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◇◇◇ 【第二章】魔法使いと時間の杭 ◇◇◇
巨乳女騎士を添えて~ロクでもない本領発揮っ!
しおりを挟む「ギャア! ギャア! あの裏切り者ゼッテー許さねえ、船を島に落とすなんて、ふざけた攻撃してきやがって、死んだらどうすんだっ!」
「俺様のくちばしでついばんで、いたぶって、泣きながら謝らせてやるううう!!」
「ああ、俺たちでとっ捕まえて、魔王様の前に放り出してやろうぜェ、ケケk――」
「……ん? おい、どうした? …ああッ!?」
船と魔王島の間、船爆撃から逃れた飛行能力のある魔族は、二十人程の群れを成し、のろのろと飛行する船をめがけて飛んでいた。後ろには、イノシシの頭を生やしたバビル率いる魔族の群れが、波止場近くの崖で立往生を食らっているが、この魔物たちは、自慢の羽や飛行能力を活かし、一足先に裏切り者(ジン)の乗る船へと進行していたが。
「うわあああ! 何だコイツ!!」
「俺様のくちばしがああああ!!!!」
俺は、転移の指輪を使い、その群れの中にワープしていた。
「ど、どうなってやがる!? こいつ、能力も翼もないのに、どうやって飛んでやがる!?」
「つーか、何だこの飛び方!? 上下に振動しながら…何て滑稽な姿なんだ」
「ふっふっふっ、よお、オメーらがいつまでたっても来ねーから、こっちから来てやったぜェ」
腰に手を当て、顔の前でヤレヤレといった感じに右手を額につけ、余裕たっぷりにポーズを決める。
――上下に細かく振動しながら。
分かってる。
甲板の上で想像したときはカッコよかったんだ…だけど、実際やると、髪の毛は上下に落ちたり戻ったりを繰り返してるし、服も振動しっぱなしだし、でも、転移の指輪の性質上しょうがないんだよ、俺も出来るならもっとカッコよく登場したかった。かといって、ここで引いたり、直ぐに止めたりしたらそれこそ(あ、やってみたけどキモかったから止めたんだな)って思われそうじゃん!? もう、転移した時点で覚悟決めるしかねーんだよ。察せよ。
魔族の群れの中から、誰かがぽつりと一言呟いた「何だアイツ、キメー…」。
……あ?
「おい、誰だキメーとか心無いこと言ったやつは!」
「「「……。」」」
バサバサと羽音だけが辺りに響き、他の魔族は沈黙を貫く。
おい、ほんとに誰だ。
や、やめろよ、こっちは普段カッコつけることなんてほとんどないんだ、機会をうかがって、勇気をふり絞ってカッコつけたらこれだよ、これ、マジックアイテム使っての、そこそこ高等技術なんだよ? いいじゃん、満を持して、『コイツの<本領>ってやつを見せてやるよ』とかいい感じの引き作ったんだから、少しくらいカッコイイ感じにキメてくれたって。
……まあ、でも、アイツよりはましか…。
「「「きゃああああ!!」」」
突然、魔王島の地上で足踏みをしていた、バビル率いる群れの方から悲鳴が聞こえる。
「どうなってるのォ!? これ、ちょっとどうなってるのォ!」
バビルが叫んだ先に居るのは、先程、俺を魔王の前に放り出してやるとかほざいていた、鳥人族(テング)の魔族だった。
ただし、その姿は顔を地面に埋められ、バックドロップを食らった時のような体制であったが。
「ええ!? ちょっ、これ、ホントにどうなってるのォ!? さっきまで何もなかったのにィ!?」
バビルの悲鳴に釣られ、俺の周りにいた魔族たちは一斉にその姿を確認すると、何かを察したらしく、また、細かく振動し続ける俺の姿を見て、自分たちの未来を想像したのか、身震いさせた。
「ゲヘヘ、なんだっけ? 泣きながら謝らせるんだけ?」
ま、やっぱカッコつけるより、こっちの方が性にあってんな、俺、魔族だし。
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