27 / 80
◇◇◇ 【第二章】魔法使いと時間の杭 ◇◇◇
巨乳女騎士を添えて~生意気ロボの逆襲もあるよっ!
しおりを挟む〔……出航、デキマセン〕
ホログラムが発したその言葉に、乳山は反射的に言い返す。
「なっ! 嘘だろ!? 何故だッ!」
〔ピー、甲板オヨビ室内ニ多数破損箇所アリ…。〕
「そんなもの、多少傷がつこうが航海には関係がないだろう!? 急いでるんだ、とりあえず出航してくれ!」
〔………。〕
その通りだ、船室がいくら傷つこうがこの魔力炉さえ無事なら、走ることは出来る、そもそもは、そういう構造だ。
術式によって風を発生させ、軽量化の魔法、いや、最新の物なら重力反転魔法なんかが組み込まれているかもしれない。
この船体やマスト、船全体の骨組みが、魔法を式に組み込んだ魔力炉から送られる魔術を効率よく循環するための装置に過ぎない。
性能は落ちても、機能しなくなるなんてことは無いはずだ。なんたって、船が全損しても魔力炉だけは港に帰ってきた、なんて話もあるくらいだ、まあ、人間に詳しいと自称する悪魔が、魔王城でまことしやかに、うそぶいていた茶飲み話なので、どれほど信用していいかは眉唾物だが、つまりは、そういうことだ。
「おい、ロボ、悪いがホントに急いでんだ、動かせるのは分かってる、今すぐ出せ」
〔…………嫌デス〕
今コイツなんて言った?
できないとかじゃなく嫌だと? こんな魔法と魔術で出来た魔力炉ごときに感情があるのか定かではないが、いま、はっきりと目の前のコイツは、感情で物を言っている。
〔修復、修繕、補修ヲ要求シマス。最新技術デ作ラレタ精密ナマシンノタメ、直サナイト出航シマセン、……損傷個所サラニ追加ヲ確認〕
「理由になってねーんだよ、つーか、<出航しない>つったかお前、やっぱり、オメーの気分なんじゃねーか! 魔術と魔法で作られた魔導兵器のくせに生意気だぞッ! いいからさっさと出せ!!このポンコツが!!」
〔ピー…………………粛清ッ。〕
「痛っっった!!!!」
――粛清された。
こいつッ! 生意気にも、俺に電気流してきやがった!!
イライラしたからって、暴力に訴えかけてきやがった! なんて奴だ!!
俺は魔力炉をほぼ反射的に蹴り上げると、一瞬、魔法陣が波打つように揺れるとまた何事もなかったかのように元の姿に戻る。
そんな無駄なやり取りをしていると、天井から、つまり、自分たちよりも上の階から足音と話し声が聞こえ、すぐそこまで敵が迫ってくるのを感じる。
やばい、もうほんとにそこまで来てやがる。
「チッ、いいか、よく聞けよポンコツ。俺はいつでもお前を外にいる敵のど真ん中に転送出来るんだぞ? 壊されたくなかったら、さっさと出航させろ」
〔ピー、ソンナコトハ出来マセン。何故ナラ、アナタタチガ島カラ出ル方法ハ、私シヲ使ウシカナイカラデス、トイウカ、私ヲココカラ引キハガセバ、アナタタチガ脱出スル前ニ、コノ船ハ落チルデショウ〕
クソオオオ! このポンコツ! 妙なところに頭を働かせやがって!
ドンドンと、自分たちの頭上から床を蹴る音が聞こえ、そろそろここに来るための階段が見つかってもおかしくない。
俺が、そんなことを考えていると、乳山がずいっと前に出る。
「なあ、頼む、私たちは何としてもここから脱出しなければならないんだ。敵につかまれば本当に殺されてしまう」
〔ピー……。〕
「修理なら必ず後でする、約束だ、だから頼む」
〔ピー、ワカリマシタ〕
あ!? こいつ俺が頼んだ時は聞く耳を持たなかったくせに、乳山の泣き落としには反応すんのか!? だがまあ、とにかくこれで一安心。
「そ、そうか、ありがt」
〔タダシ、謝罪ヲ要求シマス。私ヘノ暴力ナド――〕
ほらな! やっぱり嫌いだ! コイツ!!
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる