魔王軍のお荷物〈最弱クズ魔族は〉巨乳女騎士を助けたら裏切ったと勘違いされ、難攻不落の魔王城から脱出するために〈魔王様を出し抜くようです〉

舎人二阿木

文字の大きさ
上 下
42 / 80
◇◇◇ 【第二章】魔法使いと時間の杭 ◇◇◇

天才剛毛ロリ童女を添えて~【バトル】リリィの実力、もあるよっ!

しおりを挟む



 そんなことを考えていると、目の前の家々に魔物が集り、ことごとく壁や人を襲い破壊している姿を目撃した。獣人族(オーク)魔王城にも沢山この手のヤツが居た、力と縄張り意識が強く、同族で群れ、仲間を作り、攻撃性が高く、狩りや農業などはせず他人のシマを荒らし奪った物品で生活しているらしい、野蛮なやつらだ、俺がイカさました時、真っ先に手を出してくる野郎ばかりだった、体臭も臭せーし。

「くっ…あのオーク共! やるぞ!」
「ホイホイっす!」

 看守はそんなことを言うと、腰からナイフを抜きオークめがけて切り込む、アルマはオークに向けて手をかざしローブで隠れていた腕を露出させると…うわっ、何だこれ…腕には大量の髪の毛が巻き付き、青髪や赤髪、様々な髪の毛が腕を覆うと、呪文を唱える「≪呪縛・弱地千手縛(ジャクチセンジュバク)≫」と看守にこん棒で殴りかかってきていた一匹のオークに魔法を使い、そのオークは動きが鈍く、そして何だか存在感というか威圧感までも無くなっているような気がした、それを見逃さず、看守はナイフを光らせるとオークの首に突き立て、傷口からは血、ではなく赤い炎が舞い上がりオークは口や鼻から火を噴きながら倒れてった。
 おおー! 魔法だ、魔法を使ってるぞ! いや、当たり前なんだが、向こうでは魔法なんて魔王様が使うくらいで魔物はつかえなかったからなあ、そういや乳山も使えねーしこうして生で魔法を見られるなんて何だか少し興奮する、――ん? そういえばリリィは? あたりを探すがリリィの姿は見当たらない。路地に入る曲がり角、リリィは戦っている二人の様子を影から見守り…。

「おい、なにやってんだ? こんなところで」
「うわああ! び、びっくりしたあ」
「…お前も戦闘参加しろよ、天才魔法使いなんだろ? あんな奴らイチコロだろ?」
「な、何を言ってるんだね、そんな怖いこと私が出来るわけないだろう!?」

 何言ってんだ、この天才魔法使いは。

「おい、後輩に任せっきりで恥ずかしいと思わねーのか?」
「うっ…い、いや、だが…」
「げっ」
「ん? う、うわあああああ!!」

 妙に歯切れの悪いリリィは先程までの自信は何処へ行ったのか、路地の陰でもじもじしだし、そこに一匹のオークが攻撃を仕掛けてきた。俺たちが走って逃げるのを見かけたのか、アルマが前に突き出していた手を祈るように合わせると、両手の中指と薬指の間を広げて重ね、その隙間を覗くようにオークへ再び手を突き出すと呪文を唱える「≪呪刑・針千本≫」。すると俺らを追いかけまわしていたオークは口から血を吐き倒れこむ。

「大丈夫っすか! リリィさん、魔物さん!」
「アルマ! あんまり強力な呪刑(ジュケイ)は――危ねェ!!」
「パイセン!!」

 俺たちの方に気を取られていたアルマにオークが殴りかかり、その木の幹ほど太い腕で放たれたこん棒をアルマをかばった看守はもろに食らい、石畳の地面に倒れる。
 クソッやべえぞ、数が多い! 俺はリリィにオークたちを指さしながら怒鳴る。

「おい、何なのか知らねーが、さっさと魔法を使え! 天才魔法使いなんだろうが!」
「い、いやしかし――」
「ほらっ! ほら来たぞ!!」

「止めろ!!!!」

 頭から血を流しながら倒れこむ看守は必死の形相でリリィを止めようとするが、リリィは既にオークに手をかざし魔法を使う予備動作に入っていた。

「くっ! ≪ファイアボール!!≫」

 リリィは魔法を唱えると、手から赤い、燃え盛る火球が出来上がり――、それがリリィの突き出した腕の中へと吸い込まれるように消えていく…………あ? 次の瞬間、リリィの腕は一気に発火し見る見るうちに皮膚を、肌を溶かしていく。

「グッウ˝ウ˝ウ˝ウ˝!! ≪痛覚無効≫≪ビルドアップ-マッスル-≫」

 高速で呪文を唱えるとオークに走りこんでいき燃え盛る手で顔を掴み、そのまま地面に叩きつけ、熱さで激しく暴れまわるオークを再び持ち上げ叩きつける、次第に騒いでいたオークは大人しくなる。
 リリィはバツが悪そうな顔でこちらを振り返り立ち上がると、火の勢いが弱まった腕の炎を消し、≪ヒール≫と腕に回復魔法を唱える。

「…じ、実は私は、その……<攻撃魔法が使えない>魔術師なんだ」
「…………そんな天才魔法使いが居てたまるかこの野郎」
「言いづらかったんだ! その…天才魔法使いだとか言われるの久しぶりだし? それに…後輩の前だしィ…」

 やはりチンチクリンはチンチクリンだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...