。

「リリィさん! 攻撃魔法が使えないって、どういう意味っすか!?」
「うっ…そのままだよ、私は<体質>のせいで攻撃魔法が使えないんだ」
「そんな体質、聞いたこと――、避けてください!!」

 アルマはオークを躱しながら撃退していたが、俺たちを庇いながら戦うのは相当戦いにくいようで、徐々に疲弊していった。

「やばいっすよ! と、とにかく、えーとなんだ、何をしなきゃいけないんっすか!?」
「お、落ち着きたまえアルマ君、とにかく現状を打開する方法は…えーーーっと?」

 お前もか。とにかくこのポンコツ共は置いておいて、この惨事だ。
 ――――そろそろずらかるか?
 正直、あの牢屋からは出れた、街はそこそこの惨事で、看守は地面でおねんね中、今俺を止められるのはこのアルマとか言うローブの女のみ、そいつもオークを利用すれば逃げられそうだが…、んー。
 やめておくか。
 確かに今コイツ等をまくのはチョロイが、逃げた先でオークに殺されたら意味ねー、どの程度オークが居るか分からねェ状態で動くのは止めておいた方がいいだろう、それにココが何処で、次の街はどのくらいの距離にあるのかも分かんねーんじゃこの先の計画の立てようがない。
 まあ大きな理由はこの辺か…、それに、この計画の作戦目標は<この街に受け入れられること>だ。
 俺の今の立場を冷静になって振り返ると…魔王を出し抜き魔王軍を抜け、未知の人間界へと逃れたが、今度はその人間界でもお尋ね者になろうとしている状態だ。あのダイナミック入国さえなければこんなことには――! いや今はそんなこと言ってる場合じゃねー…そうだ、まずい立場なんだ、ココは穏便に正攻法で何とか切り抜けるが吉、だろ。

「うわああああ! また来た! ア、アルマ君! アルマくーーーーん!!」
「ちょっ! ローブを引っ張らないで欲しいっす! はあはあ、このっ<呪刑・蠱(ムシ)!>」
「おい、馬鹿ども、このままじゃ疲弊して四人ともお陀仏だ」
「分かってるっすけど、どどどどうすれば」
「おいアルマ、このオークどもは何処から侵入した?」
「この先の東門の辺りからだと思うっすけど…」
「よしっ、そこまで俺とこのチンチクリンを連れていけ!」
「ちっ! チンチクリン! この私がチンチクリンだと!?」

 俺にチンチクリン呼ばわりされたリリィは喰ってかかるが、それを軽くいなしながら、俺たちは全速力で東門へと向かう。
 街の端、東門と思われる外と、この街をつなぐアーチ状の建造物は、辺りの建物の残骸と合わさって痛ましい様相を見せていた。そんな門の入り口付近へ、今まさにこの街へ足を踏み入れた一匹のオークを俺は確認すると、街の物陰で俺と共に様子を見ていたアルマとリリィを引っ張り、そのオークの前に出る。穏便に正攻法で、俺のやるべきこと。一匹の、ひと際大きく、肩と頬にざっくりと刻まれた刀傷が厳しいその、隊長と思われるオークの前に。
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