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第十三話
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「え?」
その言葉を聞いた私の心がすっと軽くなる。
エレノアも私と同じことを思っていたみたいだ。
きっと気持ちが高まり過ぎて引くに引けなくなってしまったんだろう。
私は安堵のため息をはく。
「良かった……それじゃああの計画は白紙でいいのよね?」
「もちろん!」
自分のお茶を作り終えたエレノアがティーカップを持ってこちらに近づいてくる。
そして互いのカップ同士をコツンとぶつけると、いつもの笑顔を私に向けた。
「色々あったけど……私たち、今まで通り友達だよね?」
「え?うん……」
自信なさげに私は頷く。
正直なことを言えばもう彼女とは関りたくない気持ちもあった。
しかし、思い直したとはいえ計画に加担しそうになってしまった負い目から、私は頷くことしか出来なかった。
その複雑な気持ちを打ち消すように、私はティーカップに入ったお茶を一気に飲み干した。
「クレア……あなたと初めて話した時のこと、今でもはっきりと覚えているわ」
エレノアが懐かし気に言う。
「第二学年の時、クラスでいじめられていたあなたを助けてあげた……あの時のあなたは今と違ってとても寂しそうに見えた……」
私は過去、いじめに遭っていた。
そしてその現場を偶然見かけたエレノアに助けられ、彼女と話すようになったのだ。
だが、私はエレノアと友達だということをシャーロットには言えなかった。
エレノアが時々見せる黒い顔……その存在に薄々気づいていたからだ。
エレノアをシャーロットに近づけてはいけない……直感的にそう思っていたのだ。
「でも今はとても楽しそうね、きっとシャーロットがいるからなのよね」
「……」
私は無言でエレノアを見る。
彼女の目には光は灯っていなかった。
黒いエレノアが再び顔を見せ始めていた。
「クレア、私はね……今までたくさん頑張ってきたし、良い行いもしてきた。この先に自分の望む未来があると信じてね……でもね、私はそれを奪われたの……シャーロットに……」
「……シャーロットはもう関係ないでしょ?」
エレノアから放たれる殺気を感じたのか、緊張したように体が熱くなる。
汗が噴き出し、一瞬目が眩んだ。
「ううん、関係あるよ。だって私の好きな人を奪ったんだもの……ちゃんと罰を与えなければ……」
「な……さっきあの計画は白紙にするって……」
「ああ、あれ?嘘よ?」
「は?」
悪びれる様子もなく、自信満々に言ったエレノア。
一方、私は体調が悪くなったかのように、急に体がだるくなる。
何かおかしい……そう思った直後、エレノアがふっと笑った。
「やっと効いたのね……」
「え?」
次の瞬間。
体から一気に力が抜け、私の体は椅子から離れ床に横向きに倒れた。
歪んだ視界の中に、エレノアがしゃがみこむのが見える。
「大丈夫?クレア?ふふっ……」
「エレ……ノア……な、何を……ま、まさか……さっきの……」
「うん、そうだよ。さっきのお茶の中に色々混ぜてあげたんだ。ちゃんとクレアが……死ねるようにね」
「そ、そん……な……」
だんだんと息が苦しくなり、声も発せなくなってくる。
苦しみに悶えていると、エレノアは突然大きな声を出した。
「クレア!!止めて!!それは……クレア!?……クレア!!……だ、誰か!クレアを助けてぇ!!!……これでよしっと……」
視界が暗くなり、やがて何も見えなくなる。
命尽きる私が最期に聞いたのは、エレノアの冷たい言葉だった。
「あなたを選んだ私が愚かだったわ」
その言葉を聞いた私の心がすっと軽くなる。
エレノアも私と同じことを思っていたみたいだ。
きっと気持ちが高まり過ぎて引くに引けなくなってしまったんだろう。
私は安堵のため息をはく。
「良かった……それじゃああの計画は白紙でいいのよね?」
「もちろん!」
自分のお茶を作り終えたエレノアがティーカップを持ってこちらに近づいてくる。
そして互いのカップ同士をコツンとぶつけると、いつもの笑顔を私に向けた。
「色々あったけど……私たち、今まで通り友達だよね?」
「え?うん……」
自信なさげに私は頷く。
正直なことを言えばもう彼女とは関りたくない気持ちもあった。
しかし、思い直したとはいえ計画に加担しそうになってしまった負い目から、私は頷くことしか出来なかった。
その複雑な気持ちを打ち消すように、私はティーカップに入ったお茶を一気に飲み干した。
「クレア……あなたと初めて話した時のこと、今でもはっきりと覚えているわ」
エレノアが懐かし気に言う。
「第二学年の時、クラスでいじめられていたあなたを助けてあげた……あの時のあなたは今と違ってとても寂しそうに見えた……」
私は過去、いじめに遭っていた。
そしてその現場を偶然見かけたエレノアに助けられ、彼女と話すようになったのだ。
だが、私はエレノアと友達だということをシャーロットには言えなかった。
エレノアが時々見せる黒い顔……その存在に薄々気づいていたからだ。
エレノアをシャーロットに近づけてはいけない……直感的にそう思っていたのだ。
「でも今はとても楽しそうね、きっとシャーロットがいるからなのよね」
「……」
私は無言でエレノアを見る。
彼女の目には光は灯っていなかった。
黒いエレノアが再び顔を見せ始めていた。
「クレア、私はね……今までたくさん頑張ってきたし、良い行いもしてきた。この先に自分の望む未来があると信じてね……でもね、私はそれを奪われたの……シャーロットに……」
「……シャーロットはもう関係ないでしょ?」
エレノアから放たれる殺気を感じたのか、緊張したように体が熱くなる。
汗が噴き出し、一瞬目が眩んだ。
「ううん、関係あるよ。だって私の好きな人を奪ったんだもの……ちゃんと罰を与えなければ……」
「な……さっきあの計画は白紙にするって……」
「ああ、あれ?嘘よ?」
「は?」
悪びれる様子もなく、自信満々に言ったエレノア。
一方、私は体調が悪くなったかのように、急に体がだるくなる。
何かおかしい……そう思った直後、エレノアがふっと笑った。
「やっと効いたのね……」
「え?」
次の瞬間。
体から一気に力が抜け、私の体は椅子から離れ床に横向きに倒れた。
歪んだ視界の中に、エレノアがしゃがみこむのが見える。
「大丈夫?クレア?ふふっ……」
「エレ……ノア……な、何を……ま、まさか……さっきの……」
「うん、そうだよ。さっきのお茶の中に色々混ぜてあげたんだ。ちゃんとクレアが……死ねるようにね」
「そ、そん……な……」
だんだんと息が苦しくなり、声も発せなくなってくる。
苦しみに悶えていると、エレノアは突然大きな声を出した。
「クレア!!止めて!!それは……クレア!?……クレア!!……だ、誰か!クレアを助けてぇ!!!……これでよしっと……」
視界が暗くなり、やがて何も見えなくなる。
命尽きる私が最期に聞いたのは、エレノアの冷たい言葉だった。
「あなたを選んだ私が愚かだったわ」
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