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◇◇◇ 【第二章】魔法使いと時間の杭 ◇◇◇
巨乳女騎士を添えて~船、出航もあるよっ!
しおりを挟む焦る。
一回落ち着け、俺が着た方から木材をたたき割る音や、部屋の扉を荒々しく破壊する音が聞こえるが、一回落ち着け…。
おもむろに目の前にあった備蓄室に入ると、乾燥したエンドウ豆を鷲掴みにし、バリバリと音を立てて食べる、他にも干し肉、置いてあったナイフで樽に小さな穴をあけ、ワインを二口啜る。
ぷはあああ! 生き返るゥ、今までろくに食事もできなかったからなあ、染みるなあああ。
というか、いまになって冷静に考えてみると、こんな客室や船員室が入っているところに動力室がある分けがない。……いや、その前に客室ってなんだ! 帆走軍艦だろ!? この船は。そんなどうでもいいことを考えていると再び、木の扉が壊される音がし、敵は明らかにこちらへと近づいてきていることがわかる。
チッ、いや落ち着け、動力室があるとすれば船の底近く、そうだ、何故こんな簡単なことに気が付かない、階段は、階段は――あった!
音を鳴らして階段を駆け降りると、ちょうど横のハシゴから乳山が降りてきていた。
「乳山、お前も気づいたか」
「ああ、――ん? お前、口元に紫色のシミが出来てるぞ? どうした?」
「…………気にすんな」
俺は口元のワインの食べかすを拭うと、動力室へと向かった。
動力室には、四メートルはある立派な魔力炉が搭載されており、いたるところに大小さまざまなパイプが伸び、その手前には、明らかに操作桿といった形の幅、十五センチほどの細長いクリスタルで出来た棒が設置されていた。
――ひとまず、その棒の先端に手を近づけてみる。
「お、おい、大丈夫か? そんな不用意にさわっ」
乳山が言い終わる前に、クリスタルは音を立てて光る筋が浮かび上がり、その先端からは宙に浮かぶホログラムが展開される。これも組み込まれた魔術の一環なのだろう、マジックアイテムにしか興味のなかった俺だが、こういった設計はいろいろな意味で興味をそそられる。
――now loading ……。
「なあ、なんでロード画面にお寿司が流れてるんだ?」
乳山がそんな意味不明なことを聞いてくる。
「あ? 何言ってんだ? 普通だろ、お寿司のロード画面」
「普通…いや、なんだ! お寿司のロード画面って!」
納得いってなさそうな表情だったが、何故と聞かれても分からない、ロード画面にはお寿司、そういうもんだ。
数秒のロード画面が表示された後、魔力炉から音がする。いや、音というよりは声に近い、無機質な音声がこちらに語りかけてくる。
〔カリグラ・クルキアタ帝国艦隊、帆走軍艦機動艦砲主力戦列艦――ソル・ラルガ、起動〕
「おいおい、何かスゲーぞ!」
そういった矢先、魔力炉に複雑な光る魔法陣が刻まれ始め、いくつものホログラムが一気に照射され、何を書いてあるのか分からないくらいそれぞれのホログラムに、高速で文字が表示される。
「おー、なんだかパソコンを思い出すな…。」
乳山がそうつぶやくと、それらは次々と消失し、再び、最初に投影されたホログラムだけがピーという音と共に目の前に表示される。
〔舵、マスト、フォア、メイン、ミズン、船体…正常。ピー…甲板オヨビ室内ニ多数破損箇所アリ…。〕
「あー、追手の魔物が壊したところか」
俺は室内の損傷という単語に、先程のヤクザ口調でガチギレしていた魔物を思い出す。
〔……出航、デキマセン〕
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