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第七話
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一か月後。
ローランの家の応接間が開かれる。
入ってきたのはユリスだった。
「……こんな所に呼び出してどういうつもりだ?」
ユリスはイラついた目をソファーに座る私に向ける。
一瞬怯んでしまう私に、隣に座ったローランが小声で言う。
大丈夫。君は絶対負けない。
「それに君の友達の……ええっと、ローラン君だね。なぜ彼の屋敷で話し合うんだい?夫婦なんだから僕達の家で話せばいいじゃないか。ふふっ」
「冗談じゃない。あなたと二人っきりになったら何されるか分からないから、ローランに同席をお願いしたの」
「ふーん」
ユリスは興味なさげに言うと、向かいのソファーに腰を下ろす。
「僕は忙しいんだ。さっさと済ませてくれよ」
「ええ、そのつもりよ」
私は小さく頷くと隣のローランを見た。
彼も頷く。
「ユリス、あなたとは離婚させてもらう。でもその前にあなたの罪を白日の元に晒すつもりよ」
「……は?」
ユリスが意味不明といった顔になる。
「ここにいるローランは有名な探偵一家で、あなたのことを秘かに調べていたの。ちゃんと全ての証拠は彼が握っているわ」
「そんな……嘘だろ……そんなぁ……」
ユリスが顔を手で覆い項垂れた。
私は立ち上がり、ユリスを冷徹な目で見つめる。
「あなたへの愛はもう無くなった!同情すらも湧かない!地獄に落ちるのよ!ユリス!」
立て続けに放った言葉が応接間の壁に反響し、一瞬の沈黙が訪れる。
ユリスの言葉を待っていると、聞こえてきたのはなぜか笑い声だった。
「くくっ……ふふっ……本当に馬鹿だなぁ……お前はぁ……」
ユリスがゆっくりと顔を覆っていた手をどける。
そこには満面の笑みを浮かべるユリスがいた。
「僕の罪を白日の下に晒すぅ?お前にそんなことできるわけないだろぉ?分かりますかぁ?僕の言っていることが分かりますかぁ?」
「な、何を言って……」
「ローラン!!!」
と、ユリスが突然ローランを呼んだ。
嫌な予感が全身を突き抜ける。
ユリスは初対面のはずのローランを厳しい目で見つめた。
「証拠なんて何もないよな?」
「……」
ローランは黙ったまま何も言わない。
どうして反論しないの?ねえローラン?
「はははっ!沈黙は同意だ!ニーナ!証拠なんて何もないんだ!僕は無実だ!」
「どうして……どうして……」
意味が分からず、ただ涙だけが溢れてくる。
そんな私にユリスが嬉しそうに言う。
「ローランは僕のたぁいせつな友達なんだ!たくさん違法薬物をあげたから僕の味方をしてくれるんだよ!だって僕が捕まったら、ローランも同罪で捕まるからね!」
「そんな……嘘よ……」
「ざぁんねんでしたぁ!はははははっ!!!!!」
ローランの家の応接間が開かれる。
入ってきたのはユリスだった。
「……こんな所に呼び出してどういうつもりだ?」
ユリスはイラついた目をソファーに座る私に向ける。
一瞬怯んでしまう私に、隣に座ったローランが小声で言う。
大丈夫。君は絶対負けない。
「それに君の友達の……ええっと、ローラン君だね。なぜ彼の屋敷で話し合うんだい?夫婦なんだから僕達の家で話せばいいじゃないか。ふふっ」
「冗談じゃない。あなたと二人っきりになったら何されるか分からないから、ローランに同席をお願いしたの」
「ふーん」
ユリスは興味なさげに言うと、向かいのソファーに腰を下ろす。
「僕は忙しいんだ。さっさと済ませてくれよ」
「ええ、そのつもりよ」
私は小さく頷くと隣のローランを見た。
彼も頷く。
「ユリス、あなたとは離婚させてもらう。でもその前にあなたの罪を白日の元に晒すつもりよ」
「……は?」
ユリスが意味不明といった顔になる。
「ここにいるローランは有名な探偵一家で、あなたのことを秘かに調べていたの。ちゃんと全ての証拠は彼が握っているわ」
「そんな……嘘だろ……そんなぁ……」
ユリスが顔を手で覆い項垂れた。
私は立ち上がり、ユリスを冷徹な目で見つめる。
「あなたへの愛はもう無くなった!同情すらも湧かない!地獄に落ちるのよ!ユリス!」
立て続けに放った言葉が応接間の壁に反響し、一瞬の沈黙が訪れる。
ユリスの言葉を待っていると、聞こえてきたのはなぜか笑い声だった。
「くくっ……ふふっ……本当に馬鹿だなぁ……お前はぁ……」
ユリスがゆっくりと顔を覆っていた手をどける。
そこには満面の笑みを浮かべるユリスがいた。
「僕の罪を白日の下に晒すぅ?お前にそんなことできるわけないだろぉ?分かりますかぁ?僕の言っていることが分かりますかぁ?」
「な、何を言って……」
「ローラン!!!」
と、ユリスが突然ローランを呼んだ。
嫌な予感が全身を突き抜ける。
ユリスは初対面のはずのローランを厳しい目で見つめた。
「証拠なんて何もないよな?」
「……」
ローランは黙ったまま何も言わない。
どうして反論しないの?ねえローラン?
「はははっ!沈黙は同意だ!ニーナ!証拠なんて何もないんだ!僕は無実だ!」
「どうして……どうして……」
意味が分からず、ただ涙だけが溢れてくる。
そんな私にユリスが嬉しそうに言う。
「ローランは僕のたぁいせつな友達なんだ!たくさん違法薬物をあげたから僕の味方をしてくれるんだよ!だって僕が捕まったら、ローランも同罪で捕まるからね!」
「そんな……嘘よ……」
「ざぁんねんでしたぁ!はははははっ!!!!!」
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