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第七話

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「ロレーナ・ティルフィング!お前を私の正式な妃とすることをここに宣言する!」

この王宮へ来て一年。
妃教育を終えた私は、晴れて王子の正式な妃となった。

第一妃候補になった時に貰った指輪を見つめ、私はほくそ笑む。
耳には三角形の華美なイヤリング、これも第一妃候補になった時に貰ったものだ。

これらを着けていると自分が強くなったような錯覚を覚える。
きっとあの時のオリーブもそんな感じだったのだろう。
しかし彼女は見誤った……自分の実力をね。

……重要な式典を全て終えた私は、自室のベッドに倒れこんだ。

「疲れた……もう一歩も動けない」

そういえばこの部屋も、前にオリーブが使っていた場所らしい。
指輪にイヤリングに部屋……全てオリーブの使用品。

あなたはどこまで私の前にチラついてくるのよ……あなたはもういないのよ!
負けたの!早く消えろ!

イライラが募り、私は枕に手を伸ばす。

「クソっ!」

ストレスを発散するように掴んだ枕を壁に投げつけた。
ボンと音がした後、ガランと何かが落ちるような音がする。

「……え?」

慌てて枕が当たった箇所を見ると、壁の一部が取れてしまい床に落ちていた。

「や、やばい……」

私はバッと起き上がると、壁の一部を戻そうと必死になる。

「えっと……これちゃんと入るかしら……途中で崩れたりしたら……やばい、待って……この中はどうなって……ん?」

焦った拍子に壁の穴に手を入れた私は言葉を止める。
手が何かに当たっている。
まるで本のような材質だ。

興味本位でそれを抜きだしてみると、どうやらそれは日記のようだった。
試しにページを捲って見ると、そこには『これは絶対に誰にも言ってはいけない』と書かれている。

「はっ……なにこれ。キモッ。まるであの時の手紙ね」

オリーブが王宮を去る少し前。
私の部屋の引き出しに、謎の手紙が入っていた。

そこにも同じ言葉が書かれていたのだ。
『これは絶対に誰にも言ってはいけない』と。
そしてその手紙には加えてこうも書いてあった。

『指輪とイヤリングを貰ったのなら、それをすぐに手放しなさい。でなければ死が待っている』

幼稚過ぎて王子には言わなかったし、私も今の今まで忘れていた。
どうせお金に困った使用人が指輪とイヤリングを盗むために書いたものでしょ、と軽く捉えていた。

「本当にキモいわ。まあいいけどね、どうせこの部屋も今日で最後だし。これからはもっと豪華な部屋よ……ふふっ!」

私は日記を元の場所に戻すと、壁の穴を塞いだ。
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