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第三話
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「おい待て!まだ話は終わっていないぞ!」
男が言うも、既にレイラは姿が見えなくなっていた。
「全くあいつは……。すまないな、待たせてしまって」
「いえ……。あの、あなたは一体……それに今のは……?」
「そうだな……まずは自己紹介をしよう」
そういうと、男はフードを取る。
そこから現れたのは金色の髪を靡かせた男性だった。
端正な顔立ちにすらっとした体型。
まさしくイケメンと呼ぶに相応しい容姿をしている。
しかし、その瞳の奥はどことなく冷たい印象を受ける。
「私はルイス・アンデルセンというものだ。以後お見知り置きを……」
そう言って彼は優雅に一礼をした。
「え?ルイス・アンデルセン……?」
その名前は聞いたことがある。
確か先日読んだ小説の作者……だったような。
「あっその顔は……もしかして私のこと知っているね」
「じゃあ本当にあなたはあの……でも、どうしてそんな方がここに……?」
私が問いかけると、今度は後ろから女性の声が聞こえてきた。
「私が連れて来たのよ」
振り返ると、そこにいたのはなんとこの国の王女であるソフィア様だった。
「ソッ……!?ええ?」
驚きのあまり変な声が出てしまった。
それをみて彼女はクスリと笑う。
「そんなに驚かなくてもいいじゃない。それよりもさっきの話なのだけれど……ルイスが何か粗相をしたかしら?」
「あ、いえ……実は……」
私は今までの経緯を話すことにした。
「なるほどね……それは災難だったわね。まぁ、あなたの話を聞く限りレイラの方が悪いと思うのだけれども」
「私もそう思います……まさかこんなことをしてくるとは思いませんでした」
正直、今思い出してもゾクゾクとする。
もしあのまま彼に襲われていたら……考えるだけでも恐ろしい。
「そんなに落ち込まないで。大丈夫よ、私に任せなさい!」
そう言うと、彼女は胸を張る。
「ありがとうございます。えっとそれであの……お二人はどうしてここに?」
「ああ……そのことね。実は私とルイスは幼馴染なのだけれど、今日は彼の小説のネタ作りに協力していたのよ」
ルイスもその通りと言いたげに頷く。
「この家の庭は立派だからね。ちょっとお借りしてソフィアと話して着想を練っていたんだけど、君の叫び声が聞こえてね……魔法を使ってここまで飛んできたというわけだよ」
「魔法で飛ぶって……そんなことが!?」
「ええ、私達オリジナルの魔法よ。転移魔法っていうものらしいけど……本当はよく分からないのよね。昔から使えていたから使ってるだけだし」
「なるほど……凄いですね……」
私が驚いていると、ソフィアは急に真剣な眼差しになった。
「それで話を戻すのだけれど、これからどうするつもりなのかしら?このまま何もしないというのも勿体ない気もするのだけれど」
男が言うも、既にレイラは姿が見えなくなっていた。
「全くあいつは……。すまないな、待たせてしまって」
「いえ……。あの、あなたは一体……それに今のは……?」
「そうだな……まずは自己紹介をしよう」
そういうと、男はフードを取る。
そこから現れたのは金色の髪を靡かせた男性だった。
端正な顔立ちにすらっとした体型。
まさしくイケメンと呼ぶに相応しい容姿をしている。
しかし、その瞳の奥はどことなく冷たい印象を受ける。
「私はルイス・アンデルセンというものだ。以後お見知り置きを……」
そう言って彼は優雅に一礼をした。
「え?ルイス・アンデルセン……?」
その名前は聞いたことがある。
確か先日読んだ小説の作者……だったような。
「あっその顔は……もしかして私のこと知っているね」
「じゃあ本当にあなたはあの……でも、どうしてそんな方がここに……?」
私が問いかけると、今度は後ろから女性の声が聞こえてきた。
「私が連れて来たのよ」
振り返ると、そこにいたのはなんとこの国の王女であるソフィア様だった。
「ソッ……!?ええ?」
驚きのあまり変な声が出てしまった。
それをみて彼女はクスリと笑う。
「そんなに驚かなくてもいいじゃない。それよりもさっきの話なのだけれど……ルイスが何か粗相をしたかしら?」
「あ、いえ……実は……」
私は今までの経緯を話すことにした。
「なるほどね……それは災難だったわね。まぁ、あなたの話を聞く限りレイラの方が悪いと思うのだけれども」
「私もそう思います……まさかこんなことをしてくるとは思いませんでした」
正直、今思い出してもゾクゾクとする。
もしあのまま彼に襲われていたら……考えるだけでも恐ろしい。
「そんなに落ち込まないで。大丈夫よ、私に任せなさい!」
そう言うと、彼女は胸を張る。
「ありがとうございます。えっとそれであの……お二人はどうしてここに?」
「ああ……そのことね。実は私とルイスは幼馴染なのだけれど、今日は彼の小説のネタ作りに協力していたのよ」
ルイスもその通りと言いたげに頷く。
「この家の庭は立派だからね。ちょっとお借りしてソフィアと話して着想を練っていたんだけど、君の叫び声が聞こえてね……魔法を使ってここまで飛んできたというわけだよ」
「魔法で飛ぶって……そんなことが!?」
「ええ、私達オリジナルの魔法よ。転移魔法っていうものらしいけど……本当はよく分からないのよね。昔から使えていたから使ってるだけだし」
「なるほど……凄いですね……」
私が驚いていると、ソフィアは急に真剣な眼差しになった。
「それで話を戻すのだけれど、これからどうするつもりなのかしら?このまま何もしないというのも勿体ない気もするのだけれど」
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