11 / 80
巨乳女騎士を添えて~新たな異能力あるよっ!
しおりを挟む『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
ヴォックスから放たれる、音の壁とも錯覚しそうな大音量の絶叫に、建物はミシミシと細かく振動し、足元の小石は床をホバリングしているかのように跳ねまわる、俺の体は毛が逆立ち全身から嫌な脂汗が吹き出すと、脳みそは冷え切り、ストレスによる頭痛が絶え間なく危険信号を発し続け、その声は地獄から這い出る悪魔を連想するような、生命の危機を感じさせる不快な周波数を垂れ流していた。
耳を両手で塞いでいるにも関わらず自身の平衡感覚が奪われ、視界がぐにゃりと歪む…...。
そこでプツリと意識を手放し、目の前は真っ黒に染まった。
ちゅんちゅん、ピロピロ、ピーヒョロロロロ。
目の前には花畑が広がり、白馬に乗った王子がこちらに近づいてくる。
ハハハ! ハハハハハァ!! ハハハハハハ姫さ――――。
「ッはあ!!!!」
気が付くとヴォックスは叫び終わったようで、腰に付けていた淡い光を放つリングから骨付き肉を取り出すと骨ごと一心不乱に食べ始めた。
クソッまたあの不快(メルヘン)な夢だ。
乳山の方を見ると床に伏して完全にトんでいた。俺は乳山の体を仰向けにし、みぞおちを足で踏みぬく。
「グッ!? ヴッ、ヴェロロロロロロゲハァッ! はぁぁはぁな、何を…」
汚ねえなあ。
乳山は吐き終えると、震える足で剣を構えるが、その重みに耐えかねたのか、ふらふらと定まらない重心に足の踏ん張りが効いていないようだった。
「くそっ、大丈夫か!平衡感覚をやられたか…なんて卑劣な攻撃」
「ヴォエッ、い、いや、ほとんどお前のせ――」
「うちの乳山に何てことすんだ! サイテーだな!!」
「ええ!?」
ヴォックスは何故か腑に落ちない表情でこちらを見てきたが、酷いことをしておいてそれはないと思う。
「あ、あの、ごめんね? でも君たちが行こうとするから…」
「だったら何をしても良いんですかあ? 乳山こんなになっちゃったよ!? 見てェ! 生まれたての小鹿みたいッ!」
「い、いや、でもそれはジン君がおなかを踏んづけたからで…」
「はいー!? この期に及んでいいわけですかァ! よォーござんすねえ! よォーござんすなあ!!」
「あ、あのあの…ごめんなさ――」
「止めんか」
乳山は俺の頭に本日二度目のはたきを見せた。
ふつうに接している、乳山は分かっていない、アイツ、俺たちに<攻撃>してきたんだ。
攻撃。
アイツは俺たちに事を攻撃してきた、今だけじゃねー、この部屋に入った瞬間、あの淫夢はアイツの攻撃だ、魅惑の獣姫バラック・ヴォックス、能力は、前後不覚になるくらいの大声で強制的に気絶させ、気絶させた相手に淫夢を見せ精神世界に閉じ込める、最強最悪な初見殺しの合わせ技。それは獣人族と淫魔のハーフであるアイツにしか出来ないチート能力、アイツはこれで四天王まで上り詰めたといっても過言じゃない、それくらい低確率(レア)な組み合わせの能力ということだ。
難攻不落の魔王城の中、そんな魔王軍最高幹部の四天王は、俺たちに今、攻撃を仕掛けて来ていた。
「そうだよねー臭いよねー」
「夏場になると特にな」
何の話してんだこいつら…。
こいつらの下らない談笑も、今では歪んで見える、俺たちが出ていこうとした瞬間、ヴォックスは攻撃を仕掛けて来た、それは明確に、この場所から俺たちを行かせないという意思の表れだろう。
「おい、どうしたんだ? そんな怖い顔して」
「……ヴォックス、お前、俺たちを殺す気だな」
「…………」
「なっ何!?」
「……残った人間を始末するのも私の役目だね」
事態の雰囲気を察したのか、乳山はゴクリと生唾を飲み込むとゆっくり剣を構え体制を整える。
「だけどヤッパリ殺したく無いかな、ジン君、なんでそっち側に居るの? 裏切者が出たとは聞いてたけどジン君だとは思わなかったよ、最初ここに入ってきたとき人間の気配がするからとりあえず攻撃してみたけど、なぜか君も一緒に居るんだもの…」
「それは乳山のチチを触らせてもらうためですッ!」
「触らせねーよ」
「それッ! 私のじゃダメなの!?」
「ええ!?」
突然の提案に困惑する乳山。
「いやあーお前のは形は良いが大きさはそこまでじゃねえし、毛皮に包まれてるし…つーか触ったことあるし」
「おい最低な断り方だな、というか断るなよお前ごときが」
「うう、そこまで人間さんのお〇ぱいが魅力的なんだね…わたし淫魔なのに魅力で負けるなんて…ちょっと自信なくすな」
「コイツに気に入られるのなんて一ミリもうれしくないことだと思うぞ、元気出だせ」
おい、失礼なこと言うな。
だが、ヴォックスはめげずに俺に問いかける。なぜそんなに食い下がるのか、分かってる、ヴォックスはそういうやつだ。
「ねえジン君、本当にいいの? 今ならまだわたしが何とかしてあげるからさ、四天王の私が言うんだもの、処刑は何とか免れるように手助けしてあげるからさ」
「――それ、手助けってどのくらいやってくれんの?」
「おい! なんか心引かれてないか!? 四天王の目の前で裏切るとかやめてくれよ!?」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる