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第六話

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数日後。
私は帰省するという名目で、実家へと帰ってきた。
もちろんただ家が恋しかっただけではない。

私は覚悟を決めてここに来たのだ。

「おかえりレイン。もう料理出来ているぞ」

出迎えてくれた父親に案内され、食堂に到着すると、懐かしい料理の香りが鼻をつく。
母と姉は既に席についているようで、私と見ると笑顔を向けた。

「ただいま」

食事の席では必然的に私とロイの話になった。

「それにしてもレインにあんなイケメンの婚約者が出来るなんて……お姉ちゃんも鼻が高いわ」

姉は昔から頭が良く、今は王宮秘書をやっていた。

「お姉様こそ、王宮で働くなんてすごいですよ」

「ううん。凄い人なんてこの世にごまんといる……本当に凄いのは強運を持った人のことを言うのよ。イケメンをゲットしたあなたみたいにね」

「お姉様……」

なるほど。姉の言うことにも一理ある。
サラと出会えた……それだけで自分が強運に思えてくる。

その後も家族団欒の時が過ぎていったが、私の目的は別にある。
名残惜しいが言わなくてはいけない。
そのためにここに来たのだから。

食事も終盤、デザートを食べている最中。
私は意を決して口を開いた。

「あの……実は、皆にお話があります。今日はそのためにここに帰ってきました」

「話?なんだ?」

私の真剣な態度にそう言った父の顔が強張る。
母と姉も同じことを感じている様で、緊張したように口を閉じていた。

「実は、私にはある力があります。人の嘘を見破る力です。嘘をついた人の顔に黒い靄がかかって見えるのです。今まで私はその力を隠して生きてきました」

「え?」

父が驚いた顔でそのまま固まってしまう。
沈黙が数秒続き、最初に姉が口を開く。

「えっと……演劇でもしてるの?」
「あ、そうよね。はは」
「なんだそういうことか!いやぁ、さすが我が娘……立派な演技……」

「本当なのです!!!」

私の突然の大声に皆がビクッと肩を震わす。

「今まで私はこの力のことを誰にも話さずに生きてきました……この力のせいで友達も出来なかったし……苦しい思いもたくさんしてきました」

私の目から途端に涙が溢れだす。

「話したかった……もっと、楽に生きたかった……でも、でも……私は……」

自分のことなのに上手く言葉が繋がらない。
涙で視界が滲み、体中が熱くなる。

そんな私を見かねてか、父が立ち上がった。
希望を込めてその顔を見るも、表情は険しかった。
そして父は怒りを込めた声で言った。

「腹立たしい限りだ……」
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