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第八話
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それから少ししてそれは突然起きた。
「ロイ、もうあなたとはやっていけないわ。離婚して頂戴」
「は?」
俺はオルガから突然離婚を言い渡されたのだ。
「どうしてだ!? なんでだよ!? 理由を教えてくれ!」
「なんかつまんないのよね、あなたといると。本当に私のこと好きなのかなって思う時もあるし。まあ、それに他に素敵な男性見つけたしね……」
「嘘だろ……そ、そんなこと言わずに考え直せって!」
俺は必死になってオルガを説得しようとしたが無駄だった。
彼女はそのまま部屋を出て行ってしまった。
「くそっ……どうしてこうなるんだ……」
それからしばらくすると家のドアが激しく叩かれた。
誰だろうか? こんな時間に来客など珍しいことだ。
だるそうに立ち上がると、俺は玄関に行き扉を開けた。
するとそこには見覚えのある男が立っていた。
「よう久しぶりだなロイ」
その男はかつてリリアナとの婚約を破棄した時、俺の相談に乗ってくれた親友エルドだった。
「久しぶりにこの辺りを通ってな。お前どうしてるかなって……」
「エルド……ありがとう」
俺は彼につい先ほどのことを相談することにした。
「実はさっきまで妻と一緒にいたんだけどさ……」
「ああ」
「なんか急に離婚して欲しいって言われてさ」
「まじか!? うーん……それはひどい話だな」
「だろ? 俺もそう思って……」
「よし! こうなったら俺に任せろ」
彼は突然そう言って拳を握った。
「え? 任せるって何をするつもりなんだ?」
「ふふ、それは後でわかるさ。とりあえず俺の家に行こうぜ」
「お邪魔します」
エルドの家に入るとまず目に映ったのは大きなベッドである。
どうやら夫婦二人で暮らしているようだ。
「おい、こっちにこいよ」
エルドが彼の奥さんらしき女性に手招きをする。
「あら、今日は誰か連れてきたの? 珍しいわね」
「ああ、紹介しよう。俺の親友ロイだ。よろしく頼むよ」
「はじめましてロイです」
俺が挨拶をすると女性は笑顔を見せた。
「まあ! あなたのこと聞いたことがあるわ! 確か昔、婚約者と婚約破棄をして今は新しい女性と婚約をしているとかなんとか……」
「え? なぜそれを?」
「えへへ、私これでも情報通なのよ~」
そう言うと彼女は胸を張った。
「じゃあ早速だけど、ロイの悩みを解決するために協力してくれるか?」
「ええもちろんいいわよ」
「ありがとう助かるよ。じゃあロイ、ちょっと目を瞑ってくれないか?」
「え? ああ、わかった……」
俺が目を閉じるとエルドは俺の両肩を掴んだ。
そして……。
「え?ちょっ!?」
「ロイ、俺と結婚して下さい!!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!……なんだ……夢か……良かった」
時刻はもう朝方。
隣ではクスクスとオルガが笑っていた。
「どうしたの? 恐い夢でも見た?」
「いや、別にそういうわけじゃないんだ。ただ気持ち悪い夢を見てさ……」
「気持ち悪い夢?」
「ああ、親友の男に結婚を申し込まれる夢」
「ははっ……なにそれ……」
オルガは呆れたように笑うが、俺は至って真面目だ。
「いや本当だって!」
俺がそう反論するが、彼女には聞こえていないみたいでずっと笑い続けていた。
「ロイ、もうあなたとはやっていけないわ。離婚して頂戴」
「は?」
俺はオルガから突然離婚を言い渡されたのだ。
「どうしてだ!? なんでだよ!? 理由を教えてくれ!」
「なんかつまんないのよね、あなたといると。本当に私のこと好きなのかなって思う時もあるし。まあ、それに他に素敵な男性見つけたしね……」
「嘘だろ……そ、そんなこと言わずに考え直せって!」
俺は必死になってオルガを説得しようとしたが無駄だった。
彼女はそのまま部屋を出て行ってしまった。
「くそっ……どうしてこうなるんだ……」
それからしばらくすると家のドアが激しく叩かれた。
誰だろうか? こんな時間に来客など珍しいことだ。
だるそうに立ち上がると、俺は玄関に行き扉を開けた。
するとそこには見覚えのある男が立っていた。
「よう久しぶりだなロイ」
その男はかつてリリアナとの婚約を破棄した時、俺の相談に乗ってくれた親友エルドだった。
「久しぶりにこの辺りを通ってな。お前どうしてるかなって……」
「エルド……ありがとう」
俺は彼につい先ほどのことを相談することにした。
「実はさっきまで妻と一緒にいたんだけどさ……」
「ああ」
「なんか急に離婚して欲しいって言われてさ」
「まじか!? うーん……それはひどい話だな」
「だろ? 俺もそう思って……」
「よし! こうなったら俺に任せろ」
彼は突然そう言って拳を握った。
「え? 任せるって何をするつもりなんだ?」
「ふふ、それは後でわかるさ。とりあえず俺の家に行こうぜ」
「お邪魔します」
エルドの家に入るとまず目に映ったのは大きなベッドである。
どうやら夫婦二人で暮らしているようだ。
「おい、こっちにこいよ」
エルドが彼の奥さんらしき女性に手招きをする。
「あら、今日は誰か連れてきたの? 珍しいわね」
「ああ、紹介しよう。俺の親友ロイだ。よろしく頼むよ」
「はじめましてロイです」
俺が挨拶をすると女性は笑顔を見せた。
「まあ! あなたのこと聞いたことがあるわ! 確か昔、婚約者と婚約破棄をして今は新しい女性と婚約をしているとかなんとか……」
「え? なぜそれを?」
「えへへ、私これでも情報通なのよ~」
そう言うと彼女は胸を張った。
「じゃあ早速だけど、ロイの悩みを解決するために協力してくれるか?」
「ええもちろんいいわよ」
「ありがとう助かるよ。じゃあロイ、ちょっと目を瞑ってくれないか?」
「え? ああ、わかった……」
俺が目を閉じるとエルドは俺の両肩を掴んだ。
そして……。
「え?ちょっ!?」
「ロイ、俺と結婚して下さい!!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!……なんだ……夢か……良かった」
時刻はもう朝方。
隣ではクスクスとオルガが笑っていた。
「どうしたの? 恐い夢でも見た?」
「いや、別にそういうわけじゃないんだ。ただ気持ち悪い夢を見てさ……」
「気持ち悪い夢?」
「ああ、親友の男に結婚を申し込まれる夢」
「ははっ……なにそれ……」
オルガは呆れたように笑うが、俺は至って真面目だ。
「いや本当だって!」
俺がそう反論するが、彼女には聞こえていないみたいでずっと笑い続けていた。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
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※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
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