13 / 19
第十三話
しおりを挟む
「……そう」
私は呟くと体を起こした。
服についた埃を手で払いながら母を睨みつける。
「な、なんで……なんであんたが動けるのよ!!毒を飲んだんじゃないの!?」
「……まだ気づかないんですか?」
立ち上がり母と目線を合わせる。
彼女の目は困惑と恐怖の色をはらんでいた。
「本当に気づかないんですか?」
私はもう一度同じ言葉を発した。
怒りで声が勢いを増していた。
「な……ま、まさか……ベルが……でも……」
母は独り言のようにブツブツと呟き始めた。
焦ったように頭をかきむしり、目を泳がせている。
「あの娘は私の……私を裏切るなんて……いや、でも……」
「なんだ。気づいてるじゃない」
私は冷徹な声でそう言うと、深く深呼吸をした。
さて、何から言おうか。
まずは真実を伝えよう……。
そして少しの間の後、口を再び開いた。
「ベルは全部正直に話してくれました。あなたが私に睡眠薬を盛ったこと、そして毒を盛ろうとしていたことも……」
「嘘よ!!」
「本当です。しかしベルは踏みとどまってくれました。それに謝ってくれました。母を止められなくて本当にごめんなさい……と」
「嘘よ嘘よ嘘よ!」
「嘘じゃありません!!」
私は子供を叱る母親のように声を荒げた。
母の体がびくっと大きく震えた。
「ベルが話してくれたおかげでこうして一芝居打つことができました。毒を飲んだふりをすることができました。そして……あなたの自供も聞くことができました」
家族との会話とは思えないような淡々とした声で私は話を続けた。
「お母さま。もう終わりなんです」
「終わり……はぁ?」
母がイラついた声を私に向ける。
「終わり……なわけないでしょ。終わるのはあなたのはずでしょ……ベルは幸せになるの。私がベルを幸せにするの……」
「お母さま……」
「第一あなたのことを誰が信じるの?権力もないガキの言うことを誰が信じるっていうのぉ?ええぇ!!」
「はぁ……」
私はため息をついた。
「そう言うだろうと思っていました……」
私は呟くと体を起こした。
服についた埃を手で払いながら母を睨みつける。
「な、なんで……なんであんたが動けるのよ!!毒を飲んだんじゃないの!?」
「……まだ気づかないんですか?」
立ち上がり母と目線を合わせる。
彼女の目は困惑と恐怖の色をはらんでいた。
「本当に気づかないんですか?」
私はもう一度同じ言葉を発した。
怒りで声が勢いを増していた。
「な……ま、まさか……ベルが……でも……」
母は独り言のようにブツブツと呟き始めた。
焦ったように頭をかきむしり、目を泳がせている。
「あの娘は私の……私を裏切るなんて……いや、でも……」
「なんだ。気づいてるじゃない」
私は冷徹な声でそう言うと、深く深呼吸をした。
さて、何から言おうか。
まずは真実を伝えよう……。
そして少しの間の後、口を再び開いた。
「ベルは全部正直に話してくれました。あなたが私に睡眠薬を盛ったこと、そして毒を盛ろうとしていたことも……」
「嘘よ!!」
「本当です。しかしベルは踏みとどまってくれました。それに謝ってくれました。母を止められなくて本当にごめんなさい……と」
「嘘よ嘘よ嘘よ!」
「嘘じゃありません!!」
私は子供を叱る母親のように声を荒げた。
母の体がびくっと大きく震えた。
「ベルが話してくれたおかげでこうして一芝居打つことができました。毒を飲んだふりをすることができました。そして……あなたの自供も聞くことができました」
家族との会話とは思えないような淡々とした声で私は話を続けた。
「お母さま。もう終わりなんです」
「終わり……はぁ?」
母がイラついた声を私に向ける。
「終わり……なわけないでしょ。終わるのはあなたのはずでしょ……ベルは幸せになるの。私がベルを幸せにするの……」
「お母さま……」
「第一あなたのことを誰が信じるの?権力もないガキの言うことを誰が信じるっていうのぉ?ええぇ!!」
「はぁ……」
私はため息をついた。
「そう言うだろうと思っていました……」
145
お気に入りに追加
395
あなたにおすすめの小説
婚約者に言わせれば私は要らないらしいので、喜んで出ていきます
法華
恋愛
貴族令嬢のジェーンは、婚約者のヘンリー子爵の浮気現場を目撃してしまう。問い詰めるもヘンリーはシラを切るばかりか、「信用してくれない女は要らない」と言い出した。それなら望み通り、出て行ってさしあげましょう。ただし、報いはちゃんと受けてもらいます。
さらに、ヘンリーを取り巻く動向は思いもよらぬ方向に。
※三話完結
【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。
金峯蓮華
恋愛
どうやら私は階段から突き落とされ落下する間に前世の記憶を思い出していたらしい。
前世は冤罪を着せられて殺害されたのだった。それにしても酷い。その後あの国はどうなったのだろう?
私の願い通り滅びたのだろうか?
前世で冤罪を着せられ殺害された王太子の婚約者だった令嬢が生まれ変わった今世で愛し愛される相手とめぐりあい幸せになるお話。
緩い世界観の緩いお話しです。
ご都合主義です。
*タイトル変更しました。すみません。
夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた
今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。
レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。
不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。
レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。
それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し……
※短め
妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした
水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」
子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。
彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。
彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。
こんなこと、許されることではない。
そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。
完全に、シルビアの味方なのだ。
しかも……。
「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」
私はお父様から追放を宣言された。
必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。
「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」
お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。
その目は、娘を見る目ではなかった。
「惨めね、お姉さま……」
シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。
そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。
途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。
一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。
甘やかされて育った妹が何故婚約破棄されたかなんて、わかりきったことではありませんか。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるネセリアは、家でひどい扱いを受けてきた。
継母と腹違いの妹は、彼女のことをひどく疎んでおり、二人から苛烈に虐め抜かれていたのである。
実の父親は、継母と妹の味方であった。彼はネセリアのことを見向きもせず、継母と妹に愛を向けていたのだ。
そんなネセリアに、ある時婚約の話が持ち上がった。
しかしその婚約者に彼女の妹が惚れてしまい、婚約者を変えることになったのだ。
だが、ネセリアとの婚約を望んでいた先方はそれを良しとしなかったが、彼らは婚約そのものを破棄して、なかったことにしたのだ。
それ妹達は、癇癪を起した。
何故、婚約破棄されたのか、彼らには理解できなかったのだ。
しかしネセリアには、その理由がわかっていた。それ告げた所、彼女は伯爵家から追い出されることになったのだった。
だがネセリアにとって、それは別段苦しいことという訳でもなかった。むしろ伯爵家の呪縛から解放されて、明るくなったくらいだ。
それからネセリアは、知人の助けを借りて新たな生活を歩むことにした。かつてのことを忘れて気ままに暮らすことに、彼女は幸せを覚えていた。
そんな生活をしている中で、ネセリアは伯爵家の噂を耳にした。伯爵家は度重なる身勝手により、没落しようとしていたのだ。
【完結】結婚してから三年…私は使用人扱いされました。
仰木 あん
恋愛
子爵令嬢のジュリエッタ。
彼女には兄弟がおらず、伯爵家の次男、アルフレッドと結婚して幸せに暮らしていた。
しかし、結婚から二年して、ジュリエッタの父、オリビエが亡くなると、アルフレッドは段々と本性を表して、浮気を繰り返すようになる……
そんなところから始まるお話。
フィクションです。
邪魔な義妹が修道院送りになったので、これで安心して婚約できます!
田太 優
恋愛
伯爵令嬢の私は公爵令息と婚約することを約束していた。
まだ正式に婚約していないのは義妹の存在が理由だった。
義妹のことだから、きっと自分が婚約したいと言い出し邪魔するに決まっている。
どうせ邪魔されるなら、いっそのこと利用して問題を起こさせて追放してしまえばいい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる