魔王軍のお荷物〈最弱クズ魔族は〉巨乳女騎士を助けたら裏切ったと勘違いされ、難攻不落の魔王城から脱出するために〈魔王様を出し抜くようです〉

舎人二阿木

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巨乳女騎士を添えて~追剥もあるよっ!

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「う、うわああああ!! 変態〇ね!!」

「あっぶな! 剣を振り回すんじゃねーよ!! 怪我したらどうすんだ!! うちは労災降りねーんだぞ!!」

「お前が乳揉むからだろう! いや、そんな生易しいものじゃなかった、グァッシッと、そう、グァッシッと掴みやがって! こっちだって魔物は訴えられないんだからな、セクハラとかホント勘弁してくれッ!」

「おいっコラ! 暴れる、百年に一人の美巨乳が! 抵抗すんな、鎧を脱げせづらいだろ!」

「うああああ! 寄るっ、寄るなああああ!! どうしよう、こいつ今まで会った魔物の中で一番苦手かもしれん! いやっ、こらっ止めろ、どこ触ってる! ヤメロッ!!」

「ぎゃああああ!!」





 気絶から戻ったばかりだというのに予想以上の抵抗を見せるその薄い赤髪赤目の巨乳騎士は、剣の柄で俺の脳天に強烈な一撃を食らわせ、重くダルそうな体を起こすと、その足で回廊の先へと向かっていく。









「クッ…なんなんだ、あの変態は、信じらんぞほんとに」

「んだよ、減るもんじゃねーし、少しくらい触らしてくれてもいいじゃねーか」

「いや何故いる!?」



 回廊の十字路に差し掛かった頃に、のろのろと剣を杖代わりに使い歩いていた巨乳に追いつく。

 何故って、オメーの体目当てだが…。

 すると、曲がり角から話し声が聞こえ、覗き込むと、そこには先程、賭け事を一緒にやっていた魔族が二人、言い争いをしていた。



「オデが見つけたんだぞ! 触るなよお!」

「ちょこっと見るだけだって言ってるだろ!」

「見るだけなら触る必要ないだろ! ヤメロよ! こいつはオデが見つけたんだ!」

「見るだけだッつってんだろ! この守銭奴が!!」



 ……。

 追剥か、最低な奴らだな。



「おいテメーら!」

「うおい! なぜ話しかける!」



 人間はびっくりしたように跳ねるが、すぐさま戦闘態勢に入り、二人の魔族に剣を向け…おい、なんでこっちにも向けてんだ。



「おい人間だぜ? どうするよ」

「どうるって、オデ…そりゃあ」

「どうした、早くいけよ、ビビってんのか?」

「お、オデがビビるわけないよ! ないけど、先、譲るぞ?」



 こそこそとそんなやり取りを繰り返すクズども。



「…な、なんだ? 来ないのか?」

「おい、バカども! こそこそ話してねーで、早く戦ったらどーだ! ビビってんのか!?」

「いやなんで煽るんだ!」

「あ! お前なに人間にくっついてやがんだ!」

「というか影に隠れてるぞ、お前俺らを裏切ったのか!? このクズ!」

「あ? クズはオメーらの方だろうが! 追剥なんて汚ねえ真似しやがって!」

「汚ねえのはイカサマしてたお前も同じだろうが!」

「そうだそうだ! 金返せ!」



 そんな無茶苦茶なことを言い始める奴ら、これだからクズは、オメーらだって、隊長と俺がやりあう前、イカサマしてやがったろうが。



「あんまり調子こいたこと言ってっと、たたっ斬るぞ! あの口の減らないクズ共やっちゃって下さい、姐さん!!」

「誰が姐さんだ! というかお前イカサマもしてるのか、最低だな」



 何故か軽蔑の目で見られる、何故だ…イカサマして全財産毟り取っただけだろ、向こうもしてたし。

 だが、その件は今からする、ある素晴らしい提案で、このどうしようもないクズ共を許してやろうと思う。



「追剥したもん全部おいてけや」

「な!?」

「「……。」」

「いいか、姐さんは優しいからなぁ、お前らが追剥したものを寄こすなら、見逃してやってもいいとおっしゃっている」

「おい! 何勝手に―――」

「ちっ、そう来るか…仕方ない、こんなところで怪我してもなんの得にもなんないしな」

「え、いいのか?」



 このクズどもは魔族、いわゆる魔王に仕える魔王軍の兵士じゃない、人間共の攻撃に備えて、外から雇ったならず者どもで、こうして戦場に入り込んでは追剥をして稼いでいる、忠誠心のかけらもないクズどもだ。

 …忠誠心に関しては俺も同じだが。



「よし、じゃあ、お前ら盗んだもの全部返してもらおうか」

「別にお前から盗んだわけじゃないけどな」



 おい、そこ、うるさいぞ人間。



「仕方ないな、応じてやる、だけど渡すのはカネと装備品だけ、それ以外は渡せないな」

「は? 本当にたたっ斬られてえみてえだな」

「おう、やるか? お互い無事じゃすまねーぞ?」

「……何て醜い小競り合いだ戦争中だぞ」



じりじりと詰め寄る俺らを他所に、人間はあきれた様子で既に剣も鞘に収め傍観していた。



「はッ!まぁいい、さっさと置いてさっさと消えろ」

「ジン、お前今度会ったら絶対ボコボコにしてやるからな」

「あら、怒ったの?ワンワンワンワン可愛いでちゅね、おなか減っちゃったのカナ?家に帰ってミルク飲みまちょうねー」

「ムカつく野郎だ」

「ウ~ワンワン!キャッインキャッイン」

「チッ」

「うわ…」


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