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第四話
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「はぁ……」
晩餐会から帰ると、私は自室のベッドの上で寝転びながら、思わず溜息をつく。
まさか婚約破棄になるとは思ってもいなかったからだ。
「まあ、仕方ないけどね……大人の事情なのだから……」
自分に言い聞かせるように呟き、私は気持ちを切り替えるように起き上がる。
「さて……星でも見よう……」
窓から夜空を見上げる。
そして自分の将来のことをぼんやりと考え始めた。
「私は一体何をしたいのかしらね……」
婚約破棄されたのに、それほど悲しいわけではない。
もちろん婚約したと告げられた時もそれほど嬉しくなかったし。
ピアノなどの習い事もめちゃくちゃ楽しいということもない。
母にやれと言われたからやっているだけだ。
「あーあ……このままだとつまらない人生になりそうね……」
ぼそりと呟いて、窓の外の星を眺める。
「星を見るのは好きだけれど……」
ふと、私はあることを思い出し、机に置いてあった本を手に取る。
『星の魔法使い』と書かれた本だ。
「結局読まずじまいだったものね……」
私はパラパラとその本をめくっていく。
するとそこには魔法について様々なことが書かれていた。
「魔法には属性がある……火、水、風、土、光、闇……。基本の六つの元素の他に、それぞれを司る精霊がいる……ねぇ」
この本によると、魔法を使うためには魔力を体外へ放出する必要があるらしい。
また、その放出の加減によって魔法の威力が変化するようだ。
「ふっ……いっそのこと魔法使いにでもなって、空でも飛べたらいいのにな……」
そう言ってクスリと笑う。
「まあ、そんなことできないけどね」
私は悲しそうに俯くと、窓を閉め、再びベッドに横になった。
翌朝、私が朝食を食べていると、父が遅れてやってきた。
「おはようルザベラ」
「おはようございますお父様」
「ルザベラ、昨日のことで少し話をしてもいいかな?」
父はそう言うと、向かい側に座った。
「はい」
「ルザベラ……大丈夫かい?婚約したと思ったらあんな簡単に婚約破棄されてしまって……」
「いいんです。気にしてませんから……」
「……ルザベラ」
父は優しく微笑むと、ゆっくりと頭を撫でてくれた。
「辛いだろうが、これから頑張ればきっと幸せになれるよ。だから今は我慢するんだ。いいね?」
「はい……」
別段悲しいわけではない、しかし私は頷いていた。
父が我慢という言葉を使ったのは、これが初めてだった……
晩餐会から帰ると、私は自室のベッドの上で寝転びながら、思わず溜息をつく。
まさか婚約破棄になるとは思ってもいなかったからだ。
「まあ、仕方ないけどね……大人の事情なのだから……」
自分に言い聞かせるように呟き、私は気持ちを切り替えるように起き上がる。
「さて……星でも見よう……」
窓から夜空を見上げる。
そして自分の将来のことをぼんやりと考え始めた。
「私は一体何をしたいのかしらね……」
婚約破棄されたのに、それほど悲しいわけではない。
もちろん婚約したと告げられた時もそれほど嬉しくなかったし。
ピアノなどの習い事もめちゃくちゃ楽しいということもない。
母にやれと言われたからやっているだけだ。
「あーあ……このままだとつまらない人生になりそうね……」
ぼそりと呟いて、窓の外の星を眺める。
「星を見るのは好きだけれど……」
ふと、私はあることを思い出し、机に置いてあった本を手に取る。
『星の魔法使い』と書かれた本だ。
「結局読まずじまいだったものね……」
私はパラパラとその本をめくっていく。
するとそこには魔法について様々なことが書かれていた。
「魔法には属性がある……火、水、風、土、光、闇……。基本の六つの元素の他に、それぞれを司る精霊がいる……ねぇ」
この本によると、魔法を使うためには魔力を体外へ放出する必要があるらしい。
また、その放出の加減によって魔法の威力が変化するようだ。
「ふっ……いっそのこと魔法使いにでもなって、空でも飛べたらいいのにな……」
そう言ってクスリと笑う。
「まあ、そんなことできないけどね」
私は悲しそうに俯くと、窓を閉め、再びベッドに横になった。
翌朝、私が朝食を食べていると、父が遅れてやってきた。
「おはようルザベラ」
「おはようございますお父様」
「ルザベラ、昨日のことで少し話をしてもいいかな?」
父はそう言うと、向かい側に座った。
「はい」
「ルザベラ……大丈夫かい?婚約したと思ったらあんな簡単に婚約破棄されてしまって……」
「いいんです。気にしてませんから……」
「……ルザベラ」
父は優しく微笑むと、ゆっくりと頭を撫でてくれた。
「辛いだろうが、これから頑張ればきっと幸せになれるよ。だから今は我慢するんだ。いいね?」
「はい……」
別段悲しいわけではない、しかし私は頷いていた。
父が我慢という言葉を使ったのは、これが初めてだった……
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