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第二十一話

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しかしそう愛を誓い合って数日後。 
ジェームズの誕生日。 
彼は再び私を部屋に呼ぶと、衝撃的な一言を言い放った。 

「エマ、すまないが離婚してくれないか?」 

「……は?」 

突然の言葉に私は唖然とする。 

「いきなり何を……どうして?」 

私が困惑していると、彼は申し訳なさそうに言った。 

「実は君よりも妻として相応しい人を見つけてね。彼女はナタリーといってバーテンダーをやっているんだが……」 

「嘘……でしょう?」 

私は信じられない思いだった。 
今度こそジェームズは浮気をしないはずなのに!! 
ソニアの次はナタリーですって!? 

「嘘じゃないよ……だから俺は、君と離婚することに決めたんだ」 

「でも……!」 

私は思わず反論しようとするが、彼は遮るように言った。 

「すまない、本当に悪いと思っている。だがもう決めたことなんだ」 

「……」 

私は言葉を失う。 
そんなの……ありえない。 

「さようなら、エマ。慰謝料は君の望む額を……」 

「ちょっと待って……」 

気づいたら私は冷徹にそう言っていた。 
悲しみのエネルギーが怒りのエネルギーに変換されていくのが分かる。 

「何だい?」 

不思議そうな顔でこちらを見るジェームズに、私は言った。 

「ふざけないで……あなたは私の夫でしょう?その夫が他の女にうつつを抜かすなんて……絶対に許せない!!」 

気づけば私は彼に殴りかかっていた。 
握りしめた拳がジェームズの顔面に鋭く入る。 

「ぐあっ!?」 

ジェームズが殴られた勢いで床に転がる。 
私はその胸ぐらを掴むと、彼を睨みつけた。 

「ねぇ……一体どういうつもり?ちゃんと説明してくれる?」 

「い、いや……」 

ジェームズは私の剣幕に気圧されてか、怯えている様子だ。 

「いいから説明して!じゃなきゃ離婚できないわよ?」 

「くっ……」 

するとジェームズは観念したように口を開いた。 

「お、俺には愛している人がたくさんいるだけの話だよ……わ、分かるだろ?」 

「はぁ?」 

私には全く意味が分からなかった。 

「君と同じように愛する人がいたんだよ。そして彼女の方が俺の妻に相応しいと思ったから俺は……」 

「そう……よく分かったわ」 

彼の言葉を最後まで聞かず、私は大きくため息をつくと、静かに言った。 

「あなたがただの浮気常習犯だってことがね」 

「え?は?……」 

「さよなら……」 

口を開いたジェームズの頬に私は渾身のビンタをお見舞いする。 

「ぎゃぁぁぁ!!!痛いぃ!!」 

彼は悲鳴を上げるが、構わずに続けた。 

「もう二度と私の前に現れないで!!分かった!?」 

「は、はいぃぃ……」 

その後、ジェームズは離婚届と慰謝料支払いの契約書を置いて、家から出ていった。 
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